子供の頃に誰もが一度は触れたであろうグリム童話。大人になる前の階段を登る途中の子供たちへの教訓ともなる作品が多いが、そのどれもが''原典'≠ヘ残酷であるという。また一口にグリム童話と言っても''初版'≠ニ''第二版'≠ナは大きな違いが見受けられる作品もある。今作では''初版'≠烽オくは''原典'≠フ作品を時に筆者のアレンジを交えて紹介している。聞き覚えのある作品の短編集という位置づけで読むと、どことなく懐かしさを覚える一方、一切記憶にはなかった残酷なシーンに軽い衝撃も覚える。ただ、桐生操の『本当は恐ろしいグリム童話』等を読んで免疫が出来ている人にとっては予想の範囲内の展開かもしれない。
今作では、第一話『報復の白雪姫』第二話『人・殺・し・城』第三話『えっ!赤ずきん!?』第四話『悪夢のシンデレラ』第五話『欲望にとり憑かれたかえるの王様』第六話『怖い!ヘンゼルとグレーテル』第七話『フリーメイソンが愛したピノキオ』第八話『狂気!ねずの木の話』の全八話が収録されている。特に第七話のピノキオは短編集の中で異彩を放つほど長いエピソードとなっている。これでもまだ第一部だけとのこと。
赤頭巾のように、自分が知っている話のまま終わるかと最後の最後でちょっとしたブラックなオチがあったり、人体が傷つけられるのは当然、目玉をくり抜かれたり、話によってはカニバリズム(人肉嗜好)に至る話もある。これは確かにある程度修正を試みないと子供には読ませられない。しかし、昨今の日本だけを見ても現実が小説の斜め上を行く事件等も多い。そうした中でこういった、一見すると残酷な話も決して非日常ではない(お城とかの存在は別として)し、生ぬるく根拠のない安心感の中で安寧としている現代人にとっては良い気付け薬となるかもしれない。
とはいえ、それはそれこれはこれ。グリム童話にはこんな一面もあったのか、といった感じで読めば楽しめると思う。
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