30代男です。家庭があり、将来の為に社会保障について勉強したいと思い購入しました。
厚労官僚として長年にわたり社会保障に携わってきた著者が、現在の日本社会の問題点を整理し、社会保障の観点からどう手当すべきかを論じています。それらについてはとても参考になりました。
ただ、どうにも解せないのは、格差の是正や経済成長の重要性を論じているにも関わらず、消費税の増税を肯定しているところです。5%、8%の増税でも分かる通り、増税により国民の消費はさらに冷えこみ、経済が停滞し、デフレひいては格差拡大が加速するのは自明です。私のような平凡なサラリーマンは生活防衛のため、節約に走ることは間違いありません。
財政再建する前に、国債を発行して需要を創出し、デフレ脱却して経済成長させるのが先なのではないでしょうか?本書にもあるように「成長は全ての問題を解決する」ということです。今年は豪雨、台風、地震と多くの災害があり、日本はインフラもボロボロになりつつあります。この現状では必要な投資を行い、国土を整備することこそが将来世代への責務です。
また、著者はプライマリーバランスを均衡させてからでないと、経済成長しても借金を返済できないと仰ってますが、経済の規模が拡大すると借金が増えるのは当たり前のことです。統計のある19世紀から今日まで、日本政府の債務残高は増え続けています。それでも日本は破綻してません。経済成長する前に借金を減らせる体質にしないといけないと言うのは間違った考えです。
財政均衡主義である著者の政策提言は、政府の支出を出来るだけ抑えて構造改革をする事で問題を解決しようとする内容が多いです。それはそれでやったらいいのですが、やはり小手先感が否めないです。要は貧乏なのが悪いのです。だから経済成長を最優先にすべきだという思いを強くしました。著者の考えでは、日本はますますジリ貧になりますよ。
購入オプション
紙の本の価格: | ¥1,760 |
割引: | ¥ 176 (10%) |
| |
Kindle 価格: | ¥1,584 (税込) |
獲得ポイント: | 16ポイント (1%) |

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
教養としての社会保障 Kindle版
年金局長、雇用均等・児童家庭局長等を歴任し、その間、介護保険法、子ども・子育て支援法、国民年金法、男女雇用機会均等法、GPIF改革等数々の制度創設・改正を担当。さらには内閣官房内閣審議官として「社会保障・税一体改革」を取りまとめるなど、社会保障改革と闘い続けた著者による書き下ろし。
日本の社会保障制度は、大きな曲がり角に差し掛かっています。安心社会の基盤となり、社会経済の変化に柔軟に対応し、社会の発展・経済の成長に貢献できる社会保障制度の構築は、これからの日本にとって必須の改革だと私は考えています。(中略)年金制度や医療制度を始めとする社会保障の諸制度は、市民一人ひとりの自立と自己実現を支えるための制度です。現代社会にあって、個人の自己実現を通じた経済の発展と社会の活力、そして市民生活の安定を同時に保障するサブシステムとして、人類が考え出した最も知的かつ合理的な仕組みであり、社会にとっても個人にとってもなくてはならない制度です。本書が、私たちにとってなくてはならない社会保障と、その社会保障制度が置かれている現状について理解するための一助になれば幸せです。(「はじめに」より)
【主な内容】
はじめに~この本を手に取ってくださった方へ
第1部 社会保障とは何か~制度の基本を理解する
第1章 【系譜、理念、制度の体系】ギルドの互助制度を手本としたビスマルク
第2章 【基本哲学を知る】「共助」や「セーフティネット」が社会を発展させた
第3章 【日本の社会保障】戦後日本で実現した「皆保険」という奇跡
第2部 マクロから見た社会保障~社会保障と日本社会・経済・財政
第4章 【変調する社会・経済】人口減少、少子化、高齢化で「安心」が揺らぎ始めた
第5章 【産業としての社会保障】社会保障はGDPの5分の1を占める巨大市場
第6章 【国家財政の危機】次世代にツケをまわし続けることの限界
第3部 日本再生のために社会保障ができること
第7章 【目指すべき国家像】「将来不安」を払拭するために何をすべきか
第8章 【新たな発展モデル】北欧諸国の成功モデルから学べること
第9章 【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか
付 章 【提言】人口減少社会を乗り切る持続可能な安心社会のために
おわりに
参考文献リスト
日本の社会保障制度は、大きな曲がり角に差し掛かっています。安心社会の基盤となり、社会経済の変化に柔軟に対応し、社会の発展・経済の成長に貢献できる社会保障制度の構築は、これからの日本にとって必須の改革だと私は考えています。(中略)年金制度や医療制度を始めとする社会保障の諸制度は、市民一人ひとりの自立と自己実現を支えるための制度です。現代社会にあって、個人の自己実現を通じた経済の発展と社会の活力、そして市民生活の安定を同時に保障するサブシステムとして、人類が考え出した最も知的かつ合理的な仕組みであり、社会にとっても個人にとってもなくてはならない制度です。本書が、私たちにとってなくてはならない社会保障と、その社会保障制度が置かれている現状について理解するための一助になれば幸せです。(「はじめに」より)
【主な内容】
はじめに~この本を手に取ってくださった方へ
第1部 社会保障とは何か~制度の基本を理解する
