開戦に至る経緯の真実、特攻に至る経緯の真実を知りたくて読みました。
実際の当時の軍令部参謀や海軍省に所属していたエリート軍人の肉声の証言であり、
それを掘り起こしたドキュメンタリーの書籍化されたものです。
この録音テープの発見は埋もれた真実の発見とも言えます、
過去の戦争に興味のある方はぜひ読んでみて下さい。文章も読みやすいです。
開戦に至る経緯についてはかなり核心に迫っていましたが、
特攻に至る経緯については少し残念感があります。
しかしながら大きな収穫だったのは、現場の指揮官が自発的に特攻を進めたというのは後付けの作り話であり、
特攻は軍令部による命令だったと、明らかにされた事です。
というのも、大西瀧治郎による初回の航空特攻より3ヶ月も前に航空特攻以外(回天・桜花・震洋)の建造開始命令が出されていた事実が証言されているからです。
このことを踏まえて、私としては大西瀧治郎が航空特攻の真の言い出しっぺではないと思うので
航空特攻の始まりの核心についてはうやむやな感じになってしまって非常におしいと思いました。
11年間130回以上にわたる反省会の中で特攻について暴露する機会は何回かあったのに
その度に元軍令部参謀がはぐらかしたりして取り合わず、本当のことは語られませんでした。
反省会が行われた当時、海軍は消滅してすでに35年以上、上官の多くは鬼籍に入り、
自らもじきにお迎えが来て戦没していった兵士達と同じ所へ行くというのに
どうしてここまでごまかし、真実を闇に葬り、責任を他人になすりつけていられるのか理解に苦しみます。
それほどまでに隠しておきたい理由があったのでしょうが・・・
墓場まで持って行かずに多くの人を死なせた過去にもう少し真摯に向き合ってほしかったです。
最終章は戦犯裁判に対しての海軍の工作と隠蔽が繰り広げられます。
以前から海軍は連合軍によって免責された事実を知っていましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。
マッカーサーの腹心フェラーズ准将と米内光政の密談の内容も証言されています。
責任のある人間が責任をとらない体質、その上さらに、下の人間に責任を転嫁する(それはそのまま刑罰で死ぬことを意味します)体質・・
最低な組織だと思いました。
しかも、現在も多くの組織の体質がまったく変わっていないことに戦慄します。
陸軍は海軍の3倍以上の方が戦死されています。
慰霊のためにも、陸軍にもこういう真実を暴露するような資料が今後出てくることを心から願っています。
日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦 (日本語) 単行本 – 2011/7/1
NHKスペシャル取材班
(著)
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本の長さ390ページ
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言語日本語
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出版社新潮社
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発売日2011/7/1
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ISBN-104104056030
-
ISBN-13978-4104056033
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商品の説明
出版社からのコメント
2009年8月、3夜連続で放映されたNHKスペシャル『日本海軍400時間の証言』。あの戦争は誰が何の為に始めたのか? 海軍とはどのような組織だったのか? なぜ、"特攻"という無謀な作戦を考えたのか? 海軍中枢にいた当事者たちの告白記録は、大変な反響を呼びました。番組は、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(2010年度)など、数々の栄誉に輝きました。本書は、放送された番組内容に加え、未放送となった取材内容を網羅し、番組が誕生するまでを克明に記したドキュメントです。衝撃の史実に向き合ったスタッフの苦悩や苦闘、そして一つでも多くの真相に迫ろうとする意欲。「あの戦争を二度と繰り返さないために」、番組スタッフが闘った魂の記録です。
内容(「BOOK」データベースより)
太平洋戦争の本当の“戦犯”は誰なのか?彼らは何のために戦争を始めたのか?「伝えられている歴史があまりにも事実と違う」―戦後、日本海軍中枢のエリート、約40人が密かに集まり、語り合っていた内容が400時間分ものテープに残されていた。その告白をもとに、遺族、関係者への徹底した取材を行い、明らかになった驚愕の昭和秘史。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2011/7/1)
- 発売日 : 2011/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 390ページ
- ISBN-10 : 4104056030
- ISBN-13 : 978-4104056033
- Amazon 売れ筋ランキング: - 402,123位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
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カスタマーレビュー
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2017年9月1日に日本でレビュー済み
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2018年4月30日に日本でレビュー済み
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なぜ太平洋戦争に突入したのかが海軍の側から語られています。
もちろん海軍の理屈だけで開戦したわけではないのでしょうが、開戦の大きな要因が語られていてとても興味深いです。
