「友・敵理論」について述べた骨太の本であり、論理的に書かれている。ここで政治とは単に党派的な駆け引きや勢力争いではなく、究極的に相手の存在を否定するような対立関係をいう。この次元での敵とは論敵や競争相手ではなく実存的な敵であり殺戮や戦争にもつながるわけである。この政治という対立項は道徳や経済などとは独立に存在するという。そして、主権は交戦権と深く結びつけられ、国家の存在の根本をそこに見出している。
もし永遠平和が実現したら著者の言う政治の存在しない世界だが、現実的でないとはいうものの「友ー敵」の対立関係の消滅が不可能と論証しているわけではなく、アプリオリなものとされているようだ。自由主義的思考への批判も「友ー敵」が厳然として在るのに楽観的に過ぎるといってるわけで、「友・敵理論」自体は演繹的にも帰納的にも論証されてはおらず、むしろ概念を提案する著作と考える。
そこでこれを受け入れるかどうかは読者次第というわけだが、昨今のテローテロとの戦いの状況をみるに、本質をついた理論と思える。ただし、経済的動機や(シュミットではなく一般的に言う)政治的思惑ではなく真に実存的な敵ならばである。もしそうでなければ、相変わらずの権力闘争の理屈付けの理論になってしまうわけである。また、日本の戦後民主主義のナイーブさと昨今の右傾化の不気味さ、この視点からも読む価値が高い。
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