トニー・スコット監督により製作され、1998年に公開された映画「エネミー・オブ・アメリカ」では、一般市民のプライバシーを大幅に侵害
する恐れがある「通信の保安とプライバシー法」案を可決させるために反対派の下院共和党議員を暗殺した場面が記録されたテープを巡って、
あらゆるテクノロジーを駆使して追跡する国家安全保障局(NSA)に追われた弁護士が元NSA技官と手を組んで陰謀に立ち向かうという謀略映
画があった。
しかし、この映画内で紹介された驚愕のテクノロジーも、公開当時はNSAの20年前の旧テクノロジーが紹介されているに過ぎないと言われて
いたものだ。
軍産複合体による極秘に研究されたニュー・テクノロジーは常に民生用テクノロジーの数十年先を行っていると良く言われている。
既にNSAによりエシュロン(Echelon)が運用され、あらゆる情報が傍受されていることは既知のことであったが、スノーデンの告発で
PRISM(US-984XN)が2007年から運用されていることが明白となり、誰もがやはりそうであったかという感を強くしているはずだ。
この書では、英紙「ガーディアン」のグレン・グリーンアォルドがNSAの防諜システムを回避し、如何にしてスノーデンから機密文書を入手
し暴露したかのドキュメンタリーである。
暴露された機密情報については、新聞や雑誌等を見た方が早く解りやすい。
個人的な話になるが、エシュロン(Echelon)の存在が噂され出した1998年頃から、ヨーロッパに所在する日本の企業関係者はその存在の可能性
に神経をピリピリとさせており、彼らとメールを行う際は、JPEG画像にファイルを埋め込むステガノグラフィー(steganography)を使い続け
ていたのが常であった(このソフトは数年後に解読されるのだが)。
また、このステガノグラフィーは勤務先のサーバー管理者の盗み見を防止するためにも有効であった。
スノーデンにより告発された文書の中で、2010年10月6日に作成されたNSA「アクセス及びターゲット特定部門」責任者の報告書には、世界
中に出荷されるサーバ、ルータ等のコンピュータ・ネットワーク機器をNSAが押収し、機器にバックドア監視ツールを埋め込んだうえ、再度、
梱包し未開封シールを貼付して出荷している事実が書かれているという。
また、Skype利用のためにPC内蔵のカメラとマイクをセッティングした数日後、何度もLEDの赤ランプが点灯し、勝手にカメラとマイクが
ON状態となり、何者かの操作でこちらが覗き見され盗撮・盗聴状態となったため、PCのHDDをフォーマットの上、OSの再インストールを行
い、以後、カメラの設定は解除しレンズは塞いである。
スノーデンの暴露文書によると、NSAは、このSkypeを始め、マイクロソフトの「So.cl」(ソーシャル)、Google、ヤフー(Yahoo)、
Facebook、アップル(Apple)、AOL、YouTube、PalTalkの、あわせて9つのウェブサービスを対象に、これら企業の協力の下、情報収集して
いることが白日の下に晒されたが、未だにこれら各社からの謝罪や見解も述べられていない。
彼の暴露によって、これだけ、やりたい放題のことが行われていることを知るとあらゆるものに対して疑心暗鬼とならざるを得ない。
そのため、マイクロソフト等のOS、ブラウザー、メールソフトにもおかしなものが組み込まれていないか、はたまた、大きなシェアを誇る
〇ートンのウイルス対応ソフトのインストールによっても密かに情報収集がされているのではないのかという不安まで出てくる始末だ。
そして、この問題が発覚する以前から危惧していたのが、何十万人も存在するであろうAmazonユーザーの個人情報であり、住所、氏名、生
年月日、メール・アドレス、クレジットカード情報ばかりではなく、レビュー・パターンから類推される思想・信条、読書傾向等がPRISM等で