第1章 【系譜、理念、制度の体系】ギルドの互助制度を手本としたビスマルク
第2章 【基本哲学を知る】「共助」や「セーフティネット」が社会を発展させた
第3章 【日本の社会保障】戦後日本で実現した「皆保険」という奇跡
第2部 マクロから見た社会保障~社会保障と日本社会・経済・財政
第4章 【変調する社会・経済】人口減少、少子化、高齢化で「安心」が揺らぎ始めた
第5章 【産業としての社会保障】社会保障はGDPの5分の1を占める巨大市場
第6章 【国家財政の危機】次世代にツケをまわし続けることの限界
第3部 日本再生のために社会保障ができること
第7章 【目指すべき国家像】「将来不安」を払拭するために何をすべきか
第8章 【新たな発展モデル】北欧諸国の成功モデルから学べること
第9章 【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか
付 章 【提言】人口減少社会を乗り切る持続可能な安心社会のために
おわりに
参考文献リスト
- 言語日本語
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2017/5/19
- ファイルサイズ23083 KB
この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください。
商品の説明
メディア掲載レビューほか
教養としての社会保障
誰にとっても大切な社会保障だけれど、理解するのは難しいし面倒。そう思っていた私にとっても本書はわかりやすく、かつ、深かった。著者は内閣審議官として「社会保障・税一体改革」をとりまとめた経歴を持つ。改革の是非はさておき、まず虚心にページを繰れば、市民の不安に向き合う著者の姿勢に気づく。所得格差の広がりや政治不信について率直に語り、自らの関わった改革によって社会基盤が壊されたことにも言及している。「負担のない給付はありません。ないのです」と増税の必要性を確認しつつ、その合意を得るには政治に携わる者が汗をかかなければならないと説く。
平易な語りによる読みやすさもさることながら、本書を貫く社会保障の哲学には新鮮な感動がある。誠実な言葉への感動とも言えるかもしれない。
評者:石原さくら
(週刊朝日 掲載) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。内容(「BOOK」データベースより)
著者について
香取 照幸(カトリ テルユキ)
元厚労省年金局長
1956(昭和31)年、東京都出身。東京大学法学部卒業。1980年厚生省(現厚生労働省)入省。1982年在フランスOECD(経済協力開発機構)事務局研究員、1990年埼玉県生活福祉部老人福祉課長、1996年厚生省高齢者介護対策本部事務局次長。2001年内閣官房内閣参事官(総理大臣官邸)、2002年厚生労働省老健局振興課長、2005年厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長。2008年内閣官房社会保障国民会議事務局参事官、同安心社会実現会議事務局参事官、2010年厚生労働省政策統括官(社会保障担当)、内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)、2012年厚生労働省年金局長、2015年厚生労働省雇用均等・児童家庭局長等を経て2016年6月退官。2017年3月より在アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(現職)。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
元厚労省年金局長
1956(昭和31)年、東京都出身。東京大学法学部卒業。1980年厚生省(現厚生労働省)入省。1982年在フランスOECD(経済協力開発機構)事務局研究員、1990年埼玉県生活福祉部老人福祉課長、1996年厚生省高齢者介護対策本部事務局次長。2001年内閣官房内閣参事官(総理大臣官邸)、2002年厚生労働省老健局振興課長、2005年厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長。2008年内閣官房社会保障国民会議事務局参事官、同安心社会実現会議事務局参事官、2010年厚生労働省政策統括官(社会保障担当)、内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)、2012年厚生労働省年金局長、2015年厚生労働省雇用均等・児童家庭局長等を経て2016年6月退官。2017年3月より在アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(現職)。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
香取/照幸
1956(昭和31)年、東京都出身。東京大学法学部卒業。1980年厚生省(現厚生労働省)入省。1982年在フランスOECD(経済協力開発機構)事務局研究員、1990年埼玉県生活福祉部老人福祉課長、1996年厚生省高齢者介護対策本部事務局次長。2001年内閣官房内閣参事官(総理大臣官邸)、2002年厚生労働省老健局振興課長、2005年厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長。2008年内閣官房社会保障国民会議事務局参事官、同安心社会実現会議事務局参事官、2010年厚生労働省政策統括官(社会保障担当)、内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)、2012年厚生労働省年金局長、2015年厚生労働省雇用均等・児童家庭局長等を経て2016年6月退官。2017年3月より在アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(現職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
