著者の杉原氏は、朝日新聞の、家族・教育分野担当の専門記者である。本書は全五章より構成されているが、表題の『掃除で心が磨けるのか』どうかという問題は、第一章で詳述されている。
学校の掃除をさせる、日常生活上での礼儀を教え込む、これから親になる子ども達に、親になる心得を教える、など、これらは一見正しい教育方法に見える。しかし、これらの教育方法の背後には、ほぼ例外なく「日本会議」の姿があると、本書で明かされている。「日本会議」は教育基本法の改正、道徳の教科化、右派の主張てんこ盛りの教科書採択などを推し進めているが、これらの目的は未来を背負うべき子ども達を国に従順にし、歯向かわないようにし、なおかつ日本が戦争をする事に抵抗を感じさせないようにする為だ。実際、現代の子ども達は昔と比べて確実に従順になってきており、高校生の意識調査では「国の為にやりたい事が制限されても構わない」に「賛成」と答えたのが八・七%、「日本の文化・伝統は他国よりも優れている」は五十五・七%と、十年前よりも倍増している。また、「太平洋戦争の件で日本は謝罪すべきだ」は十年前より二十四%も減っており、明らかに子ども達が保守化・右傾化している事が分かる。
本書で描かれる保守派・右派の行動は巧妙かつ執拗なものである。その例を二、三挙げてみる。
・自民党の家庭教育支援法案には、元々「家庭教育の自主性を尊重」という文言があったが、後でこっそり削除されている。
・大阪市にて歴史教科書採択が行われる際、市民にアンケート調査があったが、保守派・右派の教科書である育鵬社の教科書を採択させる為に、大手企業が組織的不正に関与した。(それでも、育鵬社の教科書の採択率は低かった)
あとがきで、著者は、本書の内容は「こじつけ、考えすぎではないか」と思われるかもしれない、と述べているが、全くそんな事はないと思う。確かに検証が足りないと思えるような箇所もあったが、要点はしっかり押さえているし、的外れな主張はなかった。
未来を背負う子ども達を、自分達に都合の良いように洗脳する事は、一番やってはいけない事だと思う。子どもを持つ親一人一人が、この状況を注意深く観察していかなければならない。
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掃除で心は磨けるのか (筑摩選書) 単行本(ソフトカバー) – 2019/3/13
杉原 里美
(著)
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● なにか、おかしい
体操服の下に肌着を着てはいけない、生まれつき茶髪でも黒に染めろといった、
不合理な校則の数々。「素手トイレ掃除」、結論ありきの「道徳」教科書、
偽史「江戸しぐさ」にならった「○○しぐさ」の流行、
上から目線の「親教育」、くたびれ果てた教師たち……。
一体、何が起きているのか?
子どもの教育に関心をもつすべての人に向けた、緊急レポート!
◎話題となった朝日新聞連載「「教育再生」をたどって」に、新たな取材成果を追加
〔目 次〕
第一章 心を磨く学校?
トイレ掃除で心を磨く/広がる「無言清掃」/「スタンダード」の流行/子どもにも自己評価/
肌着も禁止/不合理な校則にも従順な子供たち etc.
第二章 道徳の教科化
価値観の押し付け?/教師の力量で差/結論ありきの道徳教科書/教育勅語を道徳へ/
教科書採択をめぐる攻防 etc.
〔記者の視点〕「ファシズムの体験学習」に参加して
第三章 家庭と地域への介入
学生が学ぶ「親学」/家庭の教育力が低下?/TOSSの指導理念/宗教性を帯びた授業?/
全国に広がる「弁当の日」/行政任せで大丈夫? etc.
第四章 教科書を統制する
歴史教科書のアンケート/大胆で大がかりな「採択運動」/保守系の首長らと「日本教育再生機構」/
「歴史戦」へ注力/「従軍慰安婦」に触れた教科書への攻撃/資金面も後押しetc.
第五章 国のための子ども、経済のための子ども
家庭科で生き方誘導?/敵視された「性交人形」/経済界のニーズに応える教育?/
疲弊する教育現場/教員は労働者ではない?/家庭の教育力は低下していない/
声を上げはじめた親たち etc.
〔著者紹介〕
杉原 里美(すぎはら・さとみ)
1969年、長崎県生まれ。92年に朝日新聞社に入社。熊本支局、福岡本部報道センター社会部、東京本社くらし編集部、社会部・教育班などを経て、2018年4月から、朝日新聞専門記者(家族、教育分野などを担当)。家族をめぐる法律や社会保障、家計などを取材。『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)で教育分野を執筆。
体操服の下に肌着を着てはいけない、生まれつき茶髪でも黒に染めろといった、
不合理な校則の数々。「素手トイレ掃除」、結論ありきの「道徳」教科書、
偽史「江戸しぐさ」にならった「○○しぐさ」の流行、
上から目線の「親教育」、くたびれ果てた教師たち……。
一体、何が起きているのか?
子どもの教育に関心をもつすべての人に向けた、緊急レポート!
