本書を拝読し、太平洋戦争の直前には様々な動きがあったということに改めて気付くこととなりました。とても興味深い内容であるため、ご一読をお奨め致します。
一方で、個人的には一つ引っかかる点がありました。それは、総力戦研究所研究生が課題を受け取ったのが7月12日だったという点でした。
7月12日・・・
私は常々、独ソ戦勃発から南部仏印進駐までの一カ月強の間に日本人が下した決断について考えることがとても重要だと考えています。それには三つの理由があります。一つ目はその決断は日本人が下してきた決断の中で最も大きな影響を世界の歴史に及ぼしたものに思えること。二つ目はその決断をする際に幾つかあった選択肢は世界の歴史が違う方向に進んでいく可能性を秘めたものであったこと。三つ目はその決断は日本人によってなされたとされているもののもしかしたらソヴィエト共産党の影響があったかもしれないこと。これら三つの理由です。
それでは、その決断とはどの様なものだったのでしょうか。それは「三国同盟によって日本と同盟関係にあるドイツが、日本と中立条約を結んでいるソヴィエトに攻め込んだ。日本はどうする?」という設問に対して日本が急いで作った答案と言い換えられると思います。そして、その答案とは「関東軍特別演習(関特演)と南部仏印進駐」ということになります。
その決断の推移を簡単な年表形式で書くと以下となります。
6月22日 独ソ戦勃発
6月25日 第32回大本営政府連絡懇談会(「南方施策促進ニ関スル件」)
6月28日 第35回大本営政府連絡懇談会(「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」決定)
7月 2日 第5回御前会議(「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」承認)
7月13日 関特演第一次動員
7月16日 関特演第二次動員
7月28日 南部仏印進駐
簡単に流れも記しておきます。6月22日に独ソ戦が勃発。様々な意見が出る中、先ず6月25日から28日にかけて基本路線が決められました。次にその基本路線が7月2日の御前会議で承認されました(独ソ戦勃発から僅か十日後!)。その基本路線に基づき関特演が開始され、南部仏印進駐が実施されました。
なお、「関東軍特別演習(関特演)と南部仏印進駐」という答案ができるまでには、他の選択肢も議論された様です。例えば「対ソ宣戦」(松岡外相)や「三国同盟破棄」(鈴木企画院総裁)などです。そして、もし、それらが答案に採用されていたとしたら、世界の歴史は随分違ったものになったのではないかと感じます。
それでは、表題に記載した「総力戦研究所研究生が課題を受け取ったのが昭和16年7月12日だったということの意味」についてですが、それを考えるために、上記の年表に総力戦研究所の動向を()内に記入する形で追記してみました。
(4月 1日 総力戦研究所研究生入所式)
6月22日 独ソ戦勃発
6月25日 第32回大本営政府連絡懇談会(「南方施策促進ニ関スル件」)
6月28日 第35回大本営政府連絡懇談会(「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」決定)
7月 2日 第5回御前会議(「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」承認)
(7月12日 総力戦研究所研究生に「第二期演習状況及課題」が課せられる)
7月13日 関特演第一次動員
7月16日 関特演第二次動員
7月28日 南部仏印進駐
(8月27-28日 総力戦研究所研究生の模擬内閣が近衛内閣に報告)
これを見てみると、御前会議で方針が決定された後に、総力戦研究所研究生に対して課題が出されていることが分かります。そして、本書によると、その課題は、「英米の対青国(=シミュレーション上の日本)輸出禁止という経済封鎖に直面した場合、南方の資源を武力で確保するという方向で切り抜けたら、どうなるか」(Kindle 101頁)を示すことであった様です。
このことから、「総力戦研究所研究生が課題を受け取ったのが昭和16年7月12日だったということの意味」は、日本の上層部によって総力戦研究所研究生に課された課題が、あくまで、独ソ戦勃発を受けて決断した南部仏印進駐の後にどうすべきかというものであって、独ソ戦勃発を受けて日本がどう対応すべきかというものではなかったということと考えられます。
おそらく、当時の偉い人達が若手の優秀な頭脳から聴きたかったのは、南部仏印進駐の後に行うべき妙案だったのでしょう。そして、何か妙案が提案されれば採用を検討しても良いぐらいの感じだったのではないでしょうか。したがって、8月27-28日の時点で、遠回りな表現ではあれ、いまさら「必敗」などということを報告されてもしょうがないと、当時の偉い人達には感じられてしまったのではないかと推測致します。
ここで、私は考えてしまうのですが、もし総力戦研究所研究生が、「南部仏印進駐後に何をすべきか」という課題ではなく、「独ソ戦勃発を受けて日本はどう対応すべきか」という課題(これは大本営と政府が突如として6月22日に取り組まなければならなくなった課題でしたが)を与えられたとしたら、どういう答案を作成したのでしょうか。もしかしたら、当時の大本営と政府による「関東軍特別演習と南部仏印進駐」という答案とは別の答案を作成したのかもしれません。当然望むべくもないのですが、総力戦研究所研究生の答案を見てみたいと思ったのでした。
そして、さらに言うと、本書には以下記載がありました。