1956(昭和31)年、東京都出身。東京大学法学部卒業。1980年厚生省(現厚生労働省)入省。1982年在フランスOECD(経済協力開発機構)事務局研究員、1990年埼玉県生活福祉部老人福祉課長、1996年厚生省高齢者介護対策本部事務局次長。2001年内閣官房内閣参事官(総理大臣官邸)、2002年厚生労働省老健局振興課長、2005年厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長。2008年内閣官房社会保障国民会議事務局参事官、同安心社会実現会議事務局参事官、2010年厚生労働省政策統括官(社会保障担当)、内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)、2012年厚生労働省年金局長、2015年厚生労働省雇用均等・児童家庭局長等を経て2016年6月退官。2017年3月より在アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(現職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B071HTMHYB
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2017/5/19)
- 発売日 : 2017/5/19
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 23083 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 335ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 118,250位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 231位福祉 (Kindleストア)
- - 1,032位社会福祉関連書籍
- - 4,262位社会学 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.3
星5つ中の4.3
131 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。

本の内容には満足。この先10年の社会保障や医療行政を読み解く内容だ。コレが理解出来ない病院は10年後には多分存在してないと思われる。が、梱包は酷く、日本郵便で届いた本の角は潰れてた。大事な本はやはり自分の足で買いに行き、自分の手で持ち帰ると言うのが安全で確実なのだと知った。
このレビューの画像
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年8月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルを見て現在の社会保障制度(年金や医療保険)の概要を知るのにいいかなと思って購入しましたが、期待外れでした。
社会保障制度の概要を知りたくて、何か本を探しているという方にはお勧めしません。
どちらかというと社会保障制度そのものについて説明する本というより、著者が考える社会保障の系譜や理念、著者の視点から見た社会保障と日本社会・経済・財政とのかかわり、及び目指すべき将来像が語られる本です。
これらの前提となる社会保障制度そのものについての言及はあまりありません。
こちらの本は三部構成になっており、まず社会保障とは何かを説明し、次に「マクロから見た社会保障」、最後に「日本再生のために社会保障ができること」という風に続きます。
それなら第一部だけ読めばいいじゃないかと言われそうですが、第一部で語られるのは現行制度のうち主要な制度の抜粋・紹介などではなく、社会保障制度誕生の歴史、社会保障の基本哲学、戦後日本の皆保険制度がいかに「奇跡」的なものであるかといった話です。
更に、第二部・第三部にも疑問が残ります。
たとえば第三部(日本再生のために社会保障ができること)では北欧諸国を「知識産業モデル」として賛美し、成功した社会保障制度を持つ国として挙げています。
そして、新しい成長分野の人材の確保には優秀な人材を成長分野に移動させていくこと、具体的には企業主体ではなく国主体=雇用保険の給付者に職業訓練を義務付けることで成長分野への人の移動を促進すべきだと言っています。
パッと見はきれいな響きかもしれませんが、現実問題としてどうでしょうか。
そもそもある分野で優秀な人というのは恐らくその分野が肌に合っているのでしょうから、優秀だからといって、失業したら職業訓練をして「成長」分野に移すというのは非合理的ではないでしょうか。
官僚ですと辞令一つであちこちに飛ばされ「自分に合う分野での活躍」などを考える余裕はないのかもしれませんが、民間すべてにこれを持ち込もうとするのは無理があります。
その上、国が考える「成長分野」は本当に成長分野なのでしょうか?