筒抜けになることであった。
これら個人情報がAmazonが同意しようがしまいが、NSAのテクノロジーで筒抜けとなり、秘密情報保護法等でやっきとなっている同盟国の
日本政府に提供されたら目も当てられない。
この書は同盟国という安心感からアメリカに防諜されていることに全く気付くこともなかった我が国政府の危機管理意識や問題発見能力、問
題解決能力の向上に大いに役立つ教科書でありカンフル剤となったことだろう。
(追 記)
7月1日の新聞等の報道では、2000年に施行された我が国の「通信傍受法」の通信傍受範囲の拡大について、6月30日開催の法制審議会
(法務大臣の諮問機関)特別部会において、これまで通信傍受が認められている4種類の犯罪(組織的殺人、銃器犯罪、薬物犯罪、集団密航)
に加え、新たに9種類の犯罪(現住建造物等放火、殺人、傷害、逮捕監禁、誘拐・人身売買、窃盗・強盗、詐欺・恐喝、爆発物使用、児童ポル
ノの製造・提供)が追加される最終案が了承されたと報じられた。
この最終案は7月9日の同審議会特別部会で正式決定する予定であり、法務省は来年の通常国会に法案を提出し可決を目指す方針である。
現行法では、通信傍受の際には通信事業者の立ち会いが義務づけられているが、新法案では制限なく傍受出来る内容となっている。
これは、アメリカのNSAが行っているPRISMの日本版を目指すということであろう。
ウィキリークスのアサンジ氏に出されている逮捕状の罪状は「性的暴行容疑」というとんでもない理由からである。
現在、我が国の通信傍受法の検討案には「児童ポルノの製造・提供」が含まれているが、この容疑が一番手っ取り早く通信傍受を行う理由づ
けになりやすく、別件逮捕には誰にでも適用出来る便利で汎用性のある罪状である。
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暴露:スノーデンが私に託したファイル ペーパーバック – 2014/5/14
購入を強化する
アメリカの諜報、盗聴は日本もターゲットだった!
いま、すべてを白日の下にさらす!
世界24ヵ国同時刊行! 未公表の最高機密文書、多数収録!
マスメディアの自由闊達な精神の保持と
インターネットの自由のために戦ってください。
私は政府の最も暗い一角で働いてきました。
彼らが恐れるのは光です。
──エドワード・ジョセフ・スノーデン──
国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に在籍した
エドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な機密文書を著者に託した。
香港で密会した情報提供者の実像、そして文書の戦慄すべき全貌――。
一連の報道で英紙<ガーディアン>にピューリッツァー賞をもたらした当人がいま、
すべてを明かす。
≪数々の未公開機密文書で明らかになる驚愕の「諜報活動」の実像! ≫
・スパイソフトを埋め込んだ米国製PC、ルーター、サーバーが、日本を含む世界へ拡散
・外交スパイ活動は日本もターゲット。日本の国連代表部をはじめ、外交施設諜報先と全手口
・諜報機関と密接な、米通商代表部、農務省、財務省、商務省。対日本など経済スパイの実態。
・スパイ活動のノウハウは日本にも。NSAの活動資金提供国、額一覧。
・最終目標は世界中全ての情報収集。内部文書が示す、NSA長官の野望。
・顧客の通信・通話データを提出せよ。政府要請に応じた通信、IT企業名。
・もはやクラウド、SNSも諜報対象に。開発される収集プログラム。
・米国のあらゆる諜報活動を可能にする「外国諜報活動監視裁判所」とは。
・諜報能力はハイレベル、在日米軍・三沢安全保障作戦センター。
いま、すべてを白日の下にさらす!
世界24ヵ国同時刊行! 未公表の最高機密文書、多数収録!
