本書は「基本のキ」のように問題形式で記述されるのではなく、各手筋の紹介→典型棋譜→実戦譜という順で説明がなされている。一応、巻末に練習問題が付録されているが、あくまで付録であり、メインではない。従って「インプット→アウトプット(補完)」の構成となっており、問題形式の「アウトプット→インプット」型ではないので、個人の好みが別れるところである。私はインプット先行の方が合うので、「基本のキ」ではなく、こちらを購入した。
内容についてる述べると
1.大きく「攻め」、「受け」、「終盤」に分けて各手筋を紹介している。さらに、各手筋ごとに「基本」「応用」「上級」という分け方をしているから、例えば「自分は超初心者だから各手筋の基本を一周する。そして2周めは、応用を一周する」といような使い方ができるのである。従って、自分の目的、レベルに合わせて引くことができ、とても使い勝手がよいと感じた。
2.記述は見開き2ページに1つ、となっている。記述量も短く、かつ的確であるため、初心者でもスラスラ読める内容となっている。ただし、「事典」というには分量が不足しているのは否めない。もう100ページほどあってもいいように思う。従って手筋の「基本書」「教科書」くらいのネーミングがちょうどよく、購入を考えている方もその程度のイメージでもってほしい。
3.各局面ごとに「○○という手も考えられるがこれだと……となって、不利になる。ここでの好手は●●である」というような記述が書かれている。紙幅の関係上、不利になる局面図は載せていないが、自分で棋譜並べをすれば済むものであるため、特に不満はない。むしろ、ここを面倒くさがってては、一生上達しない。
手筋は「田楽刺し」や「両取りの桂」などは直感的にわかるが、端攻めや3手1組で考るものは知らなければ指すことはできない。しかし、その局面においてはとても重要な1手なのであり、それを知っているだけで優位にたてるのだから勉強の必要性は高い。これらは級位者のうちに習得すべきである。序盤は定跡で対処できるが、中盤から終盤では手筋の必要性は大きいため、5級程度に達したら、ぜひ本書を手にとって手筋の勉強をしてほしいと思う。
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