◎話題となった朝日新聞連載「「教育再生」をたどって」に、新たな取材成果を追加
〔目 次〕
第一章 心を磨く学校?
トイレ掃除で心を磨く/広がる「無言清掃」/「スタンダード」の流行/子どもにも自己評価/
肌着も禁止/不合理な校則にも従順な子供たち etc.
第二章 道徳の教科化
価値観の押し付け?/教師の力量で差/結論ありきの道徳教科書/教育勅語を道徳へ/
教科書採択をめぐる攻防 etc.
〔記者の視点〕「ファシズムの体験学習」に参加して
第三章 家庭と地域への介入
学生が学ぶ「親学」/家庭の教育力が低下?/TOSSの指導理念/宗教性を帯びた授業?/
全国に広がる「弁当の日」/行政任せで大丈夫? etc.
第四章 教科書を統制する
歴史教科書のアンケート/大胆で大がかりな「採択運動」/保守系の首長らと「日本教育再生機構」/
「歴史戦」へ注力/「従軍慰安婦」に触れた教科書への攻撃/資金面も後押しetc.
第五章 国のための子ども、経済のための子ども
家庭科で生き方誘導?/敵視された「性交人形」/経済界のニーズに応える教育?/
疲弊する教育現場/教員は労働者ではない?/家庭の教育力は低下していない/
声を上げはじめた親たち etc.
〔著者紹介〕
杉原 里美(すぎはら・さとみ)
1969年、長崎県生まれ。92年に朝日新聞社に入社。熊本支局、福岡本部報道センター社会部、東京本社くらし編集部、社会部・教育班などを経て、2018年4月から、朝日新聞専門記者(家族、教育分野などを担当)。家族をめぐる法律や社会保障、家計などを取材。『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)で教育分野を執筆。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2019/3/13
- ISBN-104480016805
- ISBN-13978-4480016805
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
いま、学校現場では奇妙なことが起きている。体操服の下に肌着を着てはいけない、生まれつきの茶髪でも黒に染めろといった、不合理な校則の数々。客観性に疑問符がつく「道徳」教科の成績評価。偽史「江戸しぐさ」にならった「○○しぐさ」の流行。掃除やマナー、挨拶など「心を磨く」活動が重視され、教え方の「マニュアル化」が進む。こうした動きを、第一線の記者が各地へ足を運び、多角的に取材。いま、教育現場で起きている「奇妙なこと」の全体像を浮かび上がらせる。子どもの教育に関心を持つすべての人に向けた緊急レポート!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
杉原/里美
1969年、長崎県生まれ。92年に朝日新聞社に入社。熊本支局、福岡本部報道センター社会部、東京本社くらし編集部、社会部・教育班などを経て、2018年4月から、朝日新聞専門記者(家族、教育分野などを担当)。家族をめぐる法律や社会保障、家計などを取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1969年、長崎県生まれ。92年に朝日新聞社に入社。熊本支局、福岡本部報道センター社会部、東京本社くらし編集部、社会部・教育班などを経て、2018年4月から、朝日新聞専門記者(家族、教育分野などを担当)。家族をめぐる法律や社会保障、家計などを取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2019/3/13)
- 発売日 : 2019/3/13
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 208ページ
- ISBN-10 : 4480016805
- ISBN-13 : 978-4480016805
- Amazon 売れ筋ランキング: - 398,732位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 902位学校教育一般関連書籍
- - 15,718位教育学一般関連書籍
- - 39,923位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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2019年3月15日に日本でレビュー済み
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101人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書では「それ、教育的にどんな意味があるの?」と疑問を抱きたくなるような活動が豊富に記述されている。そしてそれらの多くが復古主義的な家族観(男は働き女は産み育て)やナショナリズム的な思想を持つ右派の団体が普及啓発にかかわっていることをこの本は暴く。
徹底的な取材を通してその事実を明らかにした著者のジャーナリストとしての執念には感服する。本書の画期的な点は、学校で当たり前のように行われている教育活動に疑問を投げかけたこと、そして、日本の教育現場が右傾化するのを危惧したことである。
前半では事実を淡々と記述するという記者らしい姿勢が伺えるが、後半では時おり著者の主観が混ざるため読む際にはやや注意が必要だと感じた(それが★5つにしなかった理由である)。伝統的な教育活動の全てが否定されるべきかどうかは分からない。変えるべきこともたくさんあるが、守るべきこともあるだろう。それが何なのかは自分自身で考えなければいけないように思う。
