本書のキーワードは「能力」「資質」「態度」「垂直的序列化(メリトクラシー)」「水平的画一化」「水平的多様化」「ハイパー教化」以上の言葉をしっかり頭に叩き込んでから本書を読んでほしい。
何故日本社会は息苦しく、生き辛いのか?その原因について、戦前・戦後の日本の教育言説を分析しながら解き明かし、最終的には問題だらけの日本の社会構造からどのように脱却するかを考察するのが本書の主眼である。
ただ、著者もあとがきで認めているように、一般書・新書1冊にテーマを盛り込み過ぎたため、中途半端な結果に終わっているように感じられた。逆に、データや引用を多くしたのは、個人的には好印象。特に第1章において、日本と諸外国との格差・相違がはっきりと分かる図やグラフは、読者へのつかみとしては最高だと思う。以下は余談だが、「社会や国に対する意識調査」で、日本人は全ての項目でぶっちぎり最下位なのには、呆れを通り越して笑ってしまった。日本人は夢も希望も情熱も持っていないのか。そう言えば、日本人は外国人からはロボットみたいだと思われているらしいが、むしろメダカの方が近いのではないか。日本人=メダカ民族。
著者の意欲作、手に取ってみるぐらいの価値はある。
この商品をお持ちですか?
マーケットプレイスに出品する
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
教育は何を評価してきたのか (岩波新書) 新書 – 2020/3/21
購入を強化する
なぜ日本はこんなにも息苦しいのか。その原因は教育をめぐる磁場にあった。教育が私たちに求めてきたのは、学歴なのか、「生きる力」なのか、それとも「人間力」なのか――能力・資質・態度という言葉に注目し、戦前から現在までの日本の教育言説を分析することで、格差と不安に満ちた社会構造から脱却する道筋を示す。
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2020/3/21
- 寸法10.7 x 1.2 x 17.3 cm
- ISBN-104004318297
- ISBN-13978-4004318293
よく一緒に購入されている商品
この商品を見た後に買っているのは?
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ日本社会はこんなにも息苦しいのか。その原因は教育をめぐる磁場にあった。教育が私たちに求めてきたのは、学歴なのか、「生きる力」なのか、それとも「人間力」なのか―能力・資質・態度という言葉に注目し、戦前から現在までの日本の教育言説を分析することで、格差と不安に満ちた社会構造から脱却する道筋を示す。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
本田/由紀
1964年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。日本労働研究機構研究員、東京大学社会科学研究所助教授を経て、東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1964年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。日本労働研究機構研究員、東京大学社会科学研究所助教授を経て、東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1分以内にKindleで 教育は何を評価してきたのか (岩波新書) をお読みいただけます。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.1
星5つ中の4.1
146 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
「日本の教育と社会の問題や異常さについて、書いたり話したりする経験を積み重ねるうちに、その根底にあるのは『言葉』ではないかという考えに行き着いた(p.251)」という著者が、日本の教育における「垂直的序列化」と「水平的画一化」のあり方を、それぞれ「能力」「能力主義」、「資質」「態度」という言葉の用いられ方に基づいて批判する。
上記の言葉が、明治以降どのように使われてきたかに関する言説分析(というのか?)である第3章~第6章は緻密だが、終章「出口を探す」は大胆というか乱暴というか。
例えば終章で著者は、「日本社会が直面している重大な課題として、①少子高齢化と人口減少、②経済と技術の低迷、③格差と貧困、③社会保障の不備と財政赤字、④女性の社会進出の不振、⑤マイノリティ……への差別の強さ……という……点が挙げられる。これらの課題に対処するために……重要なのは、様々な異質な他者を尊重し、新しい発想や挑戦を受け入れ称賛するような柔軟性である(pp.208-209)」とする。
この文章ひとつをとっても
1 日本社会が直面している重大な課題はまさにこの6つ(本書には「五つ」とあるが)なのか?
2 これらの課題に対処するために最も重要なことは「柔軟性」なのか? 「柔軟性」があれば課題に対処できるのか?
3 日本の教育がこの「柔軟性」を育てられなかったということは、例えば他国と比して実証できるのか?
4 著者の提唱する教育改革で、「柔軟性」は育てられるのか?
5 「柔軟性」とはそもそもどのような概念なのか? 能力なのか? 資質なのか? 態度なのか? それはどのように計測できるのか?
