プレイした印象は
・長文パラグラフが多く文章そのものが楽しく読める
・世界観や人物の設定、クエストがしっかりしている
・語り部がユーモアを交えて冒険を盛り上げてくれる
・ゲームオーバーが必然で楽しい
と言う感じです。以下、詳しく説明致します。
●長文パラグラフがが多く文章そのものが楽しく読める
冒頭は主人公の師匠とも呼ぶべき魔術師『マーリン』の囁きから始まります。かなり長く10ページも割いています。でも読者に語りかけるように書かれているのですんなりと物語に引き込まれます。
これが世界観やゲームのルール説明の役割を担っています。無味乾燥な説明書とは無縁で本当に楽しく読み進めることができます。この、マーリンと言う魔術師の性格・人柄がなかなか難癖がある割には実力も頼りがいもあり、とても親しみやすい存在で、アバロンの王、アーサーの全幅の信頼を得ているというのも頷けます。
ようやく冒険に旅だったと思ったら、今度はプロローグが6ページも続きます。ここで主人公の人となりやゲームのミッションが読者にグイグイ伝わってきます。
それにしても語り部はおしゃべり上手。読み進めるのが本当に楽しいです。
さあ、いよいよ最初の選択肢。これはサイコロによって決められます。(まあ、正直筆者はそれなしで有利に物語を読み進めましたが、時間が許すなら実際にやってみたほうが面白いことでしょう。)
物語序盤は実質世界観やミッションとゲームルールの説明となっており、挿絵も含めると実に35ページにも及びます。
ここまで読者を楽しませながら本来退屈な説明部分を読み進めさせる文章技術はブレナンのなせる技なのでしょう。これは執筆する方となると大変な労力や才能といったものが必要なのだと思います。
火吹山の魔法使いなどのファイティング・ファンタジーの影響を受けた作品が多数を占める中で、グレイルクエストのような語り部がユーモアに富んだ口調で語りかけてくる作品がほとんど見受けられないのは、そのためなのかも知れません。
●世界観や人物の設定、クエストがしっかりしている
主人公はピップと呼ばれる、ファンタジーの世界では養父・養母に育てられた冴えない農家の若者。読者は魂だけマーリンによって、今読者のいる世界から本の世界へ魔法で召喚され、ピップの体に宿された存在です。
読者はピップと一体となり、マーリンから授かった剣「エクスカリバー・ジュニア - EJ」と数々のアイテム、魔術などを携えて冒険に旅立ちます。
目的は悪徳魔術師を倒し拐われた王女を救い出す事。ダンジョンのような暗黒城を彷徨うわけですが、行く手には様々なトラップが待ち受けています。
ゲームブックと言う特性もあり、ピップは冒険の途中で何度も死ぬんですよ。
まるでピップ”PIP”の名前は”RIP - Rest In Peace(安らかに眠れ)”の捩りなんじゃないかと思えるほどです。
そして武器である「エクスカリバー・ジュニア」が相棒とも言うべき面白い立ち位置で、実はピップと意思疎通ができるんです。
しかも武器だというのに敵によっては戦いを拒絶する描写もあったりで……ぶっ飛んだ発想です。
●語り部がユーモアを交えて冒険を盛り上げてくれる
これがこの作品の一番の目玉でしょうね。語り部が面白楽しい口調で物語を進めてくれるのですが、時折悪戯をするんですよね。
いや、どんな悪戯か具体的に説明しちゃうとネタバレになりますのでちょっと抽象的に一例を言うと「どの選択肢でも同じだろ」と言うもの。
また手の込んだ演出で「選んでもらおうか?」などと言ってきますので当然読者は一生懸命考えるんですけど、選んで読み進めて「選択する意味ないやん! やられたー」とウケルこと必至です。本当に筆者は笑いましたよ。
こう言う感じのユーモアは筆者が本当に取り組んでみたいことなんですよね。ま、筆者も実際ちょっとだけ自作ゲームブックに盛り込んだりもしてますけどね。
●ゲームオーバーが必然で楽しい
読者は何度もバッドエンドにたどり着きますが、かつてここまで楽しいゲームオーバーがあったでしょうか。
読者は何度もここに来るのが大前提なんですよ。そして死んでも読者はまた良好に冒険をやり直せるのです。
凄いのは
・既に戦った相手はもういないものとして扱う
・使ったアイテムは使用不可
・生命点は再度決め直す
と言うように、完全なやり直しではなく、ゲームクリアが近づく設定でコンティニューができる点です。
これは当時画期的だったことでしょうね。正直筆者はバトルや運試しを「都合の良い目が出た」想定で読み進めてしまいますが、真面目な方はこのブレナンの粋な計らいに歓喜したことでしょう。
「14へ行け」がゲームブック愛好家で「ゲームオーバー」の代名詞として使われるようになったのも頷けます。
これ以上のゲームオーバーは今後いかなるゲームでも出てこないかもしれませんね。
しまいには語り部も「○○と言うトラブルが起きた。どうなるか分かるだろう? そうだ14へ行け」と言うようになってくるし。
●おまけ
付録ページもなかなか凝っています。
『禁断の書』なんてのもあるんです。しかも「見・る・な!」って。
さらに『「見るな!」といわれれば、見たくなるのが哀れな人間の習性』とまで書いてくれているのですから、至れり尽くせりです。
ホント、笑ってしまいます。
でもこれどう活用したらいいのか最初は当惑します。
まあ、読者が自由に使っていいのではないでしょうか。筆者は冒険を終えたので見てみましたが、冒険のヒントとなる事でしょう。
なので、「どうしても解けないよ~」と悩んだ時に見ちゃえばいいんじゃないですかね?
