さて、前巻は基経が道真の兄「吉祥丸」の名前を呼ぶという大変気になるシーンで終わりましたが、今回道真と基経がついに相対します。
『応天の門』の中で、バックに良房が居るとはいえども、基経といえば覇権争いに勝つため権力をふるう側の顔として描かれてきました。
道真にとっては自分の嫌う貴族像そのもので、今のところ相入れる相手ではありません。
「余に問う 何の意ぞ 碧山に棲むと …」
しかし、そうは言っても基経も最初から今の基経ではなく、小さな頃があり、家を嗣ぐ重みを理解しそのために生きてきた人なのだということが、話の内容はもちろん、挿絵で描かれている元服の儀の最中であろう基経の流し目に現れている気がします。
話は変わり、「馬頭鬼」という化け物の噂が近頃都に広まっているよう。
どうやらこれも藤原に関わることらしいというので道真と業平は馬頭鬼の生け捕りを試みますが…
道真はたくさんの知らないことを書を通じて学び、書の中ではない現実世界を見て、自分には知らないことばかりだという事を知り、また書物を読みふける。
なぜ自分が学ぶのか、学問とは誰のためにあるのか、その問いへの答えは出ていませんが、ただひたすらに書物を読む道真の姿に無力感をはじめて感じました。
どうやったって書物だけでは分からないことがある。
理屈でない感情、欲望、政治もそのうちのひとつなのだと思います。
最後の話は道真が昭姫の店でアルバイトをするお話でした。
日常話の中に紛れて人の世の上手な渡り方のコツをそれとなく道真は昭姫から諭されます。
道真のはじめてのアルバイトはなかなかの大仕事だったみたいですね。
そして最後はお久しぶりの方が道真を訪ねてきたようで……
次巻からは新章に突入するようです。
裏表紙は椿のようですね。
椿は他家受粉という方法で結実するので昔から品種改良がよく行われてきたそうです。
よりよい血を、よりよい後継ぎを。
藤原の家のように、家を守る為に権謀術数を駆使する人びとを暗示している花なのかもしれませんね。
新章楽しみです。
応募者全員サービスも素敵でしたが、次巻は付録が復活するのを期待しています。
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