年功序列、終身(長期)雇用、企業別組合が、日本型雇用制度の三種の神器といわれていることは、誰でも知っている。
この日本型雇用システムの本質は、職務に基づいて採用し、評価する、職務給制度ではなく、職務遂行能力を資格化した「職能給制度」にあると喝破している。
この本質をベースに、今まで、バラバラに頭に入っていた色々な事象が、根は一つなのだということが理解できる。
取り扱っている社会事象は非常に幅広く、かつ一つ一つの事象についての考察はとても深い。
そういった意味で、レベルとしては啓蒙書の域を凌駕しているが、説明は平易。 名著です。
以下、いくつかのテーマをご紹介します。
・非正規雇用は、高度経済成長期には、主婦のパートと学生アルバイト。 1990年代半ば以降、企業がリストラで採用を控えた為、正規社員になれなかった若者が増加。 いわゆるフリーター。 彼らが今中年にさしかかっており、生活が安定せず、社会問題となっている。
・日本型賃金システムは、若者の間は低賃金に甘んじ、会社に預金をし、それを家庭をもって中高年となった時期に高賃金を受け取って回収する仕組み。 長期間、同じ会社に勤務して公正がはかられるシステム。
・高度経済成長期では、女性は結婚で退社する前提。 勤務年数が短いため、補助的な業務を担当。 男女雇用均等法の施行後、この仕組みを法の精神に逆らわぬように置き換えたのが、「一般職」制度。
海外では、クラーク(事務的な提携作業を担当)とマネージャー(判断業務を担当)の区別はありますが、いづれも、男性も女性もいます。 一般職の業務はクラークの業務に近似しますが、構成員が女性だけというのは、非常に奇異に感じられました。
本書を読み、その生い立ちが理解できたと同時に、女性は生涯働く時代となった今、時代遅れの制度であることも理解できました。
未来の日本のため、変えていかなくてはなりませんが、そう容易ではないということも同時に理解できました。
このように、取り扱うテーマは非常に幅広く、かつ掘り下げは非常に深い名著です。
日本型の雇用制度の本質を理解されたいかたに、お勧めの一冊です。
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新しい労働社会: 雇用システムの再構築へ (岩波新書) 新書 – 2009/7/22
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- ISBN-104004311942
- ISBN-13978-4004311942
- 出版社岩波書店
- 発売日2009/7/22
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 1 x 17.5 cm
- 本の長さ212ページ
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。職場の現実から乖離した、その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。問われているのは民主主義の本分だ。独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
濱口/桂一郎
1958年大阪府生まれ。1983年東京大学法学部卒業。同年労働省に入省。東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授をへて、現在、独立行政法人労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門統括研究員。専門は労働法、社会政策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1958年大阪府生まれ。1983年東京大学法学部卒業。同年労働省に入省。東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授をへて、現在、独立行政法人労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門統括研究員。専門は労働法、社会政策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2009/7/22)
- 発売日 : 2009/7/22
- 言語 : 日本語
- 新書 : 212ページ
- ISBN-10 : 4004311942
- ISBN-13 : 978-4004311942
- 寸法 : 10.5 x 1 x 17.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 15,589位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 7位総務・人事・労務管理の労働問題
- - 72位岩波新書
- - 536位社会学概論
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2016年5月6日に日本でレビュー済み
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2013年8月31日に日本でレビュー済み
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本書は、他の評者の方の評にもあるとおり、現代日本企業の雇用システムのありよう、つまり職務ではなく職能に基づく長期雇用を前提とした、云わばメンバーシップ契約なのだということを歴史的・国際的比較の中で把握し、現代生じている労働者の健康問題・非正規雇用の問題を解決するために、一企業の雇用だけを捉えるのではなく、社会総体としての構造という視野から見直すことを提示している良書である。
著者の述べているように、雇用システムのありようを歴史的・国際的に捉える意義は、歴史的に捉えることで、どのような状況の中から現代日本企業の雇用システムが形成されてきたかを捉えられるし、国際的比較の中で捉えることで、どのような状況なら異なった選択肢を選択しうるかを検討することができる。
