40年以上前の作品なのに、300以上のレビューがあることに少し驚きました。それだけ人気の高い作品なんですね。
文庫版の解説が、とても良く本書の評価を表していると思います。要約すると、「ハードSF小説と言うには問題がないとは言えないが、この小説にはセンスオブワンダーがある!」ということです。私は月で5万年前の人の遺体が発見された、という設定だけでかなり引き込まれました。
確かに、必ずしも必要ない説明が多かったり、あっても内容に乏しかったりしますし、表現もうーんというものもあるかもしれません。何より、どなたかも書かれていましたが、登場人物がただ物語内で仮説を説明をするためのツールでしかない、と言われると、あまり明確に反論するのも難しい気がします。
それでもやはり引き込まれる人が多いのは、設定の巧みさだけでなく、チャーリーとコリエルの運命に読者が魅かれるからであり、冒頭にそうさせるだけの十分な魅力があるからだと思います。設定が荒唐無稽という人もいますが、それを言うなら名作中の名作と言われる『幼年期の終わり』なんてはるかに荒唐無稽です。出来事をマジメに説明しようとするかしないかの差だと思います。無闇に説明するのは小説らしくないと言われるとそれはそうなのかもしれませんが…私は面白く読みました。センスオブワンダー、あると思います。
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星を継ぐもの (創元SF文庫) Kindle版
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言語日本語
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出版社東京創元社
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発売日1980/5/23
-
ファイルサイズ2297 KB
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商品の説明
出版社からのコメント
現代ハードSFの巨匠のデビュー作!
小野不由美さんが推薦! 「SFにして本格ミステリ。謎は大きいほど面白いに決まっている」
--このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
小野不由美さんが推薦! 「SFにして本格ミステリ。謎は大きいほど面白いに決まっている」
--このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B00PGNZFD8
- 出版社 : 東京創元社 (1980/5/23)
- 発売日 : 1980/5/23
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2297 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 297ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,971位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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612 件のグローバル評価
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容の素晴らしさは他のレビューでさんざん語られているので割愛。
この小説は「世界中の科学者たちが一致団結して研究チームを結成し、月面で五万年前に死亡したという奇妙な死体の謎に挑むドキュメンタリー」です。(学者たちの総力戦感がエヴァのヤシマ作戦みたいで最高にエモい)数学、物理学、生物学、天文学、考古学、地質学、化学、工学、言語学etc.……あらゆる学問のプロフェッショナルの研究が詳細に語られます。もちろん予備知識ゼロでもわかるように噛み砕いて書かれているのですが、自然科学の素養が全くないと正直読み進めるのがしんどい場面もあるしれません。逆に生来オタク気質だったり、大学で自然科学系の講義をとっていたり、ナショナルジオグラフィックのような知的好奇心を刺激する番組が好きな方なんかは、これ以上面白い小説はないと思います。ぜひご一読ください。ラストには稲妻にうたれたようなカタルシスが味わえますよ。
この小説は「世界中の科学者たちが一致団結して研究チームを結成し、月面で五万年前に死亡したという奇妙な死体の謎に挑むドキュメンタリー」です。(学者たちの総力戦感がエヴァのヤシマ作戦みたいで最高にエモい)数学、物理学、生物学、天文学、考古学、地質学、化学、工学、言語学etc.……あらゆる学問のプロフェッショナルの研究が詳細に語られます。もちろん予備知識ゼロでもわかるように噛み砕いて書かれているのですが、自然科学の素養が全くないと正直読み進めるのがしんどい場面もあるしれません。逆に生来オタク気質だったり、大学で自然科学系の講義をとっていたり、ナショナルジオグラフィックのような知的好奇心を刺激する番組が好きな方なんかは、これ以上面白い小説はないと思います。ぜひご一読ください。ラストには稲妻にうたれたようなカタルシスが味わえますよ。
2018年7月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は読むと明るい気持ちになりました。
謎が謎を呼ぶことでミステリー娯楽的側面がありますが、私はそれよりも
