まだ陽が高いうちに銭湯でひとっ風呂浴びて、
おもむろに居酒屋で飲む。
ささやかながら、なかなか果たせぬオジさんたちの夢。
久住先生、代わりにやってくれました。
仕事場近くの銭湯や、下町、札幌遠征に加え
大黒湯、金春湯、蛇骨湯だのといった、
銭湯界の名だたる大物も制覇。
銀座の金春湯に行ってよし田で蕎麦とか、
蛇骨湯に行って、神谷バーとか、
ストライクゾーンのど真ん中に、ストレート投げ込んできます。
ちまちまと細かい観察しては、妄想ふくらます久住節も全開。
今すぐ仕事なんか放り出して風呂いきたくなりました。
特に印象深かったのは最終章「思い出あふれる、神保町」です。
この章はそれまでの軽妙なタッチから、がらっと趣が変わっています。
今や皇居ランナーの聖地となった梅の湯と、名店、兵六へ足を運びます。
久住がようやくガロに原稿を描き始めた頃に
名物編集長だった故長井勝一さんに連れられていった梅の湯。
その思い出が語られます。
いまだ何者でもなく、将来もさだかではない久住が、
大人の世界の入り口に立った日。
「銭湯好きになったきっかけ」というこのエピソードがあったからこそ、
「愚民ども!」「いい湯ではある」の名台詞は生みだされたのでしょう。
このエピソードからほんの1、2年後、1983年の頃を思い出します。
友人の部屋に遊びに行ったら、
本棚の「羊をめぐる冒険」の隣に一冊のマンガが並んでいました。
「あれ、お前も読んだ?」
「この間小森んち行ったら、あいつも読んでたぞ」
当時、鬱屈した大学生の書棚には村上春樹と並んで、
必ず「かっこいいスキヤキ」がありました。
どこにもない世界を描いていた村上春樹と同時期に、
いまここにある空気感を描いてくれた泉昌之というマンガ家は、
熱狂的な崇拝の対象でした。
それで、どっちかっていうと春樹より泉昌之の方が好きでした。
その後の人生において、村上春樹の作中人物とそっくりな話し方をする人、
二人ほど会ったことあります。
笑いをこらえるのに必死でした。
一方、「かっこいいスキヤキ」の登場人物と同じ経験なら枚挙にいとまがありません。
「ロボット」とか(笑)。
部屋にプラスチックの甲冑ありました(笑)。
今でも妻とスキヤキをするたび、
「本郷、豆腐好きか」と言い合います。
80年代は遠くなりました。
本書の中で、久住は心境を語っています。
「マンガだもの。つかの間楽しんでもらえばいい。
全然立派でなくていい。たかがマンガ家じゃん。
好きなことをやらせてもらってるんだ、儲かろうなんて浅ましい」
19歳の青年が銭湯のれんをくぐったあの日から、
たくさんの水が川を流れていったようです。
浮き沈みの激しい表現の世界で生き延びてきた男の心境が伝わってきます。
奥付を見ると2011年の12月でした。
・・・・・・そうか。
翌月、2012年の1月から「孤独のグルメ」の放送がスタートする。その直前だ。
人が生きていくうちにいろんなことがある。
「一寸先は闇」と言うけれど、この後には輝かしい日々が控えていたわけですね。
読み終わった後、つい、よし田の蕎麦が食いたくなって、
仕事帰りに寄ってみました。
ところが・・・・・・「ぬ」。
よし田が「ぬ」。
後に6丁目に移転していたのを見つけましたが、
もう一生、あのコロッケ蕎麦が食えないかと思って、
一瞬、目の前が真っ暗になりました。
久住さん、これからもご健筆を。
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昼のセント酒 単行本 – 2011/12/24
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購入オプションとあわせ買い
真っ昼間の、銭湯上がりの生ビール。これに勝てるヤツがいたら連れて来い!
ドラマ化で話題となった『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』の原作者
久住昌之氏が提案する「風呂」×「飯」の痛快エッセイ!