マスメディアの自由闊達な精神の保持と
インターネットの自由のために戦ってください。
私は政府の最も暗い一角で働いてきました。
彼らが恐れるのは光です。
──エドワード・ジョセフ・スノーデン──
国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に在籍した
エドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な機密文書を著者に託した。
香港で密会した情報提供者の実像、そして文書の戦慄すべき全貌――。
一連の報道で英紙<ガーディアン>にピューリッツァー賞をもたらした当人がいま、
すべてを明かす。
≪数々の未公開機密文書で明らかになる驚愕の「諜報活動」の実像! ≫
・スパイソフトを埋め込んだ米国製PC、ルーター、サーバーが、日本を含む世界へ拡散
・外交スパイ活動は日本もターゲット。日本の国連代表部をはじめ、外交施設諜報先と全手口
・諜報機関と密接な、米通商代表部、農務省、財務省、商務省。対日本など経済スパイの実態。
・スパイ活動のノウハウは日本にも。NSAの活動資金提供国、額一覧。
・最終目標は世界中全ての情報収集。内部文書が示す、NSA長官の野望。
・顧客の通信・通話データを提出せよ。政府要請に応じた通信、IT企業名。
・もはやクラウド、SNSも諜報対象に。開発される収集プログラム。
・米国のあらゆる諜報活動を可能にする「外国諜報活動監視裁判所」とは。
・諜報能力はハイレベル、在日米軍・三沢安全保障作戦センター。
- 本の長さ384ページ
- 言語英語, 日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2014/5/14
- 寸法13.21 x 2.29 x 18.8 cm
- ISBN-104105066919
- ISBN-13978-4105066918
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商品の説明
出版社からのコメント
スノーデン「未公表機密情報」本がついに刊行!
あのエドワード・スノーデンと真っ先に密会し、心から信頼を寄せた
彼から自身の運命と数万に及ぶ膨大な機密文書を託されたジャーナリスト、
グレン・グリーンウォルドが、未公開の機密文書を多数収録した
『暴露 スノーデンが私に託したファイル』を、世界24か国で同時刊行します。
日本版は5月14日発売。
NSA(国家安全保障局)とCIA(中央情報局)という合衆国の二大情報
機関に在籍したスノーデン。彼は、米政府がNSAを使って秘密裏に、
すさまじい量の個人情報をネット上で監視、収集していたことを告発、暴露し、
全世界に衝撃を与えました。
スノーデンの一連の告発記事により英紙<ガーディアン>は、本年度の
ピューリッツァー賞を受賞しましたが、その栄誉をもたらした立役者が、
今回の本の著者であるグレン・グリーンウォルドです。
あのエドワード・スノーデンと真っ先に密会し、心から信頼を寄せた
彼から自身の運命と数万に及ぶ膨大な機密文書を託されたジャーナリスト、
グレン・グリーンウォルドが、未公開の機密文書を多数収録した
『暴露 スノーデンが私に託したファイル』を、世界24か国で同時刊行します。
日本版は5月14日発売。
NSA(国家安全保障局)とCIA(中央情報局)という合衆国の二大情報
機関に在籍したスノーデン。彼は、米政府がNSAを使って秘密裏に、
すさまじい量の個人情報をネット上で監視、収集していたことを告発、暴露し、
全世界に衝撃を与えました。
スノーデンの一連の告発記事により英紙<ガーディアン>は、本年度の
ピューリッツァー賞を受賞しましたが、その栄誉をもたらした立役者が、
今回の本の著者であるグレン・グリーンウォルドです。
内容(「BOOK」データベースより)
国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に籍を置いたエドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な最高機密文書を筆者に託した。稀代の情報提供者の実像と、監視国家アメリカの恐るべき実態がいま、白日の下にさらされる。権力の濫用によって危機に瀕する市民の自由、そして報道の自由―これはもはや、一国の問題ではない…。スノーデンと真っ先に密会して数万の機密文書を託され英紙『ガーディアン』にピューリッツァー賞をもたらした著者がいま、彼の実像とファイルの全貌を白日の下にさらす!
