全四巻のうち、二巻の途中までが吉田松陰で、その後が高杉晋作を主人公とした歴史小説です。
二巻まで読んだ段階で、こちらの一巻のレビューをさせていただきます。
万死を覚悟し、憂国の志に全生涯を捧げんとする松陰の生き様には、平和な現代に生きる己の日々を顧みるに、ただ絶賛しかない。そのわずか29年で命を散らした若者の生涯を、けっして悲壮ではなく、英雄譚でもなく、熱き思いに満ちた疾走として熱く描いた著者の作家としての力量には、もはや感動しかなかった。
司馬遼太郎節というのだろうか。時折はさまれる著者視点での考察には、いきなり現実に引き戻されてがっかりすることも少なくないが、それを含めてやはり司馬作品は面白いと思う。
己のことばかりが優先される現代において、国家や組織の在り方にここまで情熱をささげることができた松陰の生き様には、時代の差異を差し引いたとしても、心から尊敬の念が絶えない。
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新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫) 文庫 – 2003/3/10
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時は幕末。嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。
長州萩・松本村の下級武士の子として生まれた吉田松陰は、浦賀に来航した米国軍艦で密航を企て罪人に。生死を越えた透明な境地の中で、自らの尊王攘夷思想を純化させていく。その思想は、彼が開いた私塾・松下村塾に通う一人の男へと引き継がれていく。松陰の思想を電光石火の行動へと昇華させた男の名は、高杉晋作。身分制度を超えた新しい軍隊・奇兵隊を組織。長州藩を狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動に駆り立てていくのだった……
骨肉の抗争をへて、倒幕へと暴走した長州藩の原点に立つ吉田松陰と弟子高杉晋作を中心に、変革期の青春群像を鮮やかに描き出す長篇小説全四冊。
吉川英治文学賞受賞作。
長州萩・松本村の下級武士の子として生まれた吉田松陰は、浦賀に来航した米国軍艦で密航を企て罪人に。生死を越えた透明な境地の中で、自らの尊王攘夷思想を純化させていく。その思想は、彼が開いた私塾・松下村塾に通う一人の男へと引き継がれていく。松陰の思想を電光石火の行動へと昇華させた男の名は、高杉晋作。身分制度を超えた新しい軍隊・奇兵隊を組織。長州藩を狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動に駆り立てていくのだった……
骨肉の抗争をへて、倒幕へと暴走した長州藩の原点に立つ吉田松陰と弟子高杉晋作を中心に、変革期の青春群像を鮮やかに描き出す長篇小説全四冊。
吉川英治文学賞受賞作。
- 本の長さ313ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2003/3/10
- ISBN-104167663066
- ISBN-13978-4167663063
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。この時期骨肉の抗争をへて、倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ吉田松陰と後継者たる高杉晋作があった。変革期の青春の群像を描く歴史小説全四冊。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
司馬/遼太郎
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみちI”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。平成8(1996)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみちI”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。平成8(1996)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋; 新装版 (2003/3/10)
- 発売日 : 2003/3/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 313ページ
- ISBN-10 : 4167663066
- ISBN-13 : 978-4167663063
- Amazon 売れ筋ランキング: - 97,864位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,144位歴史・時代小説 (本)
- - 1,858位文春文庫
