暗号技術はコンピュータセキュリティになくてはならない技術だ。データの暗号化はもちろんのこと、デジタル署名やデジタル証明書などの認証技術にも応用されているように、コンピュータの普及そのものに関わる技術である。これらの暗号化の技術について知的な好奇心をかきたてられる方には本書がおすすめだ。
本書では暗号技術についてわかりやすく解説している。「シーザー暗号」や「エニグマ」といった歴史的な暗号化の手法から始まり、現在使われている共通鍵、公開鍵暗号方式をはじめとする各種暗号化方式、応用技術であるデジタル署名、メッセージ認証コード、証明書、そして鍵の扱い問題、PGPなどが扱われている。そして、各々の暗号技術についてどのような原理で暗号化しているのか、そしてどのような弱点があり、どんな場面で使われるのかが解説されている。
暗号という分野そのものを理解するようなスタンスで作られているのが本書の特徴だ。織り込まれているクイズには、暗号化技術が抱える問題の本質を考えさせてくれる内容や、実際に手を使って暗号化や暗号解読をしてみる演習などが盛り込まれているので、深い理解が得られる。数学の知識とコンピュータの知識が必要となるが、数式はさほど多く使われておらず、使用されている場合には、かなり詳細な解説を施しているので数学が苦手な方でも読み進めることができるだろう。
普段何気なく使っている暗号化技術に、何ができて何ができないのかを理解することはコンピュータを安全に使うためにも必要だ。「暗号って複雑そうだ」と、漠然したイメージを持っている方は、本書をきっかけに学んでみてはいかがだろうか。(斎藤牧人)
暗号技術入門 現在,コンピュータで利用される暗号技術について,その仕組みを解説する。数式を使わずに図で説明する工夫が施されており,数学が苦手な人にも詳しい仕組みが理解できるようになっている。換字暗号文を頻度分析により解析する例では推理小説を読むのと同じ面白さがある(頻度分析による暗号解読は実際,ポーの「黄金虫」など推理小説にもよく登場する)。暗号化方式と共に重要な乱数についても,無作為性と予測不可能性,再現不可能性の3つをきちんと区別して解説している。
(日経Linux 2003/12/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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内容(「BOOK」データベースより)
現代の暗号って、こうなっていたのか。公開鍵暗号、RSA、デジタル署名、PKI、PGP、SSL/TLS、乱数…たくさんの図とやさしい文章で、現代の暗号技術を解き明かす。
内容(「MARC」データベースより)
現代の暗号ってこうなっていたのか-。公開鍵暗号、RSA、デジタル署名、PKI、PGP、SSL/TLS、乱数…。たくさんの図とやさしい文章で、現代の暗号技術を解き明かす。