この筆者の描く希望に溢れた未来像が好きでした。
21世紀の今だと技術が成熟し、未来がある程度分かってしまっていますが
20世紀の時は、確かに皆が「未来は・・・21世紀は予想もつかない、とてつもなく凄い事になっているだろう!」というビジョンがありました。
上手く表現できませんが、20世紀をそれなりの年齢ですごした人は何となく意味がわかると思いますが。
何となく、この本はその時の気持ちを少し思い出しました。
筆者による底抜けにポジティブな未来像が感じられて、それが一番好きでした。
謎が謎を呼ぶことでミステリー娯楽的側面がありますが、私はそれよりも
この筆者の描く希望に溢れた未来像が好きでした。
21世紀の今だと技術が成熟し、未来がある程度分かってしまっていますが
20世紀の時は、確かに皆が「未来は・・・21世紀は予想もつかない、とてつもなく凄い事になっているだろう!」というビジョンがありました。
上手く表現できませんが、20世紀をそれなりの年齢ですごした人は何となく意味がわかると思いますが。
何となく、この本はその時の気持ちを少し思い出しました。
筆者による底抜けにポジティブな未来像が感じられて、それが一番好きでした。
2018年10月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
途中までは中々に面白かった。まさにハードSF。だがそれだけでなく、シンプルな謎が提示されてそれが解き明かされていると言う形式はエンタメとしては鉄板と言える。グイグイ引き込まれたが、正直最終的には微妙だった。
ハードSFを読んでたつもりが、何時の間にか古いオカルト雑誌を読んでいた気分だ。
多分出会うのが遅すぎたのだろう。ラストが予想つく人とか荒唐無稽だとか言うレビューが多いが、そりゃあ今の人が読んだらそう思うだろうさ。この作品の着地点、謎の真相ってオカルト雑誌や記事で良く取り扱ってるやつだもの。
と言うかぶっちゃけム〇で読んだ記憶がある。
無論この作品は1977年の作品なので、現在の視点から低評価にするのはフェアではないかもしれないが、仕方ないではないか。オカルト雑誌が当の昔に私にネタバレしていたのだから。何もかも月刊〇ーが悪いのだ。
ただそれを抜きにしても作者の楽天的な人間中心主義と言うのはあまりに安直であってついていけない所がある。
それと、結局「月で発見された5万年前の人間の死体の謎を解く」だけで終わっていたのもちょっとしょんぼりだ。
そっから何か壮大な戦いが始まる気がしていたので。
学者たちが喧々諤々の論争の結果その答えに辿り着いて終りとは。しかもその答えが散々オカルト雑誌で読んだ事があったとあれば評価は厳しいものになってしまう。
せめて30年前くらいに読んでればもうちょっと評価できたかも。ま、当時5歳の私に理解できる内容でも無いが。
ハードSFを読んでたつもりが、何時の間にか古いオカルト雑誌を読んでいた気分だ。
多分出会うのが遅すぎたのだろう。ラストが予想つく人とか荒唐無稽だとか言うレビューが多いが、そりゃあ今の人が読んだらそう思うだろうさ。この作品の着地点、謎の真相ってオカルト雑誌や記事で良く取り扱ってるやつだもの。
と言うかぶっちゃけム〇で読んだ記憶がある。
無論この作品は1977年の作品なので、現在の視点から低評価にするのはフェアではないかもしれないが、仕方ないではないか。オカルト雑誌が当の昔に私にネタバレしていたのだから。何もかも月刊〇ーが悪いのだ。
ただそれを抜きにしても作者の楽天的な人間中心主義と言うのはあまりに安直であってついていけない所がある。
それと、結局「月で発見された5万年前の人間の死体の謎を解く」だけで終わっていたのもちょっとしょんぼりだ。
そっから何か壮大な戦いが始まる気がしていたので。
学者たちが喧々諤々の論争の結果その答えに辿り着いて終りとは。しかもその答えが散々オカルト雑誌で読んだ事があったとあれば評価は厳しいものになってしまう。
せめて30年前くらいに読んでればもうちょっと評価できたかも。ま、当時5歳の私に理解できる内容でも無いが。
2016年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人類の起源の大胆な仮説を、まさにサイエンス・フィクションを交え、事細かに検証し、著者が用意した解へと導いてくれます。
読んでいて気持ちがいいのが、かなり掘り下げた科学や物理の知識を駆使して、徐々に浮き彫りになっていく痕跡から次々と仮説を展開し、揺ぎない小説上の事実へと推し進めていく論理思考アプローチによる進行が見所です。
一般的な小説の主眼となる登場人物同士の相関や感情などのドラマ性を押さえ、驚くことに終始事実に対する仮説と検証にほんとんどのページが費やされています。翻訳も素晴らしく見事な流れるような日本語で、登場人物達による検証考察の論述もスイスイ頭に入りイメージできます。
深く入り組んだ世界設定は、一般的な娯楽映画、娯楽小説だったら万人に納得させるために万能な未来技術を登場させた映像表現で説得してしまったり、抽象的表現や、ご都合主義による簡略化などで端折ってしまう演出がなされてしまいそうですが、本小説は大筋からディティールまでお茶を濁すことはありません。あくまで検証においては現代水準の技術知識で謎を解きほぐして行きます。
その流れもサスペンスを交えたスリリングな展開で、前半はありえない事象の把握で目が離せず、中盤以降は更に新事実の発見が度重なり息をもつかせぬ展開が加速していきます。
こういったハードSFのジャンルの作品も、身構えないで是非とも一度は読んで欲しいと思える一冊!