- - 3,365位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語部卒。「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞、『梟の城』で直木賞を受賞。『竜馬がゆく』『国盗り物語』『坂 の上の雲』『空海の風景』『翔ぶが如く』など構想の雄大さ、自在で明晰な視座による作品を多数発表。この他『街道をゆく』『風塵抄』『この国のかたち』な どの紀行、エッセイも多数。’96年逝去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 司馬遼太郎と寺社を歩く (ISBN-13: 978-4334747213)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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ベスト1000レビュアー
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山口県・萩の松下村塾を訪れたのを機に読み始めました。
第1巻は吉田松陰の半生。幼少時代に山鹿流兵学を継ぎ、明倫館で教える師範に。平戸を始め九州に留学し、帰国後はすぐに江戸へ留学。友との出発日の約束を守るためだけに脱藩。罪に問われて浪人の身になった頃に、ペリーが浦賀に来航。外国留学を決意し、長崎に寄港していたロシア軍艦に乗り込もうとするが失敗に終わるところまで。
松蔭が幼少時代に従事した玉木文之進に、読書中に顔を掻くだけで殴られるという話が一番印象的でした。
玉木文之進によれば、侍の定義は公のためにつくすものであるという以外にない、ということが持説であり、極端に私情を排した。学問を学ぶことは公のためにつくす自分をつくるためであり、そのため読書中に頬のかゆさを搔くということすら私情である、というのである。「痒 みは 私。搔くことは私の満足。それをゆるせば長じて人の世に出たとき私利私欲をはかる人間になる。
第1巻は吉田松陰の半生。幼少時代に山鹿流兵学を継ぎ、明倫館で教える師範に。平戸を始め九州に留学し、帰国後はすぐに江戸へ留学。友との出発日の約束を守るためだけに脱藩。罪に問われて浪人の身になった頃に、ペリーが浦賀に来航。外国留学を決意し、長崎に寄港していたロシア軍艦に乗り込もうとするが失敗に終わるところまで。
松蔭が幼少時代に従事した玉木文之進に、読書中に顔を掻くだけで殴られるという話が一番印象的でした。
玉木文之進によれば、侍の定義は公のためにつくすものであるという以外にない、ということが持説であり、極端に私情を排した。学問を学ぶことは公のためにつくす自分をつくるためであり、そのため読書中に頬のかゆさを搔くということすら私情である、というのである。「痒 みは 私。搔くことは私の満足。それをゆるせば長じて人の世に出たとき私利私欲をはかる人間になる。
2016年1月3日に日本でレビュー済み
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意識を高めたいときにおすすめ。
幕末~明治維新期における長州藩の吉田松陰、高杉晋作の生き様を描く。
高杉晋作の「おもしろき こともなき世を おもしろく」ていう言葉の時代背景を味わいたくて読み始めた。
が、そこにたどり着く前からひたすらに熱い。
文庫で4巻あるうちの1巻目は、まだ吉田松陰の生涯で高杉晋作は全く出てこないが、松陰の生涯も情熱一色なことが感じられた。
吉田松陰に関する予備知識としては、高校までの歴史の授業で習った、松下村塾、海外への密航未遂くらいしかなく、正直ちょっと頭のいってしまったインテリだと思っていた(←教養のなさを露呈)のですが、(彼の思考回路に完全に共感できるかはともかく、)密航にいたるまで松陰の中で一貫した道筋があったことが感じられた。
いやそもそも幕末~明治維新期ていう時代自体、対外危機やら体制転換やらで日本の歴史の中でも指折りの熱をもった時期だと思うのだが、この時代の中でも屈指の情熱の人たちの小説(、更にはそれを司馬遼太郎が書く)とあっちゃあ読んでて意識高まるわけです。
尚、その他良かった所。
・堅苦し過ぎず読み易い。『坂の上の雲』なぞは中盤の戦闘の描写に使われる単語がごつ過ぎて挫折しそうになったが、本書ではその心配はなさそう。
・随所に司馬遼太郎による時代考証が織り交ぜられていて当時の社会状況へのイメージも膨らむ。江戸期は教育が全国、むしろ都市より地方の方が充実していた、とか。
残りの巻を暇を見つけて読破する所存です。
幕末~明治維新期における長州藩の吉田松陰、高杉晋作の生き様を描く。
高杉晋作の「おもしろき こともなき世を おもしろく」ていう言葉の時代背景を味わいたくて読み始めた。
が、そこにたどり着く前からひたすらに熱い。
文庫で4巻あるうちの1巻目は、まだ吉田松陰の生涯で高杉晋作は全く出てこないが、松陰の生涯も情熱一色なことが感じられた。
吉田松陰に関する予備知識としては、高校までの歴史の授業で習った、松下村塾、海外への密航未遂くらいしかなく、正直ちょっと頭のいってしまったインテリだと思っていた(←教養のなさを露呈)のですが、(彼の思考回路に完全に共感できるかはともかく、)密航にいたるまで松陰の中で一貫した道筋があったことが感じられた。
いやそもそも幕末~明治維新期ていう時代自体、対外危機やら体制転換やらで日本の歴史の中でも指折りの熱をもった時期だと思うのだが、この時代の中でも屈指の情熱の人たちの小説(、更にはそれを司馬遼太郎が書く)とあっちゃあ読んでて意識高まるわけです。
尚、その他良かった所。
・堅苦し過ぎず読み易い。『坂の上の雲』なぞは中盤の戦闘の描写に使われる単語がごつ過ぎて挫折しそうになったが、本書ではその心配はなさそう。
・随所に司馬遼太郎による時代考証が織り交ぜられていて当時の社会状況へのイメージも膨らむ。江戸期は教育が全国、むしろ都市より地方の方が充実していた、とか。
残りの巻を暇を見つけて読破する所存です。