「独ソ開戦の前日、六月二十一日は土曜日だったが、燃料課はてんてこまいの忙しさだった。現在、どの歴史年表をひもといてみてもアメリカの対日石油禁輸措置は八月一日と書かれている。しかし、実質的な禁輸は『石油製品輸出許可制』が完全実施された六月二十一日で、その後は、一滴の石油も入手できなくなっていた。」(Kindle 133頁)
この部分を読むと、アメリカは独ソ戦の情報を前もって入手し、日本に対する石油禁輸を独ソ戦勃発前に間に合わせたと、私には見えなくもありません。いずれにしても、ここに書かれてあることが正しいと考えて、6月22日に日本が取り組まなければならなくなった設問に反映させると、「アメリカが日本に対し石油を一滴も輸出しなくなった次の日に、三国同盟によって日本と同盟関係にあるドイツが、日本と中立条約を結んでいるソヴィエトに攻め込んだ。日本はどうする?」ということになります。とても胃の痛くなるような設問ですが、これに対する答案を、総力戦研究所研究生だったらどの様に作成したのだろうかと考えてしまったのでした。
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昭和16年夏の敗戦-新版 (中公文庫 (い108-6)) 文庫 – 2020/6/24
猪瀬 直樹
(著)
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各界の著名人が絶賛!
日本的組織の構造的欠陥に迫る、全国民必読の書
〈広く読まれるべき本。講演で何度もすすめている〉
小泉純一郎(元内閣総理大臣)
〈データを無視し「空気」で決める。
この日本的悪習を撤廃しないかぎり、企業の「敗戦」も免れない〉
冨山和彦(経営共創基盤代表取締役CEO)
〈これは過去の歴史ではない。いまだ日本で起きていることだ〉
堀江貴文
〈私は、本書をまずまっ先に読むように若い学生諸君に伝えたい〉
橋爪大三郎(社会学者、大学院大学至善館教授)
〈結論ありきで大勢に流される日本の弱点が活写され、時代を超えて私たちに問いかける。あれからいったい何が変わったのか、と〉
三浦瑠麗(国際政治学者)
日米開戦前夜、四年後の敗戦は正確に予言されていた!
平均年齢33歳、「総力戦研究所」の若きエリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでもなお開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を衝く。
〈巻末対談〉石破 茂×猪瀬直樹
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〈巻末対談〉石破 茂×猪瀬直樹
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2020/6/24
- 寸法10.6 x 1.3 x 15.2 cm
- ISBN-104122068924
- ISBN-13978-4122068926
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| 内容説明 | 日米開戦前夜、四年後の敗戦は正確に予言されていた!平均年齢33歳、「総力戦研究所」の若きエリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでもなお開戦へと突き進んだのはなぜか? | 日本的組織論・戦略論の名著。大東亜戦争での諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓とした戦史の初めての社会科学的分析 | 歴史作家であり、稀代のプロデューサーでもあった著者の二十年以上にわたる組織論研究の集大成。著者解説「今こそ、読んでほしい作品」を収録した決定版! |
商品の説明
著者について
猪瀬直樹
1946年長野県生まれ。作家。87年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。96年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。2002年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。07年、東京都副知事に任命される。12年、東京都知事に就任。13年、辞任。15年、大阪府・市特別顧問就任。主な著書に『天皇の影法師』『黒船の世紀』『ペルソナ 三島由紀夫伝』『民警』のほか、『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(全12巻、電子版全16巻)がある。近著に『日本国・不安の研究』など。
1946年長野県生まれ。作家。87年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。96年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。2002年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。07年、東京都副知事に任命される。12年、東京都知事に就任。13年、辞任。15年、大阪府・市特別顧問就任。主な著書に『天皇の影法師』『黒船の世紀』『ペルソナ 三島由紀夫伝』『民警』のほか、『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(全12巻、電子版全16巻)がある。近著に『日本国・不安の研究』など。