等の疑問が浮かんでくる。
おそらくは、第3章~第6章をメインに据えたために他の章が大幅に端折られてしまったのだろう。それは「引用・参考文献」にある他書を読めということなのだろうか。
上記の言葉が、明治以降どのように使われてきたかに関する言説分析(というのか?)である第3章~第6章は緻密だが、終章「出口を探す」は大胆というか乱暴というか。
例えば終章で著者は、「日本社会が直面している重大な課題として、①少子高齢化と人口減少、②経済と技術の低迷、③格差と貧困、③社会保障の不備と財政赤字、④女性の社会進出の不振、⑤マイノリティ……への差別の強さ……という……点が挙げられる。これらの課題に対処するために……重要なのは、様々な異質な他者を尊重し、新しい発想や挑戦を受け入れ称賛するような柔軟性である(pp.208-209)」とする。
この文章ひとつをとっても
1 日本社会が直面している重大な課題はまさにこの6つ(本書には「五つ」とあるが)なのか?
2 これらの課題に対処するために最も重要なことは「柔軟性」なのか? 「柔軟性」があれば課題に対処できるのか?
3 日本の教育がこの「柔軟性」を育てられなかったということは、例えば他国と比して実証できるのか?
4 著者の提唱する教育改革で、「柔軟性」は育てられるのか?
5 「柔軟性」とはそもそもどのような概念なのか? 能力なのか? 資質なのか? 態度なのか? それはどのように計測できるのか?
等の疑問が浮かんでくる。
おそらくは、第3章~第6章をメインに据えたために他の章が大幅に端折られてしまったのだろう。それは「引用・参考文献」にある他書を読めということなのだろうか。
2020年7月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
職員育成や教育・研修、人事に関わる議論の際に必ず「評価」や「アウトカム」という言葉が飛び交うが、果たして僕らは明確な言葉の定義をして内容を吟味してきただろうか?その人の何を評価してきたのだろうか?あるいは自分自身はどのように評価されているだろうか?本書がその解答を明示してくれているとまでは言えないが、筆者[東大大学院教育学研究科教授(教育社会学)]は多数の学力調査や意識調査のデータを駆使して、「能力」「資質」「態度」という最も普及され支配的に使われている“三つの言葉”が日本人をがんじがらめにしているのではないかと問題提起している。
「能力(主義)」が、日本では〈垂直的序列化〉という目的のために教育に持ち込まれ、しかも特に最近では「能力」の含意として「学力」のみならず「人間力」「生きる力」までもが個人の「能力」として評価基準にされ格差を拡大している。加えて「資質」「態度」は、〈水平的画一化〉のために今日では道徳が特別の教科として地中から蘇ったように、教化という強制力をもって格差を許さず均一に強要される。
日本は国際的に比較して著しく高い読解力などの一般的スキルがあるが、にもかかわらず他国とは異なりその高いスキルが一切結果に結びついていない。GDPにもジニ係数にも、賃金にも相関しないという「異常な」日本が各種データから浮き彫りにされる。ここから、日本の教育は一体何を評価し、何のために行われているのかという疑問が更に強烈に強まる。
『自分には未来がないような気がする』という、日本という「特異な国」の中学生の調査結果は、未来を共に切り拓く事を模索する僕たちの存在理由を声なき声で叱咤激励しているようでもある。
「能力(主義)」が、日本では〈垂直的序列化〉という目的のために教育に持ち込まれ、しかも特に最近では「能力」の含意として「学力」のみならず「人間力」「生きる力」までもが個人の「能力」として評価基準にされ格差を拡大している。加えて「資質」「態度」は、〈水平的画一化〉のために今日では道徳が特別の教科として地中から蘇ったように、教化という強制力をもって格差を許さず均一に強要される。
日本は国際的に比較して著しく高い読解力などの一般的スキルがあるが、にもかかわらず他国とは異なりその高いスキルが一切結果に結びついていない。GDPにもジニ係数にも、賃金にも相関しないという「異常な」日本が各種データから浮き彫りにされる。ここから、日本の教育は一体何を評価し、何のために行われているのかという疑問が更に強烈に強まる。
『自分には未来がないような気がする』という、日本という「特異な国」の中学生の調査結果は、未来を共に切り拓く事を模索する僕たちの存在理由を声なき声で叱咤激励しているようでもある。
2021年5月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始めるまで、能力や態度などの言葉が私たちを縛り付けていることに気づけていなかった。この視点から切り込むことで、高校普通科の問題からキャリア教育のおかしさまで全てが一定程度説明できる。もちろんそれを解決する手立ては十分に記載されているわけではないが、自分自身が取り組んでいる文化への参画の考え方がその具体的施策としてつながっていることがわかる。
