医学の発達と、享楽的な生き方の信奉、そして日々の生活の忙しさから、現代では「死」について考えることが明らかに減っていると思います。また、いざ考えても、「死とは、誰か他の人に起きること」といった、他人の話としての範囲内にとどまるような気もします。私個人はお墓参りを頻繁にする方かと思いますが(里帰りの際はいつも、等)私の周りにも、「お墓参り」を「(死を思い起こさせる)縁起が悪いもの」とまで感じている節のある人さえいます。おかしいと同時に、もったいないことだと思いました。
お墓には、まるで「マイ神社・マイ寺」のような効果があるのも実感しました。矢田氏が指摘しているように、お墓に出向いて先祖に問いかける、というのと、家で先祖に思いを馳せながら問いかける、というのは、科学的に説明できないかもしれませんが、明らかに違います。また、若い頃は「自分一人で自分の力だけで生きている」と自負していた人でも、年を重ねるにつれて「丸くなる」というか、「気弱になる」というのはよくあることなので、矢田氏の「元気なうちは散骨などを望まれても、正直な話、本当に死を意識されたときには、そんなに格好つけてはいられなくなります。自分という存在が消えることに際して、人間はそれほど強くないのです(212)」という指摘はとてもしっくりしました。
と、このように良書の割に☆一つ減らしたのは、冒頭で矢田氏が言及する弟さんへの(継続的だったと思われる)少年期のいじめの話が、割と中途半端に紹介されていることです。お二人の間には今ではなんのわだかまりも無いようですが、それならそれでどうやって過去を克服したのか話してほしかったです。弟御に関しては、お母様の死とその直後からのお兄様からの暴力と、とてつもない苦労と悲しみを経験されたと思いますが、彼の意見や思いなどは一切掲載されていません。お墓参りのときは一つになれた心でも、日々の生活や私利私欲に追われる中でまた離れてしまうというのはままあることだと思うので、一旦壊れた一家族が裏切りを越えてまた一つになれた例としてもう少し話が聞けたらと思いました。しかし、死について、お墓参りの効力について、先祖を調査するにあたっての方法について、などを考えるには良書です。迷ったら一読をおすすめいたします。
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