現代日本企業に長期雇用を前提としたメンバーシップ契約型雇用システムが形成されたのは、もともと日本の教育システムが労働のための教育訓練制度として十分な機能を果たしていなかったために、企業としては入社後の企業内教育訓練制度に依拠せざるを得なかったという環境要因が基になっている、という点にその根源を求めている点は興味深い。このように、ある国の企業の雇用形態は、その企業だけ捉えるだけでは十分ではなく、歴史的・環境的に捉えて初めて根源的な理解に辿り着くという著者の主張はもっともである。
本書は現代日本企業の雇用システムを社会全体の中で捉えようとしているが、一企業の人事担当者として自社の雇用システムの再構築を試みようとしている方にとっても興味深い視座を提供している。ただ、そのような、社会的環境が整備される中で一企業の雇用システムをどのようにするかという問題はあくまで当該企業の問題であり、あくまでアートとしての経営問題に帰すべき問題であるため、本書の思考の枠の外にあるので、その点については注意されたい。
著者の述べているように、雇用システムのありようを歴史的・国際的に捉える意義は、歴史的に捉えることで、どのような状況の中から現代日本企業の雇用システムが形成されてきたかを捉えられるし、国際的比較の中で捉えることで、どのような状況なら異なった選択肢を選択しうるかを検討することができる。
現代日本企業に長期雇用を前提としたメンバーシップ契約型雇用システムが形成されたのは、もともと日本の教育システムが労働のための教育訓練制度として十分な機能を果たしていなかったために、企業としては入社後の企業内教育訓練制度に依拠せざるを得なかったという環境要因が基になっている、という点にその根源を求めている点は興味深い。このように、ある国の企業の雇用形態は、その企業だけ捉えるだけでは十分ではなく、歴史的・環境的に捉えて初めて根源的な理解に辿り着くという著者の主張はもっともである。
本書は現代日本企業の雇用システムを社会全体の中で捉えようとしているが、一企業の人事担当者として自社の雇用システムの再構築を試みようとしている方にとっても興味深い視座を提供している。ただ、そのような、社会的環境が整備される中で一企業の雇用システムをどのようにするかという問題はあくまで当該企業の問題であり、あくまでアートとしての経営問題に帰すべき問題であるため、本書の思考の枠の外にあるので、その点については注意されたい。
2010年12月13日に日本でレビュー済み
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今後の社会制度を提言する課題を与えられ、その参考に読みました。
雇用制度の様々な問題が整理されています。
戦前の制度まで遡っているので、現行制度の問題点がわかりやすい。
今度の労働制度のあるべき姿を見通したい・再設計した人にとっては、便利な一冊。
一方、現行制度の問題を、新自由主義やマルクス史観でぶったぎる、単細胞向けの本ではないので、犯人探しで溜飲を下げたい人には、物足りなく感じるかもです。
今後もこういう良書に期待します!
雇用制度の様々な問題が整理されています。
戦前の制度まで遡っているので、現行制度の問題点がわかりやすい。
今度の労働制度のあるべき姿を見通したい・再設計した人にとっては、便利な一冊。
一方、現行制度の問題を、新自由主義やマルクス史観でぶったぎる、単細胞向けの本ではないので、犯人探しで溜飲を下げたい人には、物足りなく感じるかもです。
今後もこういう良書に期待します!
ベスト1000レビュアー
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この問題の専門家である著者は、「派遣切り」「名ばかり管理職」「ワーキングプア」「製造業への派遣」など現在生じている雇用問題を、個別的・表層的にではなく、国際比較と歴史的パースペクティブという大きな構図の中で捉え返す。日本特有の長期雇用や年功賃金制度も、それだけ見ていたのでは本質は分らない。本当の問題は、日本の雇用契約に「職務(ジョブ)」という概念が希薄なことにある。欧米では、特定の「職務(ジョブ)」を明確にし、その「職務」だけを行う労働を求めるのが雇用だが、日本では「職務」を決めずに一人の「人」を会社のメンバーとして雇う。不景気などで特定の「職務」の必要性が減れば、社員を別の「職務」へ移すから、「人」は長期にその会社のメンバーを続ける(→長期雇用)。また、「職務」が一定しないから、「職務」遂行能力で給与を決められない。そして日本の企業は「生活給」の考え方に立つから、子育てや教育費のかかる年代には給与が増える代わりに、20代の単身者の給与は低い(→年功賃金)。一方、「生活給」ではなく「同一労働同一賃金」制の西洋諸国では、子どもの養育や教育費用は、別に国などが手当てするから、中年社員の賃金が上昇しなくてもやっていける。このように、雇用制度は大きな構図で捉えないと、「なぜそうなっているのか」が理解できない。現代日本の問題は、正社員+専業主婦という標準モデルの「正規労働」には手厚い保護があるのに対して、家計支持者の庇護のもとにある主婦と学生のアルバイトをモデルとした「非正規労働」には低賃金を押し付けるという構造が、もう現実に合わなくなった点にある。「非正規労働」だけで生活せざるをえない若者が大量に出現し、「ワーキングプア」化したからだ。労働政策は政府・経営者・労働者の三者の合議で決めるという産業民主主義があるのに、小泉改革以来、利害関係者を排除した「哲人政治」化していることへの批判は鋭い(p210)。
2014年5月27日に日本でレビュー済み
この本で学んだこと、インスパイアされたことは数あるけれど、長期にわたって記憶に残ると思うのは冒頭にある次の趣旨の一節。
「私は、社会問題を論ずる際に、その現実適合性を担保してくれるものは、国際比較の観点と歴史的パースペクティブだと考えています。空間的、時間的な広がりの中で捉えることで、常識外れの議論に陥らずに済みます。」
労働問題に限らず、今後自分で論を立てようとするときに、このことを銘記しようと思いました。
労働問題に限らず、とても有益な本だと思います。
「私は、社会問題を論ずる際に、その現実適合性を担保してくれるものは、国際比較の観点と歴史的パースペクティブだと考えています。空間的、時間的な広がりの中で捉えることで、常識外れの議論に陥らずに済みます。」
労働問題に限らず、今後自分で論を立てようとするときに、このことを銘記しようと思いました。
労働問題に限らず、とても有益な本だと思います。