銭湯でからだを流し、明るいうちから一杯やる「昼のセント酒」。
天窓から入る明るい光。
高い天井に「コーン」と響くオケの音。
広い湯船につかって、さっぱりしたからだに流し込む泡の立ったビール。
このシチュエーションで飲む酒が、美味くないはずがない。
時代の変化に飲み込まれながらも生き延びてきた銭湯で、
人々に愛され続きてきた古い居酒屋で、
珍妙なものに遭遇したり、明るい酔いに浸ったり、人の生き方を垣間見て感慨深くなったり。
滑稽だけど、どこかノスタルジック。
お金をかけずに、気軽に、お酒を美味しく気持ちよく楽しむ、楽酔話。
「やっぱり昼間、湯に行って、あかるいうちから飲むビールは最強だ。どうしてくれよう」
(『昼のセント酒』第一回おだやかな町、浜田山より)
■■目次■■ 【ビールを特別おいしくする街歩き】
第一回 おだやかな町、浜田山
第二回 銭湯の親玉参り、北千住
第三回 北千住 大黒湯のバーナナ犬
第四回 生まれ育った土地、三鷹
第五回 ひと風呂浴びに、銀座
第六回 盗人、寅さん、立会川
第七回 仕事場の町、吉祥寺
第八回 ブルースだぜ、寛政町
第九回 雨に降られても、浅草
第十回 思い出溢れる、神保町
ドラマ化で話題となった『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』の原作者
久住昌之氏が提案する「風呂」×「飯」の痛快エッセイ!
銭湯でからだを流し、明るいうちから一杯やる「昼のセント酒」。
天窓から入る明るい光。
高い天井に「コーン」と響くオケの音。
広い湯船につかって、さっぱりしたからだに流し込む泡の立ったビール。
このシチュエーションで飲む酒が、美味くないはずがない。
時代の変化に飲み込まれながらも生き延びてきた銭湯で、
人々に愛され続きてきた古い居酒屋で、
珍妙なものに遭遇したり、明るい酔いに浸ったり、人の生き方を垣間見て感慨深くなったり。
滑稽だけど、どこかノスタルジック。
お金をかけずに、気軽に、お酒を美味しく気持ちよく楽しむ、楽酔話。
「やっぱり昼間、湯に行って、あかるいうちから飲むビールは最強だ。どうしてくれよう」
(『昼のセント酒』第一回おだやかな町、浜田山より)
■■目次■■ 【ビールを特別おいしくする街歩き】
第一回 おだやかな町、浜田山
第二回 銭湯の親玉参り、北千住
第三回 北千住 大黒湯のバーナナ犬
第四回 生まれ育った土地、三鷹
第五回 ひと風呂浴びに、銀座
第六回 盗人、寅さん、立会川
第七回 仕事場の町、吉祥寺
第八回 ブルースだぜ、寛政町
第九回 雨に降られても、浅草
第十回 思い出溢れる、神保町
- 本の長さ207ページ
- 言語日本語
- 出版社カンゼン
- 発売日2011/12/24
- 寸法13 x 2.7 x 18.8 cm
- ISBN-104862551157
- ISBN-13978-4862551153
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商品の説明
著者について
1958年生まれ、東京都出身。1981年、原作・久住昌之、作画・和泉晴紀のコンビ「泉昌之」で描いた短編漫画『夜行』でデビュー。実弟・久住卓也とのユニットQ.B.B作の『中学生日記』(青林工藝社)で、第45回文藝春秋漫画賞を受賞。根強い人気を保つ谷口ジローとの共著『孤独のグルメ』(扶桑社)は、フランス、イタリアなどで翻訳出版されている。また、水沢悦子との共著『花のズボラ飯』(秋田書店)は、「マンガ大賞2011」4位、「このマンガがすごい! 2012」オンナ部門1位。漫画、エッセイ、デザイン、音楽など、多方面で創作活動を展開している。
登録情報
- 出版社 : カンゼン (2011/12/24)
- 発売日 : 2011/12/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 207ページ
- ISBN-10 : 4862551157
- ISBN-13 : 978-4862551153
- 寸法 : 13 x 2.7 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 417,223位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 614位ワイン・お酒 (本)
- - 1,779位グルメ (本)
- - 61,080位趣味・実用
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中にエラーが発生しました。ページを再読み込みしてください。
- 2012年1月19日に日本でレビュー済み久住さんの なんともいえないぐいぐいと引き込まれる食べ物の描写が好きです。
くどくど語らず、騒ぐわけでもなく、でもその横で見ている気がするような、
不思議な距離感。
そんな久住さんの食べ物話に、風呂がついた。
家でも温泉宿でもなく、銭湯。
風呂上がりの一杯はもう、言うまでもなく、うまい、しみこむ。
でも、舞台は銭湯、登場人物は大人だから、
ありとあらゆる風呂に飛び込み、サウナに無理して籠り…なんてことはしない。
風呂上りに、ビールビール、キター!。くーーーっ!ぷはーーーーっ!
