どれくらいぶりになるか、数年の期間をあけて改めて観たが、記憶にある以上に面白かった。
エネルギッシュかつ心温まるストーリー、愛着の湧くキャラクター、パワフルでキレのあるアクション、たくさんの魅力が詰まっている。
シリアスとギャグと家族ドラマの緩急のつけ方、入り組み方が巧みで、ハラハラドキドキが途切れない。すさまじいエンタメ作品だと思う。
しんのすけと離れ離れになった野原夫婦の必死さには目頭を熱くさせられた。
かすかべ防衛隊と野原一家を引っ張る形で活躍するお色気と筋肉というキャラクターの役回りも素晴らしい。ただのヒーローにとどまらず、母として、元・妻として、父として、元・夫として、血の通った背景や葛藤があるので、愛着が持てるし、2人の戦う姿に説得力がある。物語を渋く、奥行きのあるものにしていることが分かる。
そして学びも多い。
ぶりぶりざえもんの物語はとても示唆的だ。人生の本当の意義について考えさせられる。
ちょろっと出てくるイザムのシーンもいい。イザムの美貌にときめくしんのすけが彼が男だと知って態度を変えるが、そこへ「綺麗な男がいたっていいでしょう?美しさに男も女も関係ない」という問いが投げかけられる。物事をステレオタイプに嵌め込まない価値観をさり気なく提示している。
筋肉とママ(ブタのヒヅメ幹部の屈強な女)との対決シーンもいい。筋肉は思い切りママの顔を殴る。ママも応戦する。それが当然のこととして描かれる。しかしこのシーンは、考えようによっては、彼が彼女のことを性差を取っ払った人間として対等な存在であると認めているからこそ成り立っているともいえる。昨今世の中で啓蒙されているような薄氷の上の男女平等と違い、誰に強制されるでもなく、ぎこちなく配慮するでもない、地に足ついた自然な対等関係。そういう感覚が、ふたりは根っこの部分で共有できている。別に取り立ててメッセージ性が強められてるシーンでもないんだが、いい箇所だと思った。
また一方で、バレル(幹部のオールバックの男)が立場の弱い状態に置かれたお色気の頬を叩くシーンは悪の行為として描写されており、ジェンダーについて差別と区別がきちんと切り分けられバランスの取れた脚本になっていることも分かる。
前回の鑑賞から年を経たことで自分の中に新しい捉え方や気付きが生まれたり、心に変化が起きていることを知った。子供に見せたいのはもちろん、大人にとっても素晴らしい時間となること必至の作品。

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