神風や回天等の玉砕兵器についても、誰がどのような経緯でそれを使うことを決めたのかが探求されています。
というものの、この本から学ぶべきは太平洋戦争の事実というよりも、組織の中でいかに個人が埋没してしまうかということです。
埋没というと個人の力が及ばないというイメージもありますが、それにもまして組織の決めたこと、組織が決めようとしていることは自分の責任ではないと考えてしまう個人の弱さ・無責任さが浮き彫りになっています。
その無責任と思われる人々を非難することは簡単ですが、状況と立場により自分自身も簡単に無責任を問われるような行為を行いかねないことがわかります。
「これから正義の話をしよう」をあわせて読むと、いかに正義が脆いものか分かるでしょう。
建前で判断できるのは、世の中がとても平和な証拠だと感じることができます。
もちろん海軍の理屈だけで開戦したわけではないのでしょうが、開戦の大きな要因が語られていてとても興味深いです。
神風や回天等の玉砕兵器についても、誰がどのような経緯でそれを使うことを決めたのかが探求されています。
というものの、この本から学ぶべきは太平洋戦争の事実というよりも、組織の中でいかに個人が埋没してしまうかということです。
埋没というと個人の力が及ばないというイメージもありますが、それにもまして組織の決めたこと、組織が決めようとしていることは自分の責任ではないと考えてしまう個人の弱さ・無責任さが浮き彫りになっています。
その無責任と思われる人々を非難することは簡単ですが、状況と立場により自分自身も簡単に無責任を問われるような行為を行いかねないことがわかります。
「これから正義の話をしよう」をあわせて読むと、いかに正義が脆いものか分かるでしょう。
建前で判断できるのは、世の中がとても平和な証拠だと感じることができます。
2018年2月4日に日本でレビュー済み
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軍関係の図書を2000冊以上読んだ後にこの本を知ったので非常に勉強になりました。昨今、TVも書籍も「戦争」と称して「戦争被害」のことばかり取り上げて
、あたかも地震や津波に被災したのと同列に、ただ「悲惨だ。」「悲劇だ。」と騒いでおりますが、戦争は自然災害ではありません。人災です。その原因となった意思決定側の究明が全くなされていない現状で、加登川幸太郎氏の「陸軍の反省」とともににも歴史的にも意義ある著作だと思います。ただ、ある程度素養が無いと証言の内容がわかりづらいと思いますが問題意識のある方にはぜひ読んだいただきたい書籍です。、
、あたかも地震や津波に被災したのと同列に、ただ「悲惨だ。」「悲劇だ。」と騒いでおりますが、戦争は自然災害ではありません。人災です。その原因となった意思決定側の究明が全くなされていない現状で、加登川幸太郎氏の「陸軍の反省」とともににも歴史的にも意義ある著作だと思います。ただ、ある程度素養が無いと証言の内容がわかりづらいと思いますが問題意識のある方にはぜひ読んだいただきたい書籍です。、
2018年9月21日に日本でレビュー済み
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既に優れたレビューが書かれているとおりである。私はNHKスペシャルを見逃していて、この本を読むに至り、金鉱山の鉱脈にぶち当たったという強烈な印象を持った。これをこれから掘って取り出していかなければならないという高揚感を持つに至った。多くの人が読んでしかるべき本になっていると思う。
日米戦争(太平洋戦争)は、海軍が動かざる限り、いくら陸軍が強行に開戦いとわずと主張しても起こせない。強硬派は陸軍、慎重派は海軍であった。その海軍がついに開戦を決意したのは、第一委員会で作った「言情勢下に於て帝国海軍が執るべき態度」という極秘中の極秘の作文であった。その理由が陸軍に対抗し予算の分捕り合戦、戦備の充実を図るには、作文であろうがやる気を見せなければならない。しかし、情勢はその作文を作文に終わらせず、海軍は自ら作った作文に呪縛され、開戦の決意をせざるを得なくなり、陸軍に同調し戦争に突き進まざるを得なくなった。とんでもない理由でとんでもない事態に追い込まれていったことが分かった。そして、なぜ日米開戦必死のハワイ州の真珠湾を攻撃したのかも分かる内容が含まれている。驚きであった。とにかく無責任でめちゃくちゃな軍令部であったことが明確にされている。
日米戦争(太平洋戦争)は、海軍が動かざる限り、いくら陸軍が強行に開戦いとわずと主張しても起こせない。強硬派は陸軍、慎重派は海軍であった。その海軍がついに開戦を決意したのは、第一委員会で作った「言情勢下に於て帝国海軍が執るべき態度」という極秘中の極秘の作文であった。その理由が陸軍に対抗し予算の分捕り合戦、戦備の充実を図るには、作文であろうがやる気を見せなければならない。しかし、情勢はその作文を作文に終わらせず、海軍は自ら作った作文に呪縛され、開戦の決意をせざるを得なくなり、陸軍に同調し戦争に突き進まざるを得なくなった。とんでもない理由でとんでもない事態に追い込まれていったことが分かった。そして、なぜ日米開戦必死のハワイ州の真珠湾を攻撃したのかも分かる内容が含まれている。驚きであった。とにかく無責任でめちゃくちゃな軍令部であったことが明確にされている。
2019年6月16日に日本でレビュー済み
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テレビ屋とかディレクターとか放送の人とかそれまで素人だったものが、その自身が勉強しながら調査をしていっても限度があるのがよくわかった。方向が一定せずブレたり深くなったと思ったら浅くなったり。最近では医療ものなどでも同じ現象が見られる。また自分ら自身の仕事仲間の話題状況を入れるのは見苦しい。
2021年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本海軍高級将校の証言について、一つ一つ切り込んでいる部分は評価したいけれど・・
何と言うか、N〇K制作スタッフの想いが前面に出過ぎているように感じます。
(朝〇新聞的に言えば、角度を付けた、結論ありき)
あと気になったのが、制作スタッフに助言?する謎の外部のオジサンは何なのでしょうか?
