ここで言う将軍はかなり曖昧で坂上田村麻呂の征夷大将軍、頼朝の右大将、室町、江戸両幕府の征夷大将軍、そしてどしたことか西郷隆盛が登場します。そしてそれらへの対比が内大臣織田信長と関白豊臣秀吉です。太政大臣の平清盛は章さえ与えられない。これだけでも一貫性のない対談なのは予想できますが、実際、噛み合っているようで双方、言いたいことを言っているだけです。少なくとも歴史の勉強にはならない。司馬遼太郎の小説と同じレベルなので漫談と割り切って読むしかありません。
多少なりともしっかりしているのは足利幕府関係の話題です。鎌倉幕府討幕から足利義満の公武統一権力のあたりはまともです。ただ、制度よりも人の個性を過度に歴史のファクターとして評価するのは問題だろう
「はじめに」を読むと松本清張の言葉が引用されている。なるほど学者が学があって文章が下手だから一般に意図が通じない。それは今も昔も変わらない。しかしたまにやたら文章がうまい学者がいるがそれは真偽不明の自説を蔓延させるだけでしかない。小説家なら見てきたような嘘を言いで済むが、学者の肩書でそれらしいことを語ると信じ込むものだ。
少なくとも山川出版の教科書に書かれたら学会の定説などと言うのは学者の言葉ではない。
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日本史を変えた八人の将軍 (祥伝社新書) 新書 – 2020/2/1
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将軍がわかれば、日本史がわかる
日本史のなかで、700年にわたり政権の座にあった武家。その中心である将軍が日本史におよぼした影響について、将軍8人と将軍にならなかった2人から読み解いていく。鎮東将軍、征西将軍などさまざまな将軍があるなかで、なぜ征夷大将軍だけが武家の棟梁とされ、幕府を開くことができたのか。将軍権力(軍事と政治)はどのように変化していったのか。そして、彼らは日本史をどう変えたのか。中世政治史を専門とする東大史料編纂所教授と、『家康、江戸を建てる』などで知られる直木賞作家が、知識と想像力の限りを尽くして、命題に迫る!
<以下、目次>
序 将軍とは何か
第一章 坂上田村麻呂――すべてはここから始まった
第二章 源頼朝――頼朝が望んだのは征夷大将軍ではない!?
第三章 足利尊氏――うかがい知れない英雄の心中
第四章 足利義満――最大の権力者が求めたもの
第五章 織田信長と豊臣秀吉――将軍権威を必要としなかった覇者
第六章 徳川家康――今も影響を与え続けている家康の選択
第七章 徳川吉宗――幕府中興の祖がなしえなかったこと
第八章 徳川慶喜――英明か、凡庸か。勝利者か、敗残者か
第九章 西郷隆盛――近代最初の将軍であり、封建制最後の将軍
結 将軍が日本史に果たした役割
日本史のなかで、700年にわたり政権の座にあった武家。その中心である将軍が日本史におよぼした影響について、将軍8人と将軍にならなかった2人から読み解いていく。鎮東将軍、征西将軍などさまざまな将軍があるなかで、なぜ征夷大将軍だけが武家の棟梁とされ、幕府を開くことができたのか。将軍権力(軍事と政治)はどのように変化していったのか。そして、彼らは日本史をどう変えたのか。中世政治史を専門とする東大史料編纂所教授と、『家康、江戸を建てる』などで知られる直木賞作家が、知識と想像力の限りを尽くして、命題に迫る!
<以下、目次>
序 将軍とは何か
第一章 坂上田村麻呂――すべてはここから始まった
第二章 源頼朝――頼朝が望んだのは征夷大将軍ではない!?
第三章 足利尊氏――うかがい知れない英雄の心中
第四章 足利義満――最大の権力者が求めたもの
第五章 織田信長と豊臣秀吉――将軍権威を必要としなかった覇者
第六章 徳川家康――今も影響を与え続けている家康の選択
第七章 徳川吉宗――幕府中興の祖がなしえなかったこと
第八章 徳川慶喜――英明か、凡庸か。勝利者か、敗残者か
第九章 西郷隆盛――近代最初の将軍であり、封建制最後の将軍
結 将軍が日本史に果たした役割
- 本の長さ312ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2020/2/1
- 寸法10.6 x 1.5 x 17.3 cm
- ISBN-104396115954
- ISBN-13978-4396115951
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
日本史のなかで、七〇〇年にわたり政権の座にあった武家。その中心である将軍が日本史におよぼした影響について、将軍八人と将軍にならなかった二人から読み解いていく。鎮東将軍、征西将軍などさまざまな将軍があるなかでなぜ征夷大将軍だけが武家の棟梁とされ、幕府を開くことができたのか。将軍権力(軍事と政治)はどのように変化していったのか。そして、彼らは日本史をどう変えたのか。中世政治史を専門とする東大史料編纂所教授と、『家康、江戸を建てる』などで知られる直木賞作家が、知識と想像力の限りを尽くして、命題に迫る!
