殺せんせーという単語以外何も知らない漫画を今更読んでみましたが面白いね。”殺意”という暗い感情に相手の気持ちを考えるとかそういう道徳的な観念を乗っけているのは若干の風刺を効かせつつも少年漫画らしくて楽しい。話の組み立てかたも上手いし、殺せんせーのキャラも立っているのでこれは売れるだろうなあと思わせるだけの漫画です。本作が連載されていた頃は少年漫画なんぞ読んでも人生に何の足しにもなりゃしねえと思っていたので読みませんでしたが、ただ単に漫画として面白ければいいじゃんとなった今ではシリアスだったり社会派だったり高尚ぶってるのが偉いみたいなのもウザいだけなので、こうやって楽しい漫画を肩の力抜いて気軽に楽しむほうが良いなと思いました。最終回は殺せんせー屠って仰げば尊し歌うんですかね？違うと思いますが、続きも読んでいこうと思いました。
［追記：ネタばれをある程度避けた最後まで読んだ感想］
最終回まで読み、上ではだいぶ軽い感想を書いたが教師漫画としてかなり挑戦的で真面目な作品だなあ、と思ったので上の感想はまだ少年漫画への偏見を消せてないなと反省した。
だいぶ多方面に向けた問題提起が行われていると思う。ひとつだけ触れみるとあとで明らかになる渚の才能。個性を伸ばすのがいい教育なんて言われるけど、世間からまったく役に立たないどころか伸ばされると困る方に特化した才能は伸ばすべきなのか？とゆー問題。コレ以外にも少年漫画で踏み込む限界まで踏み込んで色々なテーマを描いてる。殺せんせーが生まれる背景には3人の人物が重要な役割となるが、悪人として描写される彼にしても「天才である」には違いなく、彼なくして殺せんせーは存在し得なかったのであり、ではそんな才能が育つ土壌が貧しくなってる現実のこの国はどうよ、と考える仕掛けになっていて上手い。そんで少年漫画が踏み越えてはいけないところでちゃんと止まってるのでバランス感覚もしっかりしてる。こういう漫画が大ヒットしたのはいいことだなあと思うし、教師漫画を次のステージへと更新させた傑作だと思った。現在までも含め、この漫画雑誌が一人勝ちし続けてるのは必然だと思う。
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