「君たち戦後派には判らない」とか仰ってますが、「戦中生まれ」の方のようですから、従軍経験も戦前教育を受けた経験すら無いと思いますけど。そういう方が入り込み、色付け・方向付けすることに違和感の無いN〇K制作現場って何なのか・・疑問を通り越して恐怖を感じます。
何と言うか、N〇K制作スタッフの想いが前面に出過ぎているように感じます。
(朝〇新聞的に言えば、角度を付けた、結論ありき)
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「君たち戦後派には判らない」とか仰ってますが、「戦中生まれ」の方のようですから、従軍経験も戦前教育を受けた経験すら無いと思いますけど。そういう方が入り込み、色付け・方向付けすることに違和感の無いN〇K制作現場って何なのか・・疑問を通り越して恐怖を感じます。
2013年8月13日に日本でレビュー済み
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本書は、「海軍反省会」の録音テープと、これをめぐるNHKの取材活動をまとめたものです。「海軍反省会」とは、1980年〜1991年まで130回程度にわたってほぼ毎月、海軍士官のOB組織である「水交会」で開かれた秘密会議であって、公開しないことを前提に軍令部中枢や艦隊配属の士官が当時を振り返り、赤裸々な証言をしています。
もちろん、録音テープだけでは証言内容を正確に把握できないため、または証言を実証するため、NHK取材陣が公文書館や士官の遺族を回るという検証過程も載っています。また、全400時間に及ぶテープから、「開戦の経緯」、「特攻」、「戦犯裁判」にテーマを絞っているため、反省会における貴重な証言の一部しか本書には掲載されていません。
この点、自分で一次資料に当たりたい!!という人には不十分な内容でしょう。あくまでこのプロジェクトの主眼は、反省会の証言から改めて日本の歴史認識を問い直し、過去の経験から現在の日本社会における組織の問題を見つめ直そう、というものです。
例えば、元軍令部の少将や作戦参謀の証言には、NHKディレクターが自覚するように現代に生きる我々も襟を正すべき事実が多く見受けられます。開戦を避けることは陸軍に軍備の主導権を明け渡し、予算を奪われるという予測があって非戦論が消えていったこと、敗戦を免れるために個人を犠牲とし、特攻作戦を展開していったこと、戦犯裁判における想定問答作成において幹部を守り、命令に従った部下が極刑にあったこと。
我々日本人の誰もが少なからず所持する組織の論理が、色濃く展開されていったのが太平洋戦争だった。本書を読み進めるうちに、自然にそう理解するようになりました。
国と組織と己の尊厳を懸けた戦争では、倫理や人の生命が劣後していく。そのために生じた悲劇について、時には自らを、時にはお互いを批判することで、海軍士官たちは反省しています。その目的は、次代に同じ過ちを繰り返さないようにして欲しいという願いではないでしょうか。改めて、表紙に写る士官たちの眼光を見返してしまいます。
最後に、オーストラリアの取材でNHKディレクターが気付いた事実。「我々日本人は、知るべき歴史を知らな過ぎるのではないか?」という問いかけに衝撃を受けました。
もちろん、録音テープだけでは証言内容を正確に把握できないため、または証言を実証するため、NHK取材陣が公文書館や士官の遺族を回るという検証過程も載っています。また、全400時間に及ぶテープから、「開戦の経緯」、「特攻」、「戦犯裁判」にテーマを絞っているため、反省会における貴重な証言の一部しか本書には掲載されていません。
この点、自分で一次資料に当たりたい!!という人には不十分な内容でしょう。あくまでこのプロジェクトの主眼は、反省会の証言から改めて日本の歴史認識を問い直し、過去の経験から現在の日本社会における組織の問題を見つめ直そう、というものです。
例えば、元軍令部の少将や作戦参謀の証言には、NHKディレクターが自覚するように現代に生きる我々も襟を正すべき事実が多く見受けられます。開戦を避けることは陸軍に軍備の主導権を明け渡し、予算を奪われるという予測があって非戦論が消えていったこと、敗戦を免れるために個人を犠牲とし、特攻作戦を展開していったこと、戦犯裁判における想定問答作成において幹部を守り、命令に従った部下が極刑にあったこと。
我々日本人の誰もが少なからず所持する組織の論理が、色濃く展開されていったのが太平洋戦争だった。本書を読み進めるうちに、自然にそう理解するようになりました。
国と組織と己の尊厳を懸けた戦争では、倫理や人の生命が劣後していく。そのために生じた悲劇について、時には自らを、時にはお互いを批判することで、海軍士官たちは反省しています。その目的は、次代に同じ過ちを繰り返さないようにして欲しいという願いではないでしょうか。改めて、表紙に写る士官たちの眼光を見返してしまいます。
最後に、オーストラリアの取材でNHKディレクターが気付いた事実。「我々日本人は、知るべき歴史を知らな過ぎるのではないか?」という問いかけに衝撃を受けました。