著者について
本郷和人
東京大学史料編纂所教授、博士(文学)。1960年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学史料編纂所に入所、『大日本史料』第5編の編纂にあたる。東京大学大学院情報学環准教授を経て、現職。専門は中世政治史。著書に『乱と変の日本史』など。
門井慶喜
小説家。1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞、2016年『マジカル・ヒストリー・ツアー』で第69回日本推理協会賞(評論その他の部門)、2018年『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。著書に『家康、江戸を建てる』など。
東京大学史料編纂所教授、博士(文学)。1960年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学史料編纂所に入所、『大日本史料』第5編の編纂にあたる。東京大学大学院情報学環准教授を経て、現職。専門は中世政治史。著書に『乱と変の日本史』など。
門井慶喜
小説家。1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞、2016年『マジカル・ヒストリー・ツアー』で第69回日本推理協会賞(評論その他の部門)、2018年『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。著書に『家康、江戸を建てる』など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
本郷/和人
東京大学史料編纂所教授、博士(文学)。1960年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学史料編纂所に入所、東京大学大学院情報学環准教授を経て、現職。専門は中世政治史
門井/慶喜
小説家。1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞、2016年『マジカル・ヒストリー・ツアー』で第69回日本推理協会賞(評論その他の部門)、2018年『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
東京大学史料編纂所教授、博士(文学)。1960年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学史料編纂所に入所、東京大学大学院情報学環准教授を経て、現職。専門は中世政治史
門井/慶喜
小説家。1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞、2016年『マジカル・ヒストリー・ツアー』で第69回日本推理協会賞(評論その他の部門)、2018年『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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“八人の将軍”というタイトルながら、10人の人物が取り上げられています。
さて下記のうち誰が将軍ではないのでしょうか。(笑)
坂上田村麻呂、源頼朝、足利尊氏、足利義満、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、徳川吉宗、徳川慶喜、西郷隆盛。
確実に将軍と呼べる人物は除外してよいので、想像しうるに、坂上田村麻呂、織田信長、豊臣秀吉、西郷隆盛の4名の誰かが怪しい。
とそのくらいの歴史的関心がある方向けの内容かと思います。
NHKの人気番組に「英雄たちの選択」という番組があります。
私も毎週のように楽しみにしているのですが、この番組が好きな方には、こちらも絶対ツボにはまる内容だと思います。
それぞれの将軍 (とそれに準ずる人物) がどんな人物だったか。様々な史実を元に人物像を描き出す対談となっており、1人ずつ読んでも十分楽しめます。
ちなみに冒頭の正解は、織田信長と豊臣秀吉が将軍ではないという扱いです。
西郷隆盛は、明治政府の初代陸軍大将であり、これを将軍として扱っているようです。その後の西南戦争の時の役割ではなく、明治政府の役職としての大将が取り上げられていました。坂上田村麻呂については日本初の征夷大将軍です。ほとんど情報が残されていない謎の人物ですが、本書では様々な周辺情報から、どんなことを成し遂げ、どんな人物だったのか。もちろん名前は知っている人物でしたが、自分は本書で初めて坂上田村麻呂という人物の詳細を知りました。
さて下記のうち誰が将軍ではないのでしょうか。(笑)
坂上田村麻呂、源頼朝、足利尊氏、足利義満、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、徳川吉宗、徳川慶喜、西郷隆盛。
確実に将軍と呼べる人物は除外してよいので、想像しうるに、坂上田村麻呂、織田信長、豊臣秀吉、西郷隆盛の4名の誰かが怪しい。