著者について
グレン・グリーンウォルド Glenn Greenwald
1967年、ニューヨーク生まれ。ジョージ・ワシントン大学卒業、ニューヨーク大学法科大学院修了。
ジャーナリスト、弁護士。〈ガーディアン〉〈サロン〉などに寄稿するほか、著者多数。
スノーデン文書のスクープを筆頭に、調査報道で数々の賞を受賞。2014年初頭、新たなメディア媒体
〈インターセプト〉を共同創刊。ブラジル在住。
1967年、ニューヨーク生まれ。ジョージ・ワシントン大学卒業、ニューヨーク大学法科大学院修了。
ジャーナリスト、弁護士。〈ガーディアン〉〈サロン〉などに寄稿するほか、著者多数。
スノーデン文書のスクープを筆頭に、調査報道で数々の賞を受賞。2014年初頭、新たなメディア媒体
〈インターセプト〉を共同創刊。ブラジル在住。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
グリーンウォルド,グレン
1967年、ニューヨーク生まれ。ジョージ・ワシントン大学卒業、ニューヨーク大学法科大学院修了。ジャーナリスト、弁護士。『ガーディアン』『サロン』などに寄稿するほか、著書多数。スノーデン文書のスクープを筆頭に、調査報道で数々の賞を受賞。2014年初頭、新たなメディア媒体『インターセプト』を共同創刊。ブラジル在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1967年、ニューヨーク生まれ。ジョージ・ワシントン大学卒業、ニューヨーク大学法科大学院修了。ジャーナリスト、弁護士。『ガーディアン』『サロン』などに寄稿するほか、著書多数。スノーデン文書のスクープを筆頭に、調査報道で数々の賞を受賞。2014年初頭、新たなメディア媒体『インターセプト』を共同創刊。ブラジル在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2014/5/14)
- 発売日 : 2014/5/14
- 言語 : 英語, 日本語
- ペーパーバック : 384ページ
- ISBN-10 : 4105066919
- ISBN-13 : 978-4105066918
- 寸法 : 13.21 x 2.29 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 122,423位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,022位外交・国際関係 (本)
- - 2,255位英米文学研究
- - 13,779位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

1977年生まれ。早稲田大学法学部卒。
大学卒業後、バックパック旅行に出たのをきっかけに翻訳の仕事を志す。
出版翻訳のほか、海外のゲームを翻訳することにも情熱を燃やしており、翻訳学校でゲーム翻訳講座の講師も務める。
出版翻訳はフィクション、ノンフィクションの両方を手がけ、ゲームはPC版Gone Home、The Vanishing of Ethan Carterなどを翻訳。
カスタマーレビュー
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星5つ中の4
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最後の方は、著者の愚痴しかない。政府に告発されるかどうかは、どうでもいい。
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米国国家安全保障局(NSA)が全世界の人々の電信通話やインターネットでの通信記録を全て監視記録していた。NSAの職員であった
エドァード・スノーデンによる内部告発を受けたジャーナリストであるグレン・グリーンウォルドによる渾身の告発本である。
2001年の米国同時テロを切っ掛けに、米国政府はテロ対策という大義名分の下米国内における外国人の監視を強めて来た。衝撃的な2001
年のテロが米国人に与えたショックは凄まじく、この政府による監視体制に異を唱える国民やマスメディアは殆どいなかったと言われる。しかし、
このNSAによる監視体制は米国における外国人だけに留まらず、米国民そして海外の同盟国を含めた政府関係者や企業にまで及んでいた
