最近話題の成人発達理論。
スキルを伸ばしたい人は多いけど、
「じゃあスキルってどう伸びるの?」と聞かれると「むむむ」となる。そんな成長のメカニズムに答える本。
欧米では浸透しているけど、日本はまだまだらしい。こういったそもそも論を教師から習った記憶はないんだけど、教育の現場に根深く残る感覚と踏襲は卒業してほしい。再現性のない支援は、効果薄で、ときに害悪ともなるので。
著者は例えがうまくわかりやすい。
なので300ページが風呂場で読み終わった(超長風呂)。スマホを例にとると、OSが人の器で、アプリがスキルと表せる。大体スキル開発に焦点が当てられるけど、OSバージョンアップはわりとほったらかし。理解が及ばない景色をみるには、高いところに少しずつ引っ越ししていかないといけない。具体的なOSの特徴は別の本のほうが詳しい。「行動探求」って本がオススメ。
やりがちなミスをいくつかピックアップ
・変動性の無視(相手を付けずに受け身を反復練習しているようなもの)
・生態学的妥当性の無視(トレーニングと実践の乖離)
・環境/課題の違いの無視と漠然とした能力開発(一人ひとり状況は異なり、具体的なサブ能力に集中した鍛錬が重要)
・人はすぐに成長すると思う(実際はゆっくり)
・言語化の圧倒的欠落(言語化できないから翻弄され、血肉化されない)
→まそうだよね。でもハマってしまう魔力がある。
自身の血肉にするための持論への昇華と、
情報の消費者でなく、情報の生産者の側面を持つ必要性は耳が痛い。
やっぱり正しい検証をしていない持論は科学理論より劣っていると思うけど、実務面でのこのバランスは難しい。イチローの「自分がなぜ打てたのか全て自分の言葉で説明できる」この感覚は素晴らしい。
成長ってのは、支援があってもできない領域から、支援がなくてもできる領域にもっていくこと。
この間には、支援があればできる(かっこよく言うと最近接発達領域)を介する必要がある。
つまり支援者は適切な支援を出し、自分からは支援を求めないといけない。で、can’t doを減らすのではなく、取り組み続けるのが大事だねと。
「やってみよう!」の各ページで指針が示されているのでこれが割りとよい気がする。
そこまで深くはないけど、知識を整理する上で一読の価値はある。やっぱり引用文献からバシバシ研究結果を紹介してる本が好きだな。この本は簡潔にする影響でこれが足らなかったので残念。
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