だって、クリアした後だと、あんまり必要性が無くなってしまいますものね。
もちろん、「あ、そうなってんの?」と頷くことも一興と言えますけどね。
●終わりに
以上、いかがでしたでしょうか?
まだ読んでいない方は強くおすすめします。こんな楽しいゲームブックがあったのかと驚かされることでしょう。
マップ自体もそんなに難しくはないと思います。困ったら禁断の書が有りますし。サイコロ転がす手間が煩わしければ頭のなかで都合のいい目を思い浮かべてもいいと思いますよ。
とにかく、読者が楽しめることが一番ですからね。
この作品を読了した筆者が得た教訓は「天狗にならないこと」です。
うーん深い! 大変勉強になりました。
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暗黒城の魔術師 (グレイルクエスト) 単行本(ソフトカバー) – 2004/11/6
さあ、じっと座っているんだ……これから魔法をかけるんだから。なに、なんのことかわからない?いずれわかる。わしがもう何百年も前に死んでいるということもな。だが、それはささいなこと。魔術師とはそういうものだ。この魔法は手間がかかる。そう、この本が魔法そのものというわけだ。
- 本の長さ180ページ
- 言語日本語
- 出版社創土社
- 発売日2004/11/6
- ISBN-104789301419
- ISBN-13978-4789301411
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ゲームブックブーム初期に「ドラゴンファンタジー」の名で親しまれていた、原題「グレイルクエスト」シリーズが装いも新たに復活。君はピップとなり、エクスカリバーJr.を携え、アンサロム打倒の冒険へと出かけるのだ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
真崎/義博
1947年生、明治大学英文科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1947年生、明治大学英文科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 創土社; 第2版 (2004/11/6)
- 発売日 : 2004/11/6
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 180ページ
- ISBN-10 : 4789301419
- ISBN-13 : 978-4789301411
- Amazon 売れ筋ランキング: - 574,391位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 723位TRPG・カードゲーム攻略本
- - 48,377位エンターテイメント (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2015年6月29日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2010年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中1くらいの時すごいはやったゲームブック。
クラスの男の3分の2くらいやってたような気がする。特にソーサリー4部作とか。
もちろん自分もはまったくちで小遣いで買える分だけいろんな種類のゲームブック買いあさってた。
しかしはやったのはほんの一瞬でしだいにやるやつは減っていき最後には周りでやってる人間もなくなりゲームブック自体もいつのまにか出版されなくなってた。このころドラクエ等が出始めててそういうの好きな奴はゲームにいったと思う。
買ったはいいけどほぼ読まないままだった大量のゲームブックを捨てたかどうしたかさえ記憶になく今まで生きてきた。
で、たまたま思い出してネットで検索したら5,6年前に人気あったものがいくつか復刻されてることを知った。
色んなシリーズの中一番好きだったのがJ・H・ブレナンという人が書いたドラゴンファンタジーシリーズ。このシリーズだけはほんとに面白くて他のゲームブックと一線を画してたのになぜかやってるやつが俺以外一人しかいなかった。(しかもそいつも中2で転校していった・・)
そのブレナンのシリーズも3巻まで復刻されてたのでまよわず購入&25年ぶりに読む!
あの面白さは本物だった・・・・今読んでも十分面白さを感じれました。
独特の雰囲気の文体を説明するのは難しいけどとにかく作者がこの本を手にした人にすみずみまで楽しんでもらおうとあらゆる手をつくして作られているのがビシビシ伝わってくる。
今コンピュータゲームの進化はものすごいことになってて実写と見まがうほどのグラフィックや演出がほどこされてるけどまだまだ紙もすてたものじゃない・・・と思わされる1冊。
昔ゲームブックやった人もやってない人もぜひ一読することを強く勧めるシリーズです。
1巻読み終わる前に2,3巻アマゾンで注文しました。
クラスの男の3分の2くらいやってたような気がする。特にソーサリー4部作とか。
もちろん自分もはまったくちで小遣いで買える分だけいろんな種類のゲームブック買いあさってた。
しかしはやったのはほんの一瞬でしだいにやるやつは減っていき最後には周りでやってる人間もなくなりゲームブック自体もいつのまにか出版されなくなってた。このころドラクエ等が出始めててそういうの好きな奴はゲームにいったと思う。
買ったはいいけどほぼ読まないままだった大量のゲームブックを捨てたかどうしたかさえ記憶になく今まで生きてきた。
で、たまたま思い出してネットで検索したら5,6年前に人気あったものがいくつか復刻されてることを知った。
色んなシリーズの中一番好きだったのがJ・H・ブレナンという人が書いたドラゴンファンタジーシリーズ。このシリーズだけはほんとに面白くて他のゲームブックと一線を画してたのになぜかやってるやつが俺以外一人しかいなかった。(しかもそいつも中2で転校していった・・)
そのブレナンのシリーズも3巻まで復刻されてたのでまよわず購入&25年ぶりに読む!
