奈良政治史は藤原氏中心に語られている。藤原氏によって他氏族は苦汁を舐めざるをえなくなり、政権の中心にいたからであろう。そうした考え方は非常に合理的であり、多くの支持を得ている。しかし、木本氏はこうした考えに対しては批判的である。そこに木本氏独特の歴史観が見られる。
従来、支持されている考え方が「騒乱」とすれば、木本氏は「共存」といえるであろうか。木本氏の見方は従来のものが見落としがちであったものを投影しているものでもある。こうした見方を出来る人物は稀有であり、今まで誰も行ってこなかった。それは、そうした見方が誤りであったからではなく、そうした発想が無かったからであろう。それに挑戦した木本氏の功績は光り輝くものと成るであろう。
内容的にも難し!くなく、非常にわかりやすく書かれている。こうした良書は一読することをお勧めしたい。この本は叩き台として今後の古代史研究のあらゆる分野でその一端を担うことになるであろう。それくらいの価値のある本である。
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