徹底的な取材を通してその事実を明らかにした著者のジャーナリストとしての執念には感服する。本書の画期的な点は、学校で当たり前のように行われている教育活動に疑問を投げかけたこと、そして、日本の教育現場が右傾化するのを危惧したことである。
前半では事実を淡々と記述するという記者らしい姿勢が伺えるが、後半では時おり著者の主観が混ざるため読む際にはやや注意が必要だと感じた(それが★5つにしなかった理由である)。伝統的な教育活動の全てが否定されるべきかどうかは分からない。変えるべきこともたくさんあるが、守るべきこともあるだろう。それが何なのかは自分自身で考えなければいけないように思う。
2019年6月19日に日本でレビュー済み
1.内容(ただし、本書の内容からズレる、レビュアーの表現もある)
現在の安倍晋三政権だけではなく、いわゆる55年体制成立からほぼ一貫して政権を担っている自由民主党(他党との連立含む。なお、2009年から2012年までは民主党等連立政権だったが、当時の民主党議員にも自由民主党議員と同様の、いわゆる保守的な思想の持ち主がいることを付け加える)やその支持者は、年月をかけて、現在のいわゆる保守的な教育を作り上げたが、それに対して、朝日新聞記者である著者が批判(おおむね否定的)を加えたもの。
2.評価
最初は便所掃除から始まるが、そこから道徳や校則の押し付けへと話が展開する。現在の保守的な教育に一理あるも、本書はそれを朝日新聞らしく(?)リベラルな(行政の押し付けではなく個人を尊重する立場という程度の意味)観点から、的確な批判をしていると思った。不合理な校則、価値観の押し付けになってしまう道徳、弁当の問題点、教科書採択の問題、「一人ひとりの子供の違いを大事にする」よりも人材という「規格品」(ともにp193)を作る傾向、など。朝日新聞が嫌いでも、本書レベルの批判は、個を尊重する観点から一読に値すると思うので、星5つとする。
現在の安倍晋三政権だけではなく、いわゆる55年体制成立からほぼ一貫して政権を担っている自由民主党(他党との連立含む。なお、2009年から2012年までは民主党等連立政権だったが、当時の民主党議員にも自由民主党議員と同様の、いわゆる保守的な思想の持ち主がいることを付け加える)やその支持者は、年月をかけて、現在のいわゆる保守的な教育を作り上げたが、それに対して、朝日新聞記者である著者が批判(おおむね否定的)を加えたもの。
2.評価
最初は便所掃除から始まるが、そこから道徳や校則の押し付けへと話が展開する。現在の保守的な教育に一理あるも、本書はそれを朝日新聞らしく(?)リベラルな(行政の押し付けではなく個人を尊重する立場という程度の意味)観点から、的確な批判をしていると思った。不合理な校則、価値観の押し付けになってしまう道徳、弁当の問題点、教科書採択の問題、「一人ひとりの子供の違いを大事にする」よりも人材という「規格品」(ともにp193)を作る傾向、など。朝日新聞が嫌いでも、本書レベルの批判は、個を尊重する観点から一読に値すると思うので、星5つとする。
2020年3月31日に日本でレビュー済み
これはひどい。
清掃活動について触れたのは第一章の約10Pほど。その効果検証がどうなのかも、詳しく記述されることなく
「具体的な効果検証はされてない」と触れて終わり。
その後、学校と道徳、教育と道徳といった、おそらく本書が問いかけたかったテーマのみが語られる。
副題の「いま、学校で起きている奇妙なこと」の方だ。もちろん、このテーマ自体には議論の価値はあると思うが、
それならそう打ち出せばいい。
ビジネスや教育で清掃が取り入れる現場があるなかで、どこまで効果があってどう改善する、撤廃するなど真面目に考えたい読者もいるはず。
私にとってはこのタイトルは詐欺的な「釣り行為」に近い。残念だ。
清掃活動について触れたのは第一章の約10Pほど。その効果検証がどうなのかも、詳しく記述されることなく
「具体的な効果検証はされてない」と触れて終わり。
その後、学校と道徳、教育と道徳といった、おそらく本書が問いかけたかったテーマのみが語られる。
副題の「いま、学校で起きている奇妙なこと」の方だ。もちろん、このテーマ自体には議論の価値はあると思うが、
それならそう打ち出せばいい。
ビジネスや教育で清掃が取り入れる現場があるなかで、どこまで効果があってどう改善する、撤廃するなど真面目に考えたい読者もいるはず。
私にとってはこのタイトルは詐欺的な「釣り行為」に近い。残念だ。
ベスト1000レビュアー
教育現場におけるスタンダード化、統制の事例と賛否両派の意見をあげて現在の傾向を描き出し是非を問う内容です。
結びの「子どもは何かになるために生まれてきたわけではない」という言葉が著者の主張だと思います。
家庭が、学校が、国が、と他に原因を求めるのではなく「将来〇〇な人間となるために」というのが教育の目的なのか、大人一人ひとりがきちんと考え、子供の「今」のために大人ができる最良の選択肢を模索する必要を痛感しました。
著者の思いは伝わってきますが、各章で取り上げられる事例の関連性が把握しがたく、全体としての構造が見えずらい難点があると感じました。
結びの「子どもは何かになるために生まれてきたわけではない」という言葉が著者の主張だと思います。
家庭が、学校が、国が、と他に原因を求めるのではなく「将来〇〇な人間となるために」というのが教育の目的なのか、大人一人ひとりがきちんと考え、子供の「今」のために大人ができる最良の選択肢を模索する必要を痛感しました。
著者の思いは伝わってきますが、各章で取り上げられる事例の関連性が把握しがたく、全体としての構造が見えずらい難点があると感じました。