あの面白さは本物だった・・・・今読んでも十分面白さを感じれました。
独特の雰囲気の文体を説明するのは難しいけどとにかく作者がこの本を手にした人にすみずみまで楽しんでもらおうとあらゆる手をつくして作られているのがビシビシ伝わってくる。
今コンピュータゲームの進化はものすごいことになってて実写と見まがうほどのグラフィックや演出がほどこされてるけどまだまだ紙もすてたものじゃない・・・と思わされる1冊。
昔ゲームブックやった人もやってない人もぜひ一読することを強く勧めるシリーズです。
1巻読み終わる前に2,3巻アマゾンで注文しました。
2008年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こちらのシリーズの購入を検討されている方の多くは、「ドラゴン・ファンタジー」と異なっている点が気になるのでは、と思います。まずご覧の通り表紙・サイズが違います。メイン文章は2段組になっており、新書版で遊んだ人間の印象からするとやや読みづらいかと思います。(ただし14だけは1段です)また「目神」というダイス無しでも遊べるシステムに変更されています。(……無かったですよね?このシステム)
2006年4月18日に日本でレビュー済み
もう20年近く前ですか、全巻揃えましたが無くしました。
数年前に古本屋で一冊見つけて購入し、思わず買いました。
既に絶版ですが復刊活動しているサイトの尽力により、再び世に出るようになりました。
再びプレイしてみると、この独特な雰囲気が受け入れられるか否かで評価が変わってくると思います。
「ソーサラー」「ファイティングファンタジー」などのゲームブックと比べるととても異質であり、理不尽な(敵の圧倒的な強さとか)事も多々あります。
しかし、巻を重ねるごとに悪乗りがエスカレートしていき、また付録の地図(セクションが書かれている)やボードゲームのような趣向など、作者の独創性にのめり込んでいきます。
ピップ、マーリン、エクスカリバーJr.、詩吟の魔神などお馴染みのキャラが毎回出てくるので、漫画や小説の連載モノを読んでいる気にもなります。
客観的に見ても星4つはいくのではないでしょうか。
数年前に古本屋で一冊見つけて購入し、思わず買いました。
既に絶版ですが復刊活動しているサイトの尽力により、再び世に出るようになりました。
再びプレイしてみると、この独特な雰囲気が受け入れられるか否かで評価が変わってくると思います。
「ソーサラー」「ファイティングファンタジー」などのゲームブックと比べるととても異質であり、理不尽な(敵の圧倒的な強さとか)事も多々あります。
しかし、巻を重ねるごとに悪乗りがエスカレートしていき、また付録の地図(セクションが書かれている)やボードゲームのような趣向など、作者の独創性にのめり込んでいきます。
ピップ、マーリン、エクスカリバーJr.、詩吟の魔神などお馴染みのキャラが毎回出てくるので、漫画や小説の連載モノを読んでいる気にもなります。
客観的に見ても星4つはいくのではないでしょうか。
2005年6月13日に日本でレビュー済み
この作品はどちらかというと小説性を重視した作品だ。もちろんパズル性や戦闘などもあるのだが、圧倒的に魅力なのはその素晴らしい文章自身や世界観であろう。魔術師マーリンが読み手に語りかけるという形の導入部分は、すんなりと我々を異世界に誘ってくれる。全体にちりばめられている皮肉と愛のこもったユーモアも、読みやすさをバックアップしている。お陰で、普通はキャラクターが死ぬというバッドエンドの項目には目を通したくないわけだが、この作品の場合、その項目が最も親しみのわく箇所になっているのだ。
なお、以前は「ドラゴンファンタジー」という名で出版されていたこのシリーズ、新たに書き下ろしイラストが加わり、「グレイルクエスト」と名を変えて復活した。ゲームマニア向けというより、むしろファンタジー小説好きへ気軽に勧められる作品である。
なお、以前は「ドラゴンファンタジー」という名で出版されていたこのシリーズ、新たに書き下ろしイラストが加わり、「グレイルクエスト」と名を変えて復活した。ゲームマニア向けというより、むしろファンタジー小説好きへ気軽に勧められる作品である。