という内部文書の暴露は当時大きな話題となった。
くじけることを知らない骨太のジャーナリストである筆者は、この監視体制が実はテロとは全く関係のない企業活動や個人の監視に使われていた
ことに憤慨する。この体制が出来てから、発見されたテロ活動は驚くほど少なく、事実、ボストンテロ事件なども、これほどの監視体制をあざ笑う
かの如く起きているのだ。筆者は、この監視体制が何を目的にしたか、また如何に膨大なデータをNSAは集めてきたかという証拠文書の暴露
にページを費やしている。
さらに筆者がより大きな怒りを向けるのは同じジャーナリズムの世界、特に大手マスメディアである。彼らは、まるで米国政府に飼いならされた犬の
如く従順に政府を支持し続け、スノーデンや筆者の人格を貶めることに努力を惜しまなかった。何も悪いことをしていなければ、監視されてもい
いではないかという議論に対しても筆者は、丁寧に反論している。
世界一の民主義国家を標榜する米国だが、やることは全く正反対。これは、太平洋戦争勃発時に日本がある意味貶められたやり方と同じ、
つまり、白人社会の安全のためには何でもやるというやり方なのだ。彼らが言うFive Eyesと呼ばれる真に信用できる白人国家、英国、
カナダ、豪州そしてニュージーランドだけで情報を共有するために、ドイツ、フランス、日本といった「同盟国」での通信の傍受も全くためらうことがない。
米国という国の本質を見せられたと誰もが感じる書物だと思う。
エドァード・スノーデンによる内部告発を受けたジャーナリストであるグレン・グリーンウォルドによる渾身の告発本である。
2001年の米国同時テロを切っ掛けに、米国政府はテロ対策という大義名分の下米国内における外国人の監視を強めて来た。衝撃的な2001
年のテロが米国人に与えたショックは凄まじく、この政府による監視体制に異を唱える国民やマスメディアは殆どいなかったと言われる。しかし、
このNSAによる監視体制は米国における外国人だけに留まらず、米国民そして海外の同盟国を含めた政府関係者や企業にまで及んでいた
という内部文書の暴露は当時大きな話題となった。
くじけることを知らない骨太のジャーナリストである筆者は、この監視体制が実はテロとは全く関係のない企業活動や個人の監視に使われていた
ことに憤慨する。この体制が出来てから、発見されたテロ活動は驚くほど少なく、事実、ボストンテロ事件なども、これほどの監視体制をあざ笑う
かの如く起きているのだ。筆者は、この監視体制が何を目的にしたか、また如何に膨大なデータをNSAは集めてきたかという証拠文書の暴露
にページを費やしている。
さらに筆者がより大きな怒りを向けるのは同じジャーナリズムの世界、特に大手マスメディアである。彼らは、まるで米国政府に飼いならされた犬の
如く従順に政府を支持し続け、スノーデンや筆者の人格を貶めることに努力を惜しまなかった。何も悪いことをしていなければ、監視されてもい
いではないかという議論に対しても筆者は、丁寧に反論している。
世界一の民主義国家を標榜する米国だが、やることは全く正反対。これは、太平洋戦争勃発時に日本がある意味貶められたやり方と同じ、
つまり、白人社会の安全のためには何でもやるというやり方なのだ。彼らが言うFive Eyesと呼ばれる真に信用できる白人国家、英国、
カナダ、豪州そしてニュージーランドだけで情報を共有するために、ドイツ、フランス、日本といった「同盟国」での通信の傍受も全くためらうことがない。
米国という国の本質を見せられたと誰もが感じる書物だと思う。
ベスト1000レビュアー
Amazonで購入
スノーデンにアメリカ政府の国内外を対象にした大規模な通信傍受に関する機密文書を託されたジャーナリストが機密文書受け取りから公開までの顛末、その後の騒動を書いたノンフィクション。第1章から2章は、謎のメールによるコンタクトから香港でスノーデン本人に接触するまでのスパイ映画さながらの一部始終が語られる。著者の脳内で好奇心、功名心、恐怖心、そして使命感といったさまざまな感情が渦巻いていた様子が伝わってきて、読んでいる方もじんわりと汗をかくほどの臨場感だ。第3でスノーデンが収集した機密文書の読み解きを行い、第4章では、ユビキタス監視の害悪について論じる。アメリカ政府がIT企業と一体になって世界中に監視網を張り巡らせ、空前の規模で個人の通信記録を集めている。それは国民を守るためであり、「悪い人」以外自分のプライヴァシーを侵害されることはないといわれたところで、監視の可能性だけで人々は自己統制に走ってしまうということをくどいほど述べている。第5章はそのような動きを監視し牽制し、場合によっては追及する立場にあるメディアが機能していないことに対する義憤。
