今年は新本格勃興から25年になるのかと、本書を読んで改めて感慨を深くした。
綾辻「十角館〜」のインパクトは、まさにビッグ・ヴァンだった。
本書はその25年間の流れを代表する作品についての、ある場合には詳細な、ガイドブックでもある。
ある場合には、というのは、しばしば作品のしかけや犯人が明らかにしてあるからだ。
すなわち、本書はある程度以上に新本格作品を読了した、いわゆる「鬼」連中が、まずは面白く読めるだろう。
私もその一人だ。
しかし、作品のエッセンスというか、面白さのツボを的確に紹介しているという点では、未読のひと向けという性格も強い。
したがって、ネタばらしの文章の直前には、以降にネタバレがあるというのが、きちんと明記されている。
そして、本書で紹介、解説、さらには解析されてもいる各作品を既読の「鬼」連中でも、25年の間には記憶がけっこう薄くなっている作品もあるはずだ。
だから本書で改めてあの作品のキモは、ツボは、というのを思い出し、自身の読書遍歴を改めて振り返ってみるのにも、ちょうど良い。
本書で紹介されている作品は、「新本格」のレーベルが立つ以前の、たとえば鮎川「リラ荘〜」から、「新本格」として宣伝されなくなっている近年の最近の円居「丸太町〜」までと幅広い。
残念なのは刊行書の解説文等が多く、各作品に関する解析のレベルにバラツキが大きいことだろう。
それでも、リストアップされている新本格100選には、この作家はこれじゃなくてあっちだろう、などと軽く突っ込みを入れたりしながら、実に楽しく読ませてもらった。
さて、「新本格」は滅びるのか?これからどこへ向かうのか?
願わくば、ミステリの稚気が風化しないでもらいたいものである。
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