広井良典氏の『人口減少社会という希望』(朝日新聞出版)で言及されていた本だが、実物は異様に分厚くて読むのは難儀だった。「才能が経済と都市の主役になる」とか「クリエイティビティが重要」とか、かなり前から言われていたような気がするが何が新しいのだろう?、という印象もあるのだが、それはともかくとして、最近個人的にものすごいエネルギーを感じた、あるいはクリエイティビティを感じたのは、学生団体SEALDsによる安保法案反対運動。あれにはびっくりもしたし感動もした。あの動きに符合するような記述が本書の中にあったのでここに引用してみたい。
「私たちの時代の長引く経済危機と著しい格差は、これまで眠っていた政治的エネルギーを刺激し、2011年の春と夏に起きたアラブ世界の騒乱や世界的な反響を呼んだ占拠運動に発展した。ニューエコノミーの一部の提唱者が、かつて自らを「超慣習的」と見なしていたことを思い起こせば皮肉なことだ。資本主義を改造するという彼らの壮大な宣言は、ほとんど絵空事だった。しかし、クリエイティブ・クラスの台頭によって解き放たれた反政府的エネルギーは、爆発的な可能性を秘めている。名高い歴史家のエリック・ボブズボームによれば、これらの騒乱は旧来の労働者階級の運動よりもクリエイティブ・クラスによる影響が大きいという。彼はこのように述べている。「従来の左派は、既に存在しない社会を相手にしているか、あるいは活力を失ってしまった。彼らは集団による労働運動が未来を担うと考えていた。しかし私たちの社会は脱工業化が進んでおり、もはやそれは不可能だ。今日では、近代化した新しい中流階級、特に膨大な数の学生から始まる大衆運動が最も効果的となっている」
もちろん従来の労働者階級による運動にもまだ少なからず力はあり、一般的な社会変革運動の一助とはなるだろう。しかし変革の原動力となり得るのは、アーティストやクリエイター、学生、専門職などのクリエイティブ・クラスである。これらの運動はインターネットやフェイスブック、ツイッター、その他のソーシャル・メディアによって推進されてきたが、カイロのタハリール広場やウォール街デモの拠点となったズコッティ公園などのように、現実の世界で具体的な形で示すことが重要だ。
これらの運動が、最終的に成功するか失敗に終わるかは重要な問題ではない。今後は場所、ソーシャル・メディア、クリエイティブ・クラスの共同体が社会運動の支柱となり、経済と社会の変化に必要なエネルギーを供給していくのである」(以上、引用終わり)
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