個人の情報を全部集めて監視・管理する技術があれば政府がそれを使おうとすることは想像に難くない。私たちがもうなくては生活していけないほどに浸透している携帯電話、電子メール、SNSなどから個人データをすいあげるなどわけもないことも、われわれはすでに知っている。でも、そういうことが可能であるということを認識していることと、実際にフルスケールで行われているという事実を知ることとのあいだには大きな差がある。人間は知識として知っていることや、理屈としてわかっていることではなく、現前する脅威に基づいて行動を起こす。スノーデンが命の危険を冒してまで生データを公開しようとしたのは、それを知らずして一人一人が判断し、行動することはありえないと考えたからだ。
スノーデンが暴露した機密文書に何が書かれていたか、それが何を意味するのかは本書の第3章にざっと目を通せば把握できる。すでに新聞報道などでも明らかになっている内容だ。アメリカ政府が「すべてを収集する」ことに血道をあげていること以上に興味をひいたのが、機密文書の配布先「ファイブ・アイズ」だった。英語圏の諜報同盟国5カ国、すなわちアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドである。EUや日本は軍事的には同盟国だが、アメリカの諜報活動の中核にあるのはこのファイヴ・アイズで、日欧はむしろ彼らから監視される対象として位置付けられている。いまさら驚く話でもないが、やはり「配布先:ファイヴ・アイズ」と記された生の文書を目にすると想像が確信に変わり、これまで抱いていた世界観の修正を迫られる。たとえばこの状況で英語教育に力を入れるとか、ビジネスの共通言語は英語と割り切ることは日本の立場を弱くするのではないか。戦略的に英語を(学習はしても)使わないという選択肢もあるのではないか。穿った見方かもしれないが、そんなことを思った。
本書を読んだ最大の衝撃は、エドワード・スノーデンという人物だ。この若さで、これだけの知性を備え、戦略的には行動力があってきわどい駆け引きや緻密な計算もできるリアリストで、信条的には命をも惜しまないアイデアリスト、という人格が、この時代のアメリカに誕生したのは奇跡的とも思える。ただスノーデンは、ここに書かれているとおりの知的で正義感に満ち溢れたヒーローという顔を持っていることは確かだが、そういうヒーローであり続けらえるのか、あるいは他の顔をもっていないのか、ということまではわからない。本書によれば、インテリジェンス・コミュニティでは、高度なコンピュータースキルに通じた人材が恒常的に不足しており、通常の教育の場からは疎外された独学でテクノロジーの専門的知識を身に付けた人間にまで触手を伸ばしているという。エスタブリッシュメント出身の人間が逆立ちしてもできないことを、スノーデンはまるでそうすることこそがごく自然な行為であるかのようにやってのけた。そう考えると、この一連の出来事は、インターネットがもともともっている非エスタブリッシュメント性による自浄作用とも見える。スノーデンがビデオゲームを通じて政治意識を養い、正義について深く考えるようになったという話は興味深い。
スノーデンの学歴は高卒だが、腕一本でまたたくまにCIAのフルタイムスタッフの地位を得、赴任先のスイスではテクノロジーとサイバーセキュリティについて「スイス一の専門家」と見なされるようになる。新聞でスノーデンのことを最初に読んだとき、防衛部門の政府請負業者大手であるブーズ・アレン・ハミルトンの社員と書かれていたので、兵士派遣の民間委託のようなものを思い浮かべ、経済的に恵まれない人が他に選択肢がなくて選んだ仕事なのかと勘違いしていた。スノーデンはやがて公開するべき機密情報にアクセスするため、給料を下げてでもこの会社に入る必要があったのだ。本書にもあるが、大手メディアが最初に伝えたスノーデン像は「高校を中退した負け犬」「どこまでも孤独な人間」「誇大妄想型ナルシスト」といった非社会性を前面に出したものだった。要するに「こいつは異端である」というレッテルを早々に貼ったのである。