なんて大騒ぎもしない。
節度…。
配慮、思慮。
大人です。静かです。
でも、心の中では驚き喜び、人生をも反芻し、堪能し、存分に酔いを楽しむ。
でも、十分に濃い空間と時間。
ふーーー。
もっともっと久住湯につかっていたいなぁと思うのですが、
少し短めなのが残念です。
あと、平日の一番風呂から居酒屋は
やはり普通の勤め人には難しく、
まねしてもできない。
久住さんの満足通り、
いいなぁと、通りから…いえ字間から その様子をながめたいと思います。
- 2013年6月21日に日本でレビュー済みAmazonで購入おっさんが銭湯に行って、その後呑み屋へ・・という構成で、物語がいくつかあります。
服装からから開放された銭湯という裸の空間で、この人は何やってる人なの?って筆者は想像を巡らし、銭湯のペンキ絵を感慨深く観察しているけど、結局これはお酒を上手く呑むための前戯?のようなもんで、準備整えて呑み屋へ直行となります。
久住昌之さんというと「孤独のグルメ」ですが、「孤独のグルメ」の文章版なんて思って読むと裏切られるのでご注意を!
酒飲みオヤジの戯言のようなもんなんだけど、自分はこういうゆる~い感じがかなり気に入って5つ星だけど、個人差がありそうですね。
- 2014年1月26日に日本でレビュー済みAmazonで購入勘弁してほしい…会社を辞めたくなる。
本文にあるように、マンガ家は「立派」「リッチ」「利口」を望んでもつまらない。で、バカやってるから読んでもらえるような作品を作る力が生まれてくるんだろう。
うらやましい。毎日、電車に乗って会社。降りて、どこかへ行ってしまおうかと何度も思ったことがある。でも、どこへも行かずに会社へ行く。
今、会社員を辞めたらどうなるのだろうか。何かできるかもしれないけど、何かをやる覚悟もないからそれが出来ずに電車に乗る。
まあ、いいと思う。それなりに楽しめているし、これから先、何があるか分からないから。
そんな私の幸せなひと時の1つが仕事から帰ってきて、自分の部屋で飲む一杯の梅酒ロック。梅酒はよさそうなものをわざわざ酒屋で買ってくる。
休みの日は昼から呑んだりすることもある。
たまには、この本のように昼から銭湯に行ってみてもいいかな。
大学時代は、そんなことばっかりしていた。 要するに暇だった。時間も未来も無限にあるような気がしていた。
大学時代は確かに時間が無限にあるような気がしていた。でも、今でも時間は結構取れます。
男湯で、男は他人の局部を意識的に見ないようにしている気がする。女湯ではどうなんだろう? 他の女の乳や毛や股や尻を見るだろうか。
確かに風呂では見ない。自身がなくなりますからね。
【引用】
やっぱり昼間、湯に行って、明るいうちから飲むビールは最強だ。
【手に入れたきっかけ】
セールをやっていて、気になったので。
- 2014年4月25日に日本でレビュー済みAmazonで購入題名からして読むのが楽しい本です。5月の連休の時に読もうと思ってます。
とても楽しみにしてます。
- 2012年2月19日に日本でレビュー済みドラマ化され放映中の「孤独のグルメ」では自身で音楽も手がけ解説者としてTV出演もし、異色コラボの「花のズボラ飯」は2012年このマンガが凄いで1位に輝くというグルメ漫画の原作者として今や名高い久住昌之氏によるエッセイ。
