本著は読解研究の概論なのかもしれないが,内容は散漫であり,かつ1つ1つの掘り下げが足りない。
もし,これを修士課程,博士課程で読解研究をしようとする人が参考にするならば,私は決してお薦めしない。
本著は,学位論文の序章か何かで書いたものではないかと推察されるが,専門性は薄い。
どなたかが書いておられるが,引用文献も著しく古い。もちろん,理論の根拠となるような名著の文献はいつまでも引用されるに値するが,本著で引用されているのは,そのようなものばかりではない。
執筆者はご自身の研究を引用しているが,ここにも問題がある。例えば,P46に文章の理解を決定する三要因というのがあるが,これは,研究者間で合意のある読み手要因とテキスト要因に,読み方要因という3つめの要因を加えたもので,第4部の根幹となるものである。しかし,その元となる論文は査読を通ったジャーナルに掲載されたものではない。他にも執筆者の引用は多いが,紀要レベルの論文であり,査読ジャーナルではない論文に載ったものを理論の根拠とすべきものではない。
また,一般書として読むのであれば,「読んでわかる」ことの深さを解説するには,いささか筆力が不足している。
5つ星をつけている方もいらっしゃるが,読解研究者から見ると,甚だ心もとない著書である。
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