メディアによる人格攻撃の矛先は、スノーデンの協力者となった本書の著者、グリーンウォルドにも向けられ、家宅侵入や家族の拘束も経験した。ある程度予想がついていたことだろうが、実際に犯罪者同然の扱いを受けた恐怖と屈辱たるや、普通の神経の人間には耐え難いものだろう。第5章では、危険を冒してでも権力の乱用に立ち向かうというジャーナリズムの姿勢が失われつつあることに対して警鐘を鳴らしている。スノーデンが機密情報をリークする媒体として選んだガーディアン紙は、英国政府通信本部に文書の引き渡しを求められこれを拒否したため、文書の入ったハードドライブを破壊された。さらに悪いことに、その文書のコピーをアメリカ政府寄りということでスノーデンがわざわざ避けたニューヨーク・タイムズに送っていた。グリーンウォルドはスノーデンや自分たちが命をかけてリークした素材の無神経な扱われ方に怒りを爆発させている。ジャーナリズムがエスタブリッシュメントの一部に収まってしまい、その本来の機能を果たさなくなったという指摘はそのまま2011年来の原発事故の報道についても言われてきたことだ。しかも日本の場合は事故当時の政府内での議事録が存在しないなど(本当かどうかはわからないが)暴露すべき情報が政府内にも残されていないというのだから話にならない。
スノーデンによる機密文書の暴露は、政府によるテクノロジーの濫用に光を当てるとともに、ジャーナリズムの役割についての歴史的な問題提起をしたと思う。スノーデンは大量の国家機密をそのままばらまくことはしなかった。大量の文書を“ジャーナリズム風”に公表することが大事だと最初から考えていたと本書にはある。一般の人間がこの機密書類に書かれてあることが自分たちにとってどんな意味があるのかをきちんと理解するためには、記事の選択、構成、公開の順序、つまり緻密な編集作業が必要であると考えたのだ。そして情報提供者を法的に守るためにも国家権力と対峙できる機関としてのメディアは必要である。フリージャーナリストのゆるやかな連携によってボーダーレスに国家を監視するということも理論上は可能だが、個人対国家という闘いになった場合、個人に勝ち目はない。本書は今後長きにわたってテクノロジー、メディア、権力の関係についての議論を呼びこすだろう。
個人の情報を全部集めて監視・管理する技術があれば政府がそれを使おうとすることは想像に難くない。私たちがもうなくては生活していけないほどに浸透している携帯電話、電子メール、SNSなどから個人データをすいあげるなどわけもないことも、われわれはすでに知っている。でも、そういうことが可能であるということを認識していることと、実際にフルスケールで行われているという事実を知ることとのあいだには大きな差がある。人間は知識として知っていることや、理屈としてわかっていることではなく、現前する脅威に基づいて行動を起こす。スノーデンが命の危険を冒してまで生データを公開しようとしたのは、それを知らずして一人一人が判断し、行動することはありえないと考えたからだ。
スノーデンが暴露した機密文書に何が書かれていたか、それが何を意味するのかは本書の第3章にざっと目を通せば把握できる。すでに新聞報道などでも明らかになっている内容だ。アメリカ政府が「すべてを収集する」ことに血道をあげていること以上に興味をひいたのが、機密文書の配布先「ファイブ・アイズ」だった。英語圏の諜報同盟国5カ国、すなわちアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドである。EUや日本は軍事的には同盟国だが、アメリカの諜報活動の中核にあるのはこのファイヴ・アイズで、日欧はむしろ彼らから監視される対象として位置付けられている。いまさら驚く話でもないが、やはり「配布先:ファイヴ・アイズ」と記された生の文書を目にすると想像が確信に変わり、これまで抱いていた世界観の修正を迫られる。たとえばこの状況で英語教育に力を入れるとか、ビジネスの共通言語は英語と割り切ることは日本の立場を弱くするのではないか。戦略的に英語を(学習はしても)使わないという選択肢もあるのではないか。穿った見方かもしれないが、そんなことを思った。