コンセプトはタイトルとカバーを見ての通り、昼間に銭湯で入浴し近くの酒場で…
という一般サラリーマン的なライフサイクルからはかけ離れた行為を各地で繰り広げるというもの。
相変わらず独自の観察眼と妄想力による人物描写や裏グルメレポには、
当然の如く説教じみたり押し付けがましくなく惹きこまれ、
家族連れでごった返す流行のスーパー銭湯ではないこんな街の銭湯に
ただふらっと浸かりに行くことを目的にするのも有りかなとさえ思わせる。
だが、そんな銭湯と呑み屋の描写以外の部分に別の魅力が本作にはあった。
それは四半世紀以上漫画の原作者やエッセイストとして君臨し続けてきた
久住氏の学生時代や漫画家デヴュー当事からのエピソードを、
自宅や兄弟なども交えて織り込んでいることである。
共棲の困難そうなサブカルチャーのほんの片隅に
ちょっとしたアイディアと独自の妄想と描写力で
傍目には安定して存在し続けてきたかのように映る
氏の下積み時代や家庭環境を垣間見ることが出来たのは
ファンとしては思いがけない収穫だと言える。
- 2014年5月25日に日本でレビュー済み「風呂で世界は平和になる」というテルマエ・ロマエほど大掛かりでも、小原庄助のように全財産を無くすわけでもないが、オヤジの日常の冒険としての「昼風呂」「昼酒(基本大衆酒場)」を綴ったエッセイ。北海道のエピソードが一つあるほかは東京・神奈川に絞られる。
文章がいい。
「かぁー! ウマイ!やっぱり昼間、湯に行って、明るいうちから飲むビールは最強だ。その一口目は、まさに無敵。どうしてくれよう。無意味に店内を見渡す。文句あるか。 (略) 俺は今、全身でビールを受け止め、全霊でこれを受け止めている。愛、のような気がする。馬鹿か。馬鹿でよい。否、馬鹿でよかった。 (略) 今、ビールは俺のからだの中に、無血入城を果たした。俺の全細胞が歓喜してそれを取り囲み熱狂している。「ビール、万歳!」「ビール、万歳!」「王様、万歳!」「王様、万歳!」むろん、王様は俺だ。馬鹿の王様、真っ裸に冠だけかぶり、ロバの耳をビンビンに立て、満面の笑みで民衆に手を振っている。」
「からだを洗って温泉につかる。温度はやや低めで、湯がからだにすぐ馴染み、旅の疲れと昨夜の演奏の疲れが、みるみる溶解していくようだ。目を閉じると湯と一体化しそうだ。目を開けたら、お湯になっているのではないか。意志を持ったお湯に。というか、この湯は意志を持って、ボクをとろかしているのではないか。」
「風呂から出て、涼んでいたらオバちゃんが出てきたので、思わず言った。「あー気持ちよかった。いつまでも暑いですね~」「そうねぇ、でも、暑いけど、暑い暑いって言ってるうちに、秋になるのよね。そしたらもうクリスマスで、お正月でしょ。早いね~」オバちゃん、それはなんでも、先走り過ぎ、まだ八月だ。(略)「ここの銭湯、長いんでしょう?」「長い、長い、もう七十年以上?ワタシだってここに来て、二十年?いえ、三十年、五十年・・・・・・」ぐんぐん上がる勤続年数。「その間に子供育てて、大人にして、ねー。人間、死ぬために生きてるみたいだねーハハハ」ブルースだぜ、オバちゃん。」
もちろん、酒場の描写もすごく酒が飲みたくなる。この気持ち、中高年にならないとわからないかな。今度午後休取ってここに出てる銭湯と酒場に行ってみるか。