読んでいて気持ちがいいのが、かなり掘り下げた科学や物理の知識を駆使して、徐々に浮き彫りになっていく痕跡から次々と仮説を展開し、揺ぎない小説上の事実へと推し進めていく論理思考アプローチによる進行が見所です。
一般的な小説の主眼となる登場人物同士の相関や感情などのドラマ性を押さえ、驚くことに終始事実に対する仮説と検証にほんとんどのページが費やされています。翻訳も素晴らしく見事な流れるような日本語で、登場人物達による検証考察の論述もスイスイ頭に入りイメージできます。
深く入り組んだ世界設定は、一般的な娯楽映画、娯楽小説だったら万人に納得させるために万能な未来技術を登場させた映像表現で説得してしまったり、抽象的表現や、ご都合主義による簡略化などで端折ってしまう演出がなされてしまいそうですが、本小説は大筋からディティールまでお茶を濁すことはありません。あくまで検証においては現代水準の技術知識で謎を解きほぐして行きます。
その流れもサスペンスを交えたスリリングな展開で、前半はありえない事象の把握で目が離せず、中盤以降は更に新事実の発見が度重なり息をもつかせぬ展開が加速していきます。
こういったハードSFのジャンルの作品も、身構えないで是非とも一度は読んで欲しいと思える一冊!
2020年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イギリス企業に所属する原子物理学者、ヴィクター・ハント博士は、国連宇宙軍が進める、月面で発見された身元不明の死体調査プロジェクトに参加する。驚くことにその死体とは、5万年以上も前の人間のものであった。チャーリーと名付けられたその人間の死体は、現代の人間と形態学的に全く同じ構造をもつという。果たしてチャーリーは、高度な文明を持ったかつての地球人なのか?それとも5万年前の異星人なのか?異星人だとしたら、それはどこの星からやって来たのか?
別々の惑星で現れた生命体が、全く同じ進化の過程をたどることはありえない。このような進化論的な観点から、生物学者であるダンチェッカーは、チャーリーは地球で進化した人間に相違ないと主張する。一方ハントは、地球でそのような痕跡が全く発見されていないことに疑問を持つ。ハントは、チャーリーの所持品に記載された文字の言語学的な解析を行い、この人間は別の惑星で進化したのではと仮説を立てる。意見の違いから、微妙に対立するハントとダンチェッカー。この対立軸を中心に、科学者たちの分析は進んでいくが、判明した事実がさらなる疑問を呼び起こし、これが何度か繰り返されることで物語は進んでいく。
1980年に刊行された、著名な謎解きSF。実はSFを読むのは初めであったが、5万年前の人間の死体をめぐる謎の解明に、ハラハラドキドキしながら前のめりになって読み進めた。最後の最後で一気に急展開して、「真実」が明らかになる流れは圧巻。同時に、われわれが今住むこの地球という星の未来に、思いを馳せずにはいられなくなった、そんなSF小説であった。
別々の惑星で現れた生命体が、全く同じ進化の過程をたどることはありえない。このような進化論的な観点から、生物学者であるダンチェッカーは、チャーリーは地球で進化した人間に相違ないと主張する。一方ハントは、地球でそのような痕跡が全く発見されていないことに疑問を持つ。ハントは、チャーリーの所持品に記載された文字の言語学的な解析を行い、この人間は別の惑星で進化したのではと仮説を立てる。意見の違いから、微妙に対立するハントとダンチェッカー。この対立軸を中心に、科学者たちの分析は進んでいくが、判明した事実がさらなる疑問を呼び起こし、これが何度か繰り返されることで物語は進んでいく。
1980年に刊行された、著名な謎解きSF。実はSFを読むのは初めであったが、5万年前の人間の死体をめぐる謎の解明に、ハラハラドキドキしながら前のめりになって読み進めた。最後の最後で一気に急展開して、「真実」が明らかになる流れは圧巻。同時に、われわれが今住むこの地球という星の未来に、思いを馳せずにはいられなくなった、そんなSF小説であった。