本書を読んだ最大の衝撃は、エドワード・スノーデンという人物だ。この若さで、これだけの知性を備え、戦略的には行動力があってきわどい駆け引きや緻密な計算もできるリアリストで、信条的には命をも惜しまないアイデアリスト、という人格が、この時代のアメリカに誕生したのは奇跡的とも思える。ただスノーデンは、ここに書かれているとおりの知的で正義感に満ち溢れたヒーローという顔を持っていることは確かだが、そういうヒーローであり続けらえるのか、あるいは他の顔をもっていないのか、ということまではわからない。本書によれば、インテリジェンス・コミュニティでは、高度なコンピュータースキルに通じた人材が恒常的に不足しており、通常の教育の場からは疎外された独学でテクノロジーの専門的知識を身に付けた人間にまで触手を伸ばしているという。エスタブリッシュメント出身の人間が逆立ちしてもできないことを、スノーデンはまるでそうすることこそがごく自然な行為であるかのようにやってのけた。そう考えると、この一連の出来事は、インターネットがもともともっている非エスタブリッシュメント性による自浄作用とも見える。スノーデンがビデオゲームを通じて政治意識を養い、正義について深く考えるようになったという話は興味深い。
スノーデンの学歴は高卒だが、腕一本でまたたくまにCIAのフルタイムスタッフの地位を得、赴任先のスイスではテクノロジーとサイバーセキュリティについて「スイス一の専門家」と見なされるようになる。新聞でスノーデンのことを最初に読んだとき、防衛部門の政府請負業者大手であるブーズ・アレン・ハミルトンの社員と書かれていたので、兵士派遣の民間委託のようなものを思い浮かべ、経済的に恵まれない人が他に選択肢がなくて選んだ仕事なのかと勘違いしていた。スノーデンはやがて公開するべき機密情報にアクセスするため、給料を下げてでもこの会社に入る必要があったのだ。本書にもあるが、大手メディアが最初に伝えたスノーデン像は「高校を中退した負け犬」「どこまでも孤独な人間」「誇大妄想型ナルシスト」といった非社会性を前面に出したものだった。要するに「こいつは異端である」というレッテルを早々に貼ったのである。
メディアによる人格攻撃の矛先は、スノーデンの協力者となった本書の著者、グリーンウォルドにも向けられ、家宅侵入や家族の拘束も経験した。ある程度予想がついていたことだろうが、実際に犯罪者同然の扱いを受けた恐怖と屈辱たるや、普通の神経の人間には耐え難いものだろう。第5章では、危険を冒してでも権力の乱用に立ち向かうというジャーナリズムの姿勢が失われつつあることに対して警鐘を鳴らしている。スノーデンが機密情報をリークする媒体として選んだガーディアン紙は、英国政府通信本部に文書の引き渡しを求められこれを拒否したため、文書の入ったハードドライブを破壊された。さらに悪いことに、その文書のコピーをアメリカ政府寄りということでスノーデンがわざわざ避けたニューヨーク・タイムズに送っていた。グリーンウォルドはスノーデンや自分たちが命をかけてリークした素材の無神経な扱われ方に怒りを爆発させている。ジャーナリズムがエスタブリッシュメントの一部に収まってしまい、その本来の機能を果たさなくなったという指摘はそのまま2011年来の原発事故の報道についても言われてきたことだ。しかも日本の場合は事故当時の政府内での議事録が存在しないなど(本当かどうかはわからないが)暴露すべき情報が政府内にも残されていないというのだから話にならない。
スノーデンによる機密文書の暴露は、政府によるテクノロジーの濫用に光を当てるとともに、ジャーナリズムの役割についての歴史的な問題提起をしたと思う。スノーデンは大量の国家機密をそのままばらまくことはしなかった。大量の文書を“ジャーナリズム風”に公表することが大事だと最初から考えていたと本書にはある。一般の人間がこの機密書類に書かれてあることが自分たちにとってどんな意味があるのかをきちんと理解するためには、記事の選択、構成、公開の順序、つまり緻密な編集作業が必要であると考えたのだ。そして情報提供者を法的に守るためにも国家権力と対峙できる機関としてのメディアは必要である。フリージャーナリストのゆるやかな連携によってボーダーレスに国家を監視するということも理論上は可能だが、個人対国家という闘いになった場合、個人に勝ち目はない。本書は今後長きにわたってテクノロジー、メディア、権力の関係についての議論を呼びこすだろう。









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