クールジャパンを始め日本政府が成長分野だと推し出して失敗したものなど、数多くあると思うのですが。
雇用保険受給の条件として国が考える「成長分野」への職業訓練を義務付けられるなど、正直ぞっとします。
そもそも、日本と北欧諸国では社会のシステム、人々の考え方、就職・採用プロセスも違います。
そこに一切触れずに「北欧諸国では~」と言われてもただの官僚版出羽守にしか思えません。
それに北欧諸国とはスウェーデン・フィンランド・デンマーク・ノルウェーのことかと思われますが、この四ヵ国は似ているように見えてかなり異なります。
具体的にはどこにどんな制度があり、その制度がこのような働きをしてその国では成功した、というような具体的な話は一切ありません。
しかも北欧での成功の要因も「○○といわれています」であり、そう考えられる理由は説明されません。
その前提が間違っていたらその後のあなたの主張はすべて無意味に帰すのでは?と感じてしまいました。
この本が気になる方は、一度図書館や店頭でご自分の求めるものと合うかどうか確認されることをお勧めします。
社会保障制度の概要を知りたくて、何か本を探しているという方にはお勧めしません。
どちらかというと社会保障制度そのものについて説明する本というより、著者が考える社会保障の系譜や理念、著者の視点から見た社会保障と日本社会・経済・財政とのかかわり、及び目指すべき将来像が語られる本です。
これらの前提となる社会保障制度そのものについての言及はあまりありません。
こちらの本は三部構成になっており、まず社会保障とは何かを説明し、次に「マクロから見た社会保障」、最後に「日本再生のために社会保障ができること」という風に続きます。
それなら第一部だけ読めばいいじゃないかと言われそうですが、第一部で語られるのは現行制度のうち主要な制度の抜粋・紹介などではなく、社会保障制度誕生の歴史、社会保障の基本哲学、戦後日本の皆保険制度がいかに「奇跡」的なものであるかといった話です。
更に、第二部・第三部にも疑問が残ります。
たとえば第三部(日本再生のために社会保障ができること)では北欧諸国を「知識産業モデル」として賛美し、成功した社会保障制度を持つ国として挙げています。
そして、新しい成長分野の人材の確保には優秀な人材を成長分野に移動させていくこと、具体的には企業主体ではなく国主体=雇用保険の給付者に職業訓練を義務付けることで成長分野への人の移動を促進すべきだと言っています。
パッと見はきれいな響きかもしれませんが、現実問題としてどうでしょうか。
そもそもある分野で優秀な人というのは恐らくその分野が肌に合っているのでしょうから、優秀だからといって、失業したら職業訓練をして「成長」分野に移すというのは非合理的ではないでしょうか。
官僚ですと辞令一つであちこちに飛ばされ「自分に合う分野での活躍」などを考える余裕はないのかもしれませんが、民間すべてにこれを持ち込もうとするのは無理があります。
その上、国が考える「成長分野」は本当に成長分野なのでしょうか?
