冒頭から、「教皇フランシスコがその名にふさわしい質素な生活をしているための弊害ー教皇現住居から出ていかざるを得ないのに、給与削減で新居が見つからない職員の発生ー」や、「教皇は味方には寛容だが、批判派には冷たい」などの批判的な噂、保守すぎて人気が無かった前教皇ベネディクトが、今になって「人格者で博識だった」と再評価されているなど、現地で得た情報を伝え、教皇フランシスコを讃える本ばかりの中、中立的な論評が評価できる。
教皇の半生をわかりやすくまとめており、これを読めば「何で日本や原爆にこだわるのか」、「イエズス会士なのにフランシスコの名を選んだ背景」、「政治的には保守なのに、前教皇と正反対の頭の柔らかさを生んだ背景」などが見えてくる。
長くバチカン付き特派員をしていた経験からか、専門家でもときに混乱するバチカンの組織や、教皇の権限や職域の解説については、下手なカトリック事典以上にまとまっていて驚いた。
聖人ヨハネ・パウロ二世の過ちについて触れているのも良い。どんな宗教でもだが、近年のトップの論評では、人間らしいミスについては記述しても、笑えない過ちはスルーされるものだ。
11月の訪日に向けて並ぶ本は、きっと、教皇を信徒の立場で讃えるものか、評価を避けたフランシスコ語録や半生伝、逆にこの機を狙った教皇とカトリックの批判書ばかりだろう。コンパクトで中立でありつつ論評も行った本書はありがたい。
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悩めるローマ法王 フランシスコの改革 (中公新書ラクレ) 新書 – 2019/10/8
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就任当初は貧者に寄り添う姿勢や、「広報の達人」ともいえるシンプルな言動などでマスコミから高評を得、米フォーブス誌からは「世界で最も偉大な指導者」に選ばれていたフランシスコ。しかしその改革路線、重要な教義変更は、支持層と反対派の亀裂を招き、金銭スキャンダルや性的虐待の問題も起こり、混乱が生じている。
いま、フランススコのバチカンでは何が起きているのか。カトリック教会はどこへ向かおうとしているのか。
著者は長年にわたりバチカンを取材し続け、内部事情にくわしく世俗的な問題や人事抗争なども目の当たりにしてきた。本書は「ミステリー小説で描かれる以上の面白さ」をたたえたフランシスコのバチカンを、登場史から現在までを視野に縦横に捉えていく。
いま、フランススコのバチカンでは何が起きているのか。カトリック教会はどこへ向かおうとしているのか。
著者は長年にわたりバチカンを取材し続け、内部事情にくわしく世俗的な問題や人事抗争なども目の当たりにしてきた。本書は「ミステリー小説で描かれる以上の面白さ」をたたえたフランシスコのバチカンを、登場史から現在までを視野に縦横に捉えていく。
- 本の長さ215ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2019/10/8
- ISBN-104121506693
- ISBN-13978-4121506696
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
就任当初は貧者に寄り添う姿勢などから高評を得、米フォーチュン誌が「世界で最も偉大な指導者」に選んだフランシスコ。しかし、その改革路線が教義を揺るがすレベルに達すると支持層と反対派の亀裂を招き、金銭スキャンダルや性的虐待の問題拡大は混乱を巻き起こしている。フランシスコのもと、カトリック教会はどこへ向かおうとしているのか。バチカンの内部事情に詳しい著者の力作。
著者について
秦野るり子
東京都生まれ。1982年東京外国語大学卒。同年読売新聞社入社。ワシントン特派員、ジャカルタ支局長、ローマ支局長、調査研究本部主任研究員などを経て、2016年より富山国際大学現代社会学部教授。2019年より江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授。著書に『バチカン』。
東京都生まれ。1982年東京外国語大学卒。同年読売新聞社入社。ワシントン特派員、ジャカルタ支局長、ローマ支局長、調査研究本部主任研究員などを経て、2016年より富山国際大学現代社会学部教授。2019年より江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授。著書に『バチカン』。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
秦野/るり子
東京都生まれ。1982年に東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。ワシントン特派員、ジャカルタ支局長、ローマ支局長、調査研究本部主任研究員などを経て、2016年より富山国際大学現代社会学部教授。2019年より江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
東京都生まれ。1982年に東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。ワシントン特派員、ジャカルタ支局長、ローマ支局長、調査研究本部主任研究員などを経て、2016年より富山国際大学現代社会学部教授。2019年より江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2019/10/8)
- 発売日 : 2019/10/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 215ページ
- ISBN-10 : 4121506693
- ISBN-13 : 978-4121506696
- Amazon 売れ筋ランキング: - 549,390位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 407位ヨーロッパの地理・地域研究
- - 523位中公新書ラクレ
- - 21,367位社会学概論
- カスタマーレビュー:
著者について
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2019年10月28日に日本でレビュー済み
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役に立った
2020年3月31日に日本でレビュー済み
この問題は法王就任前からのものではあるが、フランシスコ法王にも逆風が吹いている。もっとも衝撃的だったのは、バチカンの機構改革に着手した法王が登用した、G8と呼ばれる最側近のひとり、オーストラリアのジョージ・ペル枢機卿が、母国オーストラリアで未成年者への性的虐待を行った容疑で訴えられたことだ。ペル枢機卿は一審で禁固6年の実刑判決を受け収監されてしまった。この他にも性的虐待に関するさまざまな不都合な事実が明るみに出ている。宗教のすべてを近代的合理主義や市民の論理でとらえるのは無理があるという意見もあるかもしれない。だが、だからといって因習に縛られたままでは、新しい信者の獲得は難しくなってしまうだろう。