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社; 新版 (2020/6/24)
- 発売日 : 2020/6/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 296ページ
- ISBN-10 : 4122068924
- ISBN-13 : 978-4122068926
- 寸法 : 10.6 x 1.3 x 15.2 cm
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著者について
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作家。1946年長野県生まれ。
83年に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『日本凡人伝』を上梓し、87年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞。定評の評伝小説に『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』『こころの王国 菊池寛と文芸春秋の誕生』がある。
『日本国の研究』で96年度文藝春秋読者賞。
2002年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。その戦いの軌跡は『道路の権力』『道路の決着』に詳しい。06年に東京工業大学特任教授、07年に東京都知事に任命される。近著に『ジミーの誕生日 アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』『東京の副知事になってみたら』。また、『昭和16年夏の敗戦』中公文庫版が2010年6月に刊行された。
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日本は情勢の分析に基づいて将来を企画立案していくのではなく、その時々の雰囲気に流されて物事が決まっていく社会であり、それは現代の政治でも全く変わらないことをこの本により改めて理解させてもらった気がします。さらに、あとがきに書かれた内容(※)が事実であることが分かり、一時期でもこのような発言を行う方を首相に選んでしまうことが無いよう、選挙の投票先は真剣に考えなければならないと改めて思いました。
※2010年8月19日当時の首相の発言~「防衛大臣は自衛官じゃないんですよ」
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2024年5月13日に日本でレビュー済み
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チャーチル首相の第二次世界大戦回顧録を読んでいる内に、我が国の東条首相の考えを知りたくなり出会ったのが本書。平凡な戦史物、歴史書では無く昭和16年4月に内閣研究機関として発足した総力戦研究所を通じ大東亜戦争勃発の理由と当該首相近衛・東条両名の思想を述べている。戦前は軍を管轄する権利:統帥権は天皇が握り、その実行権は統帥部(陸海軍)に所属し、政府は統帥権に触れることが出来ず、軍部(特に陸軍)の独走を許し、満州国・支那事変そして日独伊三国同盟が政府の十分な了解なしに発生。これらは、列強の国策と合わず米・英・蘭からの石油輸入禁止となり昭和16年中ごろには「日米開戦やむを得ず」となる。総力戦研究所は情勢に従い日米開戦後の将来を戦争遂行の最大資源・石油を中心に分析。インドネシア油田と何千キロに渡る輸送絽(シーレーン)を解析し、開戦2~3年後には石油備蓄量が戦争遂行力の十分の一以下になり「日本必負」の結論に達し16年夏、東条陸相に報告。そして開戦派の筆頭であった東条陸相に16年10月大命が降り内閣総理大臣となる。東条は陸大出身のエリートだが実戦経験は無しに等しく陸軍参謀部を年功序列的に上り詰めて、思想も他将軍達と同様で有り格別に秀でたものは無い。但し、天皇への忠誠心は人一倍強く、皮肉にもそれが発揮できたのは戦後の東京裁判で「天皇無しでは戦後統治が不可」と考えたマッカーサー元帥の意を知らされ、「最後の奉公」と裁判で自身が戦争開始の責任を負う。すると売上増を目的に戦争を美化・拡大賛成してきた新聞諸紙はこれ幸いと「全て東条が悪い」と決めつけ、自らは責任を回避し戦後体制が確立する。チャーチル首相はインド内乱鎮圧、ボーア戦争、第一次大戦等の戦争経験が豊富で、早い段階で原爆の可能性を知り、シーレーン防衛の重要性、レーダー・通信網の確立に腕を奮い、実務・実戦経験が豊富。一方、東条首相は陸軍内部の行政・指導がメインで総力戦研究所の結論を机上演習とけなしたが、戦争経験の無い彼自身の戦争案も机上案だったのです。さて我々も日本の将来予測をしましょう。それに不可欠なのはデーター、ただ現在データーはITを使用し簡単に入る。私が使用したデーターは①人口推移:2023年の出生人口は80万人、これでは100年後日本人は6,400万人前後と現在の半分。②高学歴率:世界レベルで高学歴は大学院卒(修士・博士)だが、米国は高学歴率が30%前後、韓国でも10%前後、日本は5%弱。③留学率:受け入れでは無く日本人の海外留学生数、米国有数なスタンフォード大学は院生数約16,000人、3,000人が海外からの留学生数として、日本人は5,6名、0.2%です。これらのデーターから皆さんは30年後、50年後の日本をどう位置付けます?