クールジャパンを始め日本政府が成長分野だと推し出して失敗したものなど、数多くあると思うのですが。
雇用保険受給の条件として国が考える「成長分野」への職業訓練を義務付けられるなど、正直ぞっとします。
そもそも、日本と北欧諸国では社会のシステム、人々の考え方、就職・採用プロセスも違います。
そこに一切触れずに「北欧諸国では~」と言われてもただの官僚版出羽守にしか思えません。
それに北欧諸国とはスウェーデン・フィンランド・デンマーク・ノルウェーのことかと思われますが、この四ヵ国は似ているように見えてかなり異なります。
具体的にはどこにどんな制度があり、その制度がこのような働きをしてその国では成功した、というような具体的な話は一切ありません。
しかも北欧での成功の要因も「○○といわれています」であり、そう考えられる理由は説明されません。
その前提が間違っていたらその後のあなたの主張はすべて無意味に帰すのでは?と感じてしまいました。
この本が気になる方は、一度図書館や店頭でご自分の求めるものと合うかどうか確認されることをお勧めします。
2017年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
社会保障は老若男女誰しもが負担という形でも受給という形でも関わる国民生活の基盤をなすものだが、対象が多岐にわたるだけでなくマクロの風景とミクロの風景が乖離するだけに理解が難しい。厚労省官僚だった著者の生半可でない知識と知性、人間社会への洞察力と共感力、国民的合意形成に必要な粘り強さと覚悟、経済動向を踏まえて進むべき指針を示す骨太な内容ながらも、平易でするすると読めてしまう。これほど全編に渡り一言一句無駄がなく、データに裏付けされたロジックと、冗長でないのに堅苦しくもない、時にはユーモアも滲ませる文章を繰り出す著者にただただ驚嘆する。これから出て行く社会はどういう社会保障の上で成り立つのか、高校や大学が一年ほどかけて授業に取り込むべき内容ではないだろうか。
ベスト500レビュアーVINEメンバー
Amazonで購入
まず社会保障で最も勘違いされていることをしっかり指摘している事には溜飲が下がりました。
「日本がつぶれない限り公的年金制度は絶対に潰れません」
ここを理解していない人がかなり多いのでこれを前提に読み進める必要がありますね。
「国民から直接お金をとっているのは財務省と厚労省だけ」
「社会保障は自助を共同する仕組み」
「社会保障以外のすべてのサービスを合計しても社会保障給付のほうが大きい」
という部分が基本の基本になるということをしっかり頁を割いて伝えてくれています。
よく引き合いに出される北欧の社会保障システムですが実際そんな甘いものじゃないですよ、ということが詳細に書かれています。
「北欧諸国の投票率は80%以上」
「日本の医療の受診のし易さは世界随一。こんな国は他にない。スウェーデンは待機医療が大きな社会問題になっていた。診察のためだけだけに待機している人が常時25万人いる」
見落としがちなところですが人口減少というよりも一人暮らしの世帯が増えるということそのものが社会保障費の増大を招くという
「一人暮らしの人が増えるという事はコストのかかる人が増えることを意味する」
指摘はなるほどと納得しました。
「世界で唯一日本人だけが貯蓄を増やし続ける」
という面白い指摘もありますがその原因を将来への不安という漠然としたものに求めているところはピントがずれているように感じました。
更にはそのピントのずれは社会を支えるためには女性の活躍が必須であるということを熱弁しているところ。
「女性が働くための行政サービスが必要」
というかなり時代遅れの事を言っています。
もう「働いてお金を動かす」という概念そのものに寄生している限りこの問題は解決できない問題に感じます。
働きたくなんかない、という女性のほうがよほど多いこと(仕事は好きだが男性的な働き方では働きたくない)を国をつかさどる人間が理解していないことに驚きます。つまり「女性が活躍できる社会を」と叫んでいる人たちが一番女性の心情を理解していない推進をしようとしていることに気がつかないといけないと本書を読んで確信しました。
全体的な大枠を掴むにはとても良書なんですが各論に落とし込もうとするとちょっと現実とずれを感じることが多い本でした。
「日本がつぶれない限り公的年金制度は絶対に潰れません」
ここを理解していない人がかなり多いのでこれを前提に読み進める必要がありますね。
「国民から直接お金をとっているのは財務省と厚労省だけ」
「社会保障は自助を共同する仕組み」
「社会保障以外のすべてのサービスを合計しても社会保障給付のほうが大きい」
