「文楽にようこそ」に続く小学館からの文楽シリーズ第二弾の本書。
全ページカラーで、前作と同じく、写真が美しくサイズも手頃で良い。
貴重な二代目吉田玉男のあどけない写真や先代との写真を交えながら、入門から2015年の襲名までの修行と先代への思い、弟子への気持ちがインタビュー形式で語られる。
また、こうした本では珍しく、一門の一人一人の紹介がなされている。
「自分一人だけ」ではなく「皆で一緒に」とでも言おうか、二代目の一門への弟子への思い、この芸能を担う者の連帯感を垣間見た思いである。
さらに、現在のだんな衆のインタビューがあるのも珍しい。こういった人々の支えのおかげで、文楽は厳しい時期も乗り越え、今があるのであろう。
だんな衆を紹介したことにも、「文楽だけ」ではなく「皆で一緒に」栄えていきたいという気持ちが伝わってくるようで、大変好感が持てる。
その他、十日戎、文楽船など、文楽も関わる季節の行事も紹介されている。
この本を読んで、襲名は、個人的なものではなく、文楽界のみならず、文楽を支える人々、そして寿ぐ側の人々のものでもある、といった公共性を帯びたものであるとも感じられた。
他の方も書いておいでであるが、本書を手に襲名披露公演をご覧になれば、観劇の楽しみが倍増するのは間違いない。
さらに、襲名という、いかにも日本的な伝統の一端を知るという意味でも、また、切り口のユニークさという点においても、襲名披露公演が終了しても手に取る価値がある一冊である。
私は、この本を手に、だんな衆のお店を訪ねてみようと思う。
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