人類が進化のために節足昆虫と融合した種の世界観の話です。
大型種のタランチュラやカブトムシやスズメバチ等を「ハイクラス」小型種を「ロウクラス」と呼び、
差別している世界観で、能力的に上位種のハイクラスが牛耳っています。
主人公青木翼は、ロウクラスのシジミチョウの性モザイクという雌雄同体の突然変異種です。
相手役の七雲澄也は、タランチュラのハイクラスでとある事情でシジミチョウを嫌っていました。
翼が澄也のTVでの発言に憧れて、星北学園というハイクラスが多い高校に入学してきます。
そこで憧れの七雲澄也が性的にだらしない放埓さがあることがわかるのですが、シジミチョウを
嫌悪している澄也は翼を歯牙にもかけません。ただ二人がひょんなことから結ばれるのですが
それを面白く思わない周囲のハイクラスの人物たちから妨害が入って、すれ違う話です。
この話に登場するカップルの七雲澄也は後に実家の病院を継いで医師になるので、後発作品でも
脇役で登場します。相手の翼も性モザイクという妊娠可能な種であることから、澄也と一緒に登場する
機会が多いです。
その他の登場人物も後発作品の重要な役を務めるキャラが多いです。
例えば澄也の従弟で、翼と澄也の関係を面白く思わないで翼に対して襲いかけた七雲陶也は、のちに
『愛の裁きを受けろ!』という作品で、自分が馬鹿にしていたロウクラスの障害持ちキャラに恋します。
あと、ハイクラスの翼の先輩で軽い感じでしたが生徒会長で寮長のヘラクレスオオカブトの兜は
『愛の罠にはまれ!』という作品で、この作品や『愛の裁きを受けろ!』での好青年ぶりが吹っ飛ぶ
ぐらいの恋愛観のおかしさを自分の恋愛で行動しています。意外性がありました。
あと、翼のルームメイトでハイクラスにしては小柄な央太と、少し女王様キャラでだらしない澄也に喝を入れて
何くれとなく翼の世話をしてくれたマヤマヤこと、ヒメスズメバチの真耶は『愛の星をつかめ!』で
登場しています。央太は本作が小柄な小動物系ですが、後続作品では全く違う成長具合です。
真耶はちなみに兜が恋愛メインの『愛の罠にはまれ!』でも世話焼きな面を見せています。
この話から他の後続作品へと派生していった、言わば始まりの物語です。
物語の展開や内容は、切ないすれ違いの話なのですが、攻めの七雲澄也は結構読み直してみると酷い行動を
していますね。翼を従弟の陶也から興味を引きはがすために、翼と結ばれた後も言い寄ってきた相手と
行為をする展開や、シジミチョウが嫌いという理由も結末付近でわかりますが、酷く子供っぽい理由でした。
後発作品の澄也氏は落ち着いた大人の男で、良き夫であり父なのですが、若かりし頃はやんちゃだったという
ことなのでしょう。少しその点が気になったので、☆4で評価します。
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