とそのくらいの歴史的関心がある方向けの内容かと思います。
NHKの人気番組に「英雄たちの選択」という番組があります。
私も毎週のように楽しみにしているのですが、この番組が好きな方には、こちらも絶対ツボにはまる内容だと思います。
それぞれの将軍 (とそれに準ずる人物) がどんな人物だったか。様々な史実を元に人物像を描き出す対談となっており、1人ずつ読んでも十分楽しめます。
ちなみに冒頭の正解は、織田信長と豊臣秀吉が将軍ではないという扱いです。
西郷隆盛は、明治政府の初代陸軍大将であり、これを将軍として扱っているようです。その後の西南戦争の時の役割ではなく、明治政府の役職としての大将が取り上げられていました。坂上田村麻呂については日本初の征夷大将軍です。ほとんど情報が残されていない謎の人物ですが、本書では様々な周辺情報から、どんなことを成し遂げ、どんな人物だったのか。もちろん名前は知っている人物でしたが、自分は本書で初めて坂上田村麻呂という人物の詳細を知りました。
2020年3月6日に日本でレビュー済み
まず書籍体裁は、300頁程の活字主体なモノクロ新書本で、書面は全頁2人の著者による対談形式になっています。
その内容は『将軍』と言う単語で一括りにされていますが、実質的には平安時代~明治時代までにおける、代表的な『日本の支配者』を取り上げ、その才覚&偉業を振り返ると言う物です。
その為、本書における最後の『将軍』は【徳川慶喜】では無く、ラストサムライにして政治家【西郷隆盛】を挙げてあります。
構成としては【坂上田村麻呂】から、知名度の高い将軍8名&将軍に成らなかった2名を選りすぐり、各章数十頁に纏めてあり、それぞれ各氏の生い立ち&偉業解説から始まります。
そして、彼らが何故各々の時代で頂点まで昇れたのかを、2人の著者の分析で赤裸々に暴き、所謂裏事情を楽しもうと言う流れです。
一方で見所としては、著者の本職が 歴史研究家 と 小説家 である点で、前者が客観的事実を述べ、後者が仮説的妄想を提案し、その現実性を探求すると言う感じで、そこに娯楽性が生じます。
総じて、上述作風なので「小説」では無く「娯楽性のある参考書」と言う印象で、ちょっと時代幅が広過ぎて全頁に興味を持てる方は少なくなりそうですが、興味をそそられる妄想仮設も多くあり、楽しんで読める一冊とは感じましたので、☆×4とします。
その内容は『将軍』と言う単語で一括りにされていますが、実質的には平安時代~明治時代までにおける、代表的な『日本の支配者』を取り上げ、その才覚&偉業を振り返ると言う物です。
その為、本書における最後の『将軍』は【徳川慶喜】では無く、ラストサムライにして政治家【西郷隆盛】を挙げてあります。
構成としては【坂上田村麻呂】から、知名度の高い将軍8名&将軍に成らなかった2名を選りすぐり、各章数十頁に纏めてあり、それぞれ各氏の生い立ち&偉業解説から始まります。
そして、彼らが何故各々の時代で頂点まで昇れたのかを、2人の著者の分析で赤裸々に暴き、所謂裏事情を楽しもうと言う流れです。
一方で見所としては、著者の本職が 歴史研究家 と 小説家 である点で、前者が客観的事実を述べ、後者が仮説的妄想を提案し、その現実性を探求すると言う感じで、そこに娯楽性が生じます。
総じて、上述作風なので「小説」では無く「娯楽性のある参考書」と言う印象で、ちょっと時代幅が広過ぎて全頁に興味を持てる方は少なくなりそうですが、興味をそそられる妄想仮設も多くあり、楽しんで読める一冊とは感じましたので、☆×4とします。
ベスト500レビュアー
文庫本で、かつ厚みも普通。文書構成は、歴史家の本郷氏と小説家の門井氏二人の対談がそのまま文字に起こされた、という比較的ライト層向けの日本史本です。
ですが、中身は充実していますね。
冒頭の坂上田村麻呂から、当時の歴史背景とともに「征夷大将軍」という、その後の武家の絶対ブランドとなる役職の本来の位置づけが、かなり詳しく語られます。
その後、鎌倉、室町、戦国、江戸、幕末と、将軍職の流行りすたりもエピソードに交えて、この「将軍職」のテーマは一貫してその盛衰が論じられます。
そういった前提で、各時代における統治の経緯、各武将の性格や最終的に決起に至る葛藤など、対話本らしく活き活きと語られます。
特に優柔不断で有名な足利尊氏の生い立ち、彼を支援する周囲の人たち、更には尊氏の無駄に長けた軍事的才能と人望など、たくさんのエピソードとともに非常に面白く読めますねー。
そのなかで一貫して感じられるのが、本郷・門井両氏の互いへのリスペクトです。
なので本書に「激論」はありません。感じとしては「和気あいあい」w
そういった肩ひじ張らないところも楽しく読める本書のテイストですね。
それでいて、各時代の統治システムのコアとなる部分、例えば室町幕府初期の「絶対主義」(この名称は言うまでもなく近代欧州での統治システムを表す言葉ですが)を支えた奉行人(官僚制)と奉公衆(常備軍)、そしてその財政的な根拠となる明との貨幣経済(重商主義)についても、キッチリ語られる。
以上、コンパクトで楽しく、重要なポイントはキッチリ抑えた、なかなか有用な書籍だと思います。
軽いタッチだけど、為になる!