2024年5月20日に日本でレビュー済み
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戦後生まれの我々の歴史教育は戦争体験者が存続している当時としては、なかなか深堀した教育がやりずらかったのであろう。どうしても(又は敢へて)明治以降、昭和の敗戦に至るまでの歴史を避けていた感がある。
本来は当時(戦後生まれ)の子供達にとっては自分たちがこれからの世界を生きて行くうえで最も身近に感じる教訓となりうる近現代史をロクに学ばない(教えてもらえない)まま育ってしまった。
また、戦後の最前線は太平洋戦争の敗戦であるが何故米国を相手に戦争を仕掛けたのか、当時、物心ついたばかりの我々ベビーブーマーにとっては理解しがたい事実であった。
しかし戦後30年も過ぎた頃から、この太平洋戦争の意義を正面から扱う小説、論評が増えて来た。
本書は猪瀬氏による日米開戦直前に創設された「総力戦研究所」による模擬内閣を通して日米開戦は「日本必負」の結論に達していたにも拘わらず敢へて開戦を決断したいきさつをドキュメンタリー調で記載された名著だと思う。
本書により当時の政治家、軍人、官僚そして天皇がどの様な意見をもたれていたのが良く理解できた。
本来平和を望む天皇、天皇に忠誠を尽くす東条英機、各種データに元づく「総力戦研究所」の「日本必負」の結論、アメリカでの生活を経験していた海軍山本五十六元帥、皆、日米開戦は無謀であると認識していた。
それが何故開戦に踏み切ったのか本書「昭和16年夏の敗戦」に詳細に記載されている。
理由としては①日清、日露戦争とて勝ち目のない戦争であったにも拘わらず、現実には勝利した。机上の空論と現実とは異なり、大和魂を持った日本兵であれば必勝する。と言う様な軍部の勢力。⓶マスコミが民衆を煽り立てる様な記事を書きまくった事により国民自身が戦争を望む様になった事、が主な理由だと思われる。
(戦前、戦後でその論調が180度変化した〇日新聞などの責任は大きいと思う。)
いずれにせよ情報が(比較的)自由に入手できる時代になった今、我々は多くの情報に触れ
今後の日本の未来をより良いものにして行く責務があると思う。
本来は当時(戦後生まれ)の子供達にとっては自分たちがこれからの世界を生きて行くうえで最も身近に感じる教訓となりうる近現代史をロクに学ばない(教えてもらえない)まま育ってしまった。
また、戦後の最前線は太平洋戦争の敗戦であるが何故米国を相手に戦争を仕掛けたのか、当時、物心ついたばかりの我々ベビーブーマーにとっては理解しがたい事実であった。
しかし戦後30年も過ぎた頃から、この太平洋戦争の意義を正面から扱う小説、論評が増えて来た。
本書は猪瀬氏による日米開戦直前に創設された「総力戦研究所」による模擬内閣を通して日米開戦は「日本必負」の結論に達していたにも拘わらず敢へて開戦を決断したいきさつをドキュメンタリー調で記載された名著だと思う。
本書により当時の政治家、軍人、官僚そして天皇がどの様な意見をもたれていたのが良く理解できた。
本来平和を望む天皇、天皇に忠誠を尽くす東条英機、各種データに元づく「総力戦研究所」の「日本必負」の結論、アメリカでの生活を経験していた海軍山本五十六元帥、皆、日米開戦は無謀であると認識していた。
それが何故開戦に踏み切ったのか本書「昭和16年夏の敗戦」に詳細に記載されている。
理由としては①日清、日露戦争とて勝ち目のない戦争であったにも拘わらず、現実には勝利した。机上の空論と現実とは異なり、大和魂を持った日本兵であれば必勝する。と言う様な軍部の勢力。⓶マスコミが民衆を煽り立てる様な記事を書きまくった事により国民自身が戦争を望む様になった事、が主な理由だと思われる。
(戦前、戦後でその論調が180度変化した〇日新聞などの責任は大きいと思う。)
いずれにせよ情報が(比較的)自由に入手できる時代になった今、我々は多くの情報に触れ
今後の日本の未来をより良いものにして行く責務があると思う。
2024年10月13日に日本でレビュー済み
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時代背景などそれほど詳しくないのではじめの部分は少し難しく感じましたが、途中から再現されていく当時の様子がわかってきて興味深く読み進めることができました。
政治家はもちろん、人の上に立つ人は一度読んだ方がいいと思います。
政治家はもちろん、人の上に立つ人は一度読んだ方がいいと思います。
2024年4月19日に日本でレビュー済み
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石破茂先生お勧めの著書
2023年11月19日に日本でレビュー済み
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太平洋戦争への理解もさることながら、サラリーマンの方々には、ご自分の会社の事として読むと、恐ろしい程色々な事が一致していると感じる事ができると思います。ではどうするか?なかなか難しいとは思いますが、この本の教訓は日本が生き残る為のヒントが有ると思いました。
2024年5月24日に日本でレビュー済み
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総力戦研究所と聞くとなにやら私達の日常とかけ離れた過去のはなしのようであるが、実際には現在の日本こそ検討すべき機関の一つであると思う。私たちはこの大切な日常生活、家族、社会を守るためにこそ日頃から有事に備えなくてはなりません。そのためには、国家、国民の利益を考えるひとを国会に送らねばなりません。個人のことは感性で動いて構わんが、国の事は性格なデータ無しには判断は何もできんでしょう。左翼のヒステリー議論や、一部右翼の陰謀論など論外である。







