古い映画なのでBlu-rayでも画質最高とはいきませんが、DVDよりは断然綺麗。この映画を愛する人なら買う価値あり。以下、映画の内容に関して思い切り触れていますので注意してください。
自己中心的で他人への思いやりのかけらもない、天気予報官フィル・コナーズは、取材に訪れた田舎町で、どういうわけか、まったく同じ日を何度も何度も繰り返すはめに陥ってしまう。現実にはありえないファンタジー?いいや、どなたも似たような境遇の人をよく知っているはずだ。そう、あなたも私も、来る日も来る日も同じ場所で、同じことの繰り返しでしかない退屈な毎日を生きている。この映画は「あなたはいかに生きているのか」を鋭く問うてくる、おかしくも恐ろしい映画なのだが、問いかけには終わらない。この退屈な繰り返しから脱出するにはどうしたらいいのかの答えまで示してくれる。
フィルは、最初のうち、元に戻るのだから何をやってもいいのだということで、暴走、暴食、果ては泥棒と無軌道に過ごすが、やがて取材に同行しているプロデューサーのリタが好きだということに気づく。繰り返しを利用して相手の好みを学習し、部屋まで誘うことに成功するが、あわやというところで失敗。その後は何度繰り返しても、もっと手前で失敗してしまう。絶望して何度も自殺を試みるが、もちろん同じ一日の中によみがえってしまう。思いあまってすべてを告白したことから、これまでにないぐらいリタと親密になり、とうとうベッドで並んで眠ることに成功するが、また同じ朝が来て、リタはすべてを忘れてしまっている-
繰り返しから脱出できないことよりも、もっと悲しいのは…と呟いていたことが現実になったのに、なぜかフィルは生まれ変わっている。だれにでも親切になっただけでなく、有り余る時間を有意義に使い始めるのだ。ラストのスピーチを聞く限り、かなり読書にもいそしんだらしいが、よく目につくのは氷の彫刻とピアノ演奏だ。どちらもクライマックスで上手に生かされている。氷の彫刻はもっとも重要なシーンで使われているし、パーティでラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲の第18変奏をジャズ風に弾くシーンも実によかった。ラフマニノフをあういう風に弾くと本当にぴったりでびっくり。
だが、フィルが本当に生まれ変わったのは、乞食のじいさんが死ぬのに出くわしてからなのだろう。おそらく何度も何度も助けようとするのだが、運命を変えることはできない。
有限の生を生きるものたちの愛おしさ、同じ時間と空間を共有していることの奇跡…。
さて、もちろん映画はハッピーエンド。フィルはリタを得て無限の繰り返しから脱出するのだが、
魔法の呪文は、フィルがリタに告げる、 “No matter what happens tomorrow or for the rest of my life, I'm happy now.” だと思う。
今この瞬間をあるがままに愛すること。
こうまとめると、モチーフになっているのは、ニーチェの永劫回帰じゃなくて、ゲーテのファウストなのかという気もしてくる。とうとう繰り返しから脱出したフィルがリタに言う言葉、「ぼくと一緒に今日を楽しもう」は泣かせる。この映画を見終わったときの気持ちをずっと忘れないでいられたら、私の人生もどんなに密度の濃いものになるだろう。
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