本編の文量や559人の登場人物という喧伝などから敬遠されがちですが、ピエール、アンドレイ・ボルコンスキー、ニコライ・ロストフ、この三人の周囲の人間関係を把握していれば迷子になることはないかと思います。
四冊ある新潮文庫版の中で私が一番好きなのは、クトゥーゾフやアンドレイ公爵を通して作者の戦争観が語られる三巻です。ここまで読み進めれば、先が気になってページをめくる手が止まることはないかと思います。
また四巻のエピローグで語られるトルストイの歴史の捉え方にもいたく感銘を受けました(カラマーゾフの兄弟の「大審問官」を読んだ時のように、理解しながら読み進めるのは骨が折れましたが)。
総じて、広大なスケールの世界を圧倒的力量でまとめた、ドストエフスキーと肩を並べるにふさわしい文豪の傑作です。
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