★5つです。
ですが、中身は充実していますね。
冒頭の坂上田村麻呂から、当時の歴史背景とともに「征夷大将軍」という、その後の武家の絶対ブランドとなる役職の本来の位置づけが、かなり詳しく語られます。
その後、鎌倉、室町、戦国、江戸、幕末と、将軍職の流行りすたりもエピソードに交えて、この「将軍職」のテーマは一貫してその盛衰が論じられます。
そういった前提で、各時代における統治の経緯、各武将の性格や最終的に決起に至る葛藤など、対話本らしく活き活きと語られます。
特に優柔不断で有名な足利尊氏の生い立ち、彼を支援する周囲の人たち、更には尊氏の無駄に長けた軍事的才能と人望など、たくさんのエピソードとともに非常に面白く読めますねー。
そのなかで一貫して感じられるのが、本郷・門井両氏の互いへのリスペクトです。
なので本書に「激論」はありません。感じとしては「和気あいあい」w
そういった肩ひじ張らないところも楽しく読める本書のテイストですね。
それでいて、各時代の統治システムのコアとなる部分、例えば室町幕府初期の「絶対主義」(この名称は言うまでもなく近代欧州での統治システムを表す言葉ですが)を支えた奉行人(官僚制)と奉公衆(常備軍)、そしてその財政的な根拠となる明との貨幣経済(重商主義)についても、キッチリ語られる。
以上、コンパクトで楽しく、重要なポイントはキッチリ抑えた、なかなか有用な書籍だと思います。
軽いタッチだけど、為になる!
★5つです。
ベスト50レビュアーVINEメンバー
歴史学者と小説家が『日本史を変えた八人の将軍(と将軍にならなかった関白の豊臣秀吉と西郷隆盛)』について語り合う。対談なので、肩苦しくないですし、読みやすいです。
本郷和人先生執筆の巻末の「おわりに」を読むと、本著の狙いがよく分かります。同業者が語り合うのではなく、他業種の人とコラボすることで、歴史上の人物の内面に迫ろうとしている。本郷先生が歴史の「時代」と「実績」を語り、小説家の門井慶喜さんがその人物の動機を推察して、2人で内面を考察していく。理性と感性。知性と感性の融合。歴史学者と小説家だからこそ導き出せる将軍たちの内面を語り合っています。
感性の部分に関しては、異論もあるだろうと思いますが、感性へと至る大前提の知性の部分の語りはとてもためになります。「将軍」という言葉の意味、「幕府」という言葉の意味の解説から始まって、坂上田村麻呂はほかの将軍たちとどうちがうのか? 豊臣秀吉がなぜ関白を選んだのか? などの内面を掘り下げていきます。日本史の講義を受講しているときのような知的興奮と、小説や大河ドラマが完成する手前の「作り手たちが議論している様子」を読んでいるような、ワクワク感があります。
本郷和人先生執筆の巻末の「おわりに」を読むと、本著の狙いがよく分かります。同業者が語り合うのではなく、他業種の人とコラボすることで、歴史上の人物の内面に迫ろうとしている。本郷先生が歴史の「時代」と「実績」を語り、小説家の門井慶喜さんがその人物の動機を推察して、2人で内面を考察していく。理性と感性。知性と感性の融合。歴史学者と小説家だからこそ導き出せる将軍たちの内面を語り合っています。
感性の部分に関しては、異論もあるだろうと思いますが、感性へと至る大前提の知性の部分の語りはとてもためになります。「将軍」という言葉の意味、「幕府」という言葉の意味の解説から始まって、坂上田村麻呂はほかの将軍たちとどうちがうのか? 豊臣秀吉がなぜ関白を選んだのか? などの内面を掘り下げていきます。日本史の講義を受講しているときのような知的興奮と、小説や大河ドラマが完成する手前の「作り手たちが議論している様子」を読んでいるような、ワクワク感があります。
ベスト500レビュアー
歴史家の本郷和人氏と作家の門井慶喜氏との対談集で、テーマはズバリ「将軍」。
具体的には、坂上田村麻呂、源頼朝、足利尊氏、足利義満、徳川家康、徳川吉宗、徳川慶喜、そして西郷隆盛の8人と、将軍にはならなかったが、実質的に将軍と同様の権力を握った織田信長と豊臣秀吉の2人の合計10名について、その歴史的実績、性格、政治力、軍事力、時代背景などを通して「武士の世」と言われた時代を俯瞰していて興味深い。