誰かの言う通りに従うことしかできず。自分で考えられない大人がこの本を手に取ることはないのかもしれないが、ただの反論ではなくて、オルタナティブを示すことはできるはずだ。水平的多様性(おそらくダイバシティ)を、能力、資質、態度に代わる言葉で実現したい。
誰かの言う通りに従うことしかできず。自分で考えられない大人がこの本を手に取ることはないのかもしれないが、ただの反論ではなくて、オルタナティブを示すことはできるはずだ。水平的多様性(おそらくダイバシティ)を、能力、資質、態度に代わる言葉で実現したい。
殿堂入りベスト50レビュアー
今回も著者の指摘には脱帽だ。
①著者の問題提起は「国際成人力調査」と「国際学習到達度調査」の結果から、「読解力」など学力が世界トップ水準にありながら、仕事でより高い能力発揮を望まず、現状に満足し、スキルアップが出来ないと思い込む日本社会のビジネスパーソンを指摘し、科学教育を意欲的に学ばす、社会に生かそうとしない若者の現状を取り上げ、その根本原因として日本社会の「垂直的多方向性」と「水平的多様性」の欠如を指摘する。
②国際的学習到達度調査結果からは、高い学力(読解力・論理的思考力)を有しながら、主体的に学んでいない若者像が浮上する。教師から学習者への一方向的な知識の注入が依然として学習形態の中心となり、学習者が自ら考え、主体的・意欲的・積極的に学習に取り組む姿勢(態度)が育成されない中等・高等教育の現状が、主体性と学習意欲に乏しい若者を生み出している。
③このような主体性と意欲に乏しい若者がビジネスパーソンとして入社しても、上司からの指示待ち人間になるだけであり、高度な学力を積極的に活用しようと試みることもなく、研修に積極的に参加し、スキルアップを図ることもない。
④学歴社会を肯定し、現状に満足する若きビジネスパーソンは、そもそもスキルアップを図る動機がないのである。これが欧米の先進国の若き、たちは、現状に不満を持ち、スキルアップが必要であると考え、意欲的に取り組む動機がある。自分の能力が周囲から高く、評価され、それに見合う少しでも高い収入を得たいと切に願うのだ。
⑤日本の若いビジネスパーソンは現状に満足しているので、日本がかなりの格差社会になっていることを実感せず、向上心を持たないのである。
⑥新学習指導要領が布告され、「主体的・大敵きで深い学び」(アクティブラーニング)が実施されることによって、どこまで改善出来るのか、今後の教育界の動向が注目される。教師と学習者の両者が変わらなければ、二つの国際調査の結果は変わらないであろう。日本社会の活力の低下は高齢化社会によるものではない。学校と社会の教育の質の低下によるのである。
今後の教育のあり方を考える上で、本書は必読の文献である。
お勧めの一冊だ。
①著者の問題提起は「国際成人力調査」と「国際学習到達度調査」の結果から、「読解力」など学力が世界トップ水準にありながら、仕事でより高い能力発揮を望まず、現状に満足し、スキルアップが出来ないと思い込む日本社会のビジネスパーソンを指摘し、科学教育を意欲的に学ばす、社会に生かそうとしない若者の現状を取り上げ、その根本原因として日本社会の「垂直的多方向性」と「水平的多様性」の欠如を指摘する。
②国際的学習到達度調査結果からは、高い学力(読解力・論理的思考力)を有しながら、主体的に学んでいない若者像が浮上する。教師から学習者への一方向的な知識の注入が依然として学習形態の中心となり、学習者が自ら考え、主体的・意欲的・積極的に学習に取り組む姿勢(態度)が育成されない中等・高等教育の現状が、主体性と学習意欲に乏しい若者を生み出している。
③このような主体性と意欲に乏しい若者がビジネスパーソンとして入社しても、上司からの指示待ち人間になるだけであり、高度な学力を積極的に活用しようと試みることもなく、研修に積極的に参加し、スキルアップを図ることもない。
④学歴社会を肯定し、現状に満足する若きビジネスパーソンは、そもそもスキルアップを図る動機がないのである。これが欧米の先進国の若き、たちは、現状に不満を持ち、スキルアップが必要であると考え、意欲的に取り組む動機がある。自分の能力が周囲から高く、評価され、それに見合う少しでも高い収入を得たいと切に願うのだ。
⑤日本の若いビジネスパーソンは現状に満足しているので、日本がかなりの格差社会になっていることを実感せず、向上心を持たないのである。
⑥新学習指導要領が布告され、「主体的・大敵きで深い学び」(アクティブラーニング)が実施されることによって、どこまで改善出来るのか、今後の教育界の動向が注目される。教師と学習者の両者が変わらなければ、二つの国際調査の結果は変わらないであろう。日本社会の活力の低下は高齢化社会によるものではない。学校と社会の教育の質の低下によるのである。
今後の教育のあり方を考える上で、本書は必読の文献である。
お勧めの一冊だ。