という部分が基本の基本になるということをしっかり頁を割いて伝えてくれています。
よく引き合いに出される北欧の社会保障システムですが実際そんな甘いものじゃないですよ、ということが詳細に書かれています。
「北欧諸国の投票率は80%以上」
「日本の医療の受診のし易さは世界随一。こんな国は他にない。スウェーデンは待機医療が大きな社会問題になっていた。診察のためだけだけに待機している人が常時25万人いる」
見落としがちなところですが人口減少というよりも一人暮らしの世帯が増えるということそのものが社会保障費の増大を招くという
「一人暮らしの人が増えるという事はコストのかかる人が増えることを意味する」
指摘はなるほどと納得しました。
「世界で唯一日本人だけが貯蓄を増やし続ける」
という面白い指摘もありますがその原因を将来への不安という漠然としたものに求めているところはピントがずれているように感じました。
更にはそのピントのずれは社会を支えるためには女性の活躍が必須であるということを熱弁しているところ。
「女性が働くための行政サービスが必要」
というかなり時代遅れの事を言っています。
もう「働いてお金を動かす」という概念そのものに寄生している限りこの問題は解決できない問題に感じます。
働きたくなんかない、という女性のほうがよほど多いこと(仕事は好きだが男性的な働き方では働きたくない)を国をつかさどる人間が理解していないことに驚きます。つまり「女性が活躍できる社会を」と叫んでいる人たちが一番女性の心情を理解していない推進をしようとしていることに気がつかないといけないと本書を読んで確信しました。
全体的な大枠を掴むにはとても良書なんですが各論に落とし込もうとするとちょっと現実とずれを感じることが多い本でした。
2018年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は、かつて社会保障分野を担当した厚生労働省の元官僚。本書は、社会保障の全体像や経済・政治との関わりについてを平易に解説した、一般向けの入門書である。日本の社会保障誕生の背景と歴史、基本哲学など、制度の基本についてを解説した第Ⅰ部、社会・経済・財政というマクロの視点から社会保障を見ることにより、日本社会が直面している課題とその解決に向けての道筋を考えた第Ⅱ部、そして日本再生に向けた社会保障の役割、改革の方向性を述べた第Ⅲ部から構成される。
課題解決や改革の方向性、最後の著者の「提言」などは、様々な方面から指摘されている内容で特に目新しさはない。受給開始年齢の調整、受給者の所得や資産に応じた負担へのシフトなど、やるべきことは決まっていて、要は実行力ということなのだろう。
本書は全体的に、データを豊富に引用し、社会保障の一般知識を解説しながら、高齢化を中心とした日本社会の問題点を幅広に論じた内容となっている。格差の拡大が世界的に広がる中、日本は早くから国民皆保険・皆年金制度をつくることができたため、極端な所得格差を生じさせることなく経済の成長を社会全体で享受することができたとの著者の指摘は、納得するものがあった。
課題解決や改革の方向性、最後の著者の「提言」などは、様々な方面から指摘されている内容で特に目新しさはない。受給開始年齢の調整、受給者の所得や資産に応じた負担へのシフトなど、やるべきことは決まっていて、要は実行力ということなのだろう。
本書は全体的に、データを豊富に引用し、社会保障の一般知識を解説しながら、高齢化を中心とした日本社会の問題点を幅広に論じた内容となっている。格差の拡大が世界的に広がる中、日本は早くから国民皆保険・皆年金制度をつくることができたため、極端な所得格差を生じさせることなく経済の成長を社会全体で享受することができたとの著者の指摘は、納得するものがあった。
2019年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近まで現役厚生労働官僚を局長まで務め、現在在外公館で大使を務める著者が、社会保障(社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生・医療保健)全般について平易に、網羅的に解説した本。わが国では現在これらの社会保障の給付額の合計が100兆円を超えているが、国民の関心は自分の受益分野と負担金額に限られているのが現状であろう。私もかつて文部官僚を目指して東大を受験したのだが、2回も落ちたので日和って医師の道に転じ今に至っている。この本を読んで官僚の頭の良さと国家を思う切実な気持ちを改めて感じた。国民必読の書。