歴史家と作家というそれぞれ造詣の深い二人の対談により、お互いに将軍についての見方が多様に浮き彫りにされており、将軍、あるいは武士とは何かという歴史的考察をする上でとても楽しく、かつ勉強になった。
具体的には、坂上田村麻呂、源頼朝、足利尊氏、足利義満、徳川家康、徳川吉宗、徳川慶喜、そして西郷隆盛の8人と、将軍にはならなかったが、実質的に将軍と同様の権力を握った織田信長と豊臣秀吉の2人の合計10名について、その歴史的実績、性格、政治力、軍事力、時代背景などを通して「武士の世」と言われた時代を俯瞰していて興味深い。
歴史家と作家というそれぞれ造詣の深い二人の対談により、お互いに将軍についての見方が多様に浮き彫りにされており、将軍、あるいは武士とは何かという歴史的考察をする上でとても楽しく、かつ勉強になった。
殿堂入りベスト10レビュアーVINEメンバー
日本史学者と作家が「将軍」をテーマに対談した内容を収載しています。
将軍のという言葉の意味や、時代における役割といった、制度的な側面について冒頭で少々触れられてはいるものの、どちらかというと将軍の任を得た個人の人生を主として話が展開します。
但し、中には信長、秀吉という将軍ではない人物も採り上げられているので、日本史ツワモノ語りという感じでしょうか。
読んでいて感じたのは、NHKのBS放送でやってる番組みたいだなぁということです。
特定の人物やテーマをお題として、有識者やタレントが思い思いにしゃべるというあれですね。
特に新しい発見やアプローチがあるわけはなく、周知の事実に基づきながら私見を述べるという歴史エンタメ、、本書からもそんな雰囲気が伝わってきました。
さすがにテレビ番組のように、ヘンテコなことを言い出すよう期待されている枠のタレントは参加していないので、あくまで普通に会話が展開するのですが、歴史好きのフリートークを傍で聴いたら、こんな感じなんだろうなぁと思いました。
しかし、さすがに帯に躍るような、「この国を支配する条件に迫る」というのは大げさな謳い文句に過ぎず、そこまでの考察はされていません。
将軍のという言葉の意味や、時代における役割といった、制度的な側面について冒頭で少々触れられてはいるものの、どちらかというと将軍の任を得た個人の人生を主として話が展開します。
但し、中には信長、秀吉という将軍ではない人物も採り上げられているので、日本史ツワモノ語りという感じでしょうか。
読んでいて感じたのは、NHKのBS放送でやってる番組みたいだなぁということです。
特定の人物やテーマをお題として、有識者やタレントが思い思いにしゃべるというあれですね。
特に新しい発見やアプローチがあるわけはなく、周知の事実に基づきながら私見を述べるという歴史エンタメ、、本書からもそんな雰囲気が伝わってきました。
さすがにテレビ番組のように、ヘンテコなことを言い出すよう期待されている枠のタレントは参加していないので、あくまで普通に会話が展開するのですが、歴史好きのフリートークを傍で聴いたら、こんな感じなんだろうなぁと思いました。
しかし、さすがに帯に躍るような、「この国を支配する条件に迫る」というのは大げさな謳い文句に過ぎず、そこまでの考察はされていません。
VINEメンバー
対話形式で読みやすい。小説家と歴史学者がそれぞれ触発しあって、話が発展し、歴史学者だけだとわかりにくかったであろうことがわかりやすく書かれている。門井氏が鋭い疑問を投げかけ、それに本郷氏が答えることで、将軍についての様々な面が語り尽くされている。
この本を読んで色々と考えさせられた。例えば信長や秀吉が将軍にならなかったのは、足利義昭が生きていたからかもしれない、という知見が述べられている。もし信長が足利義昭を殺していたらその後も歴史も変わっていたからかもしれない。
この本を読んで色々と考えさせられた。例えば信長や秀吉が将軍にならなかったのは、足利義昭が生きていたからかもしれない、という知見が述べられている。もし信長が足利義昭を殺していたらその後も歴史も変わっていたからかもしれない。