拉致が国民に知られるようになった1990年代、
なぜ政府は犯罪国家の北朝鮮にコメ支援をするのだろう、
なぜ世界各国に訴えて経済制裁をしないのだろうと、
私は疑問でした。
その理由が、特に第三部「コメ支援の虚しさ ー政治家・官僚・マスコミは
何をしたのか」を読んでよくわかりました。
保守党である自民党の議員の中にも、間違った歴史認識(GHQ史観)を持つ議員が
何人もいたのです。官僚の中にも。マスコミも。
彼らは拉致という現在進行形の犯罪より、過去の日本の「侵略」という罪に
重きを置いているのです。だから囚われた同胞の救出より、
日朝国交正常化交渉を優先させようとしたのです。
ある大物議員は
「……(北朝鮮とは)従軍慰安婦や植民地、強制連行があった。
近くて近い国にしたい。日本はコメが余っているのに隣人を助ける
ことができないのは恥ずかしい。壁を破ってでも食糧援助をすべきだ……」と語り、
2000年に10万トンのコメ支援を決定。
家族会の座り込みの抗議にも、自民党本部裏口から逃げ出し
「日本国内で一生懸命吠えていても横田めぐみさんは帰ってこない」と講演したという。
外務大臣は、座り込みの家族らに
「……我が国には軍事力があるわけではない。……世界食糧計画という
国際機関を通じてコメを送り、北朝鮮に話し合いのテーブルについて
もらって……こちらが最大限の誠意を示して、先方にも最大限の
誠意を示すことを求める」と語ったというのです。
ぼんやりニュースを見ていた自分が馬鹿でした。敵は日本にもいたのです。
しかしその後、当初から拉致問題に取り組んでいた安倍晋三さんが官房副長官となり、
首相になったことで政府の姿勢は変わりました。
安倍さん頑張って!パラリンピック後が正念場ですね。
私も自分にできることをしたいと思い、寄付や下手くそですがレビューしました。
西岡力さんのように、すぐれた知識人が闘ってくださることを
とても心強く思っています。
なお本書には、なかなか日本では報道されない韓国の拉致問題事情も書かれています。
国会での質疑応答などの巻末資料も興味深いです。
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