近代から現代にかけての金融業の変遷や,近年のウォール街の阿漕なやり方を実名で記していたりと,興味深いです.リーマンショックから一年経ち(注:このレビューは2009/10に書きました),「懲りない人々」がまた同じことを繰り返そうとしていますが,本書を読むとそれが納得できるというものです.全く陰鬱な気分になります.
本書では,金融業界用語を説明なく使っている箇所が多く,僕のような素人には読みづらい部分がありました.また,先日のNHKでの特集で取り上げられていたような,金融工学に基づく金融商品についての記述がないのも残念でした.業界の仕組みを知るための本というよりは,暴露本的な本だと思います.
強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書) (日本語) 新書 – 2008/10/17
神谷 秀樹
(著)
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ISBN-104166606638
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ISBN-13978-4166606634
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出版社文藝春秋
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発売日2008/10/17
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言語日本語
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本の長さ208ページ
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
リーマン、AIG、メリルといった大手金融機関の超弩級破綻が続くウォール街。これまで繁栄を誇ったアメリカ経済はいかにして間違ったのか。NYの日本人投資銀行家が鋭く抉るアメリカンスタンダード「失敗の本質」。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
神谷/秀樹
1953年東京生まれ。75年早稲田大学第一政治経済学部卒業後、住友銀行入行。84年、ゴールドマン・サックスに転職。以後NY在住。92年、ロバーツ・ミタニ・LLCを創業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1953年東京生まれ。75年早稲田大学第一政治経済学部卒業後、住友銀行入行。84年、ゴールドマン・サックスに転職。以後NY在住。92年、ロバーツ・ミタニ・LLCを創業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2008/10/17)
- 発売日 : 2008/10/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 4166606638
- ISBN-13 : 978-4166606634
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- - 636位経済学 (本)
- - 3,561位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2010年9月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
個人的には、ウォール街の没落ぶりには興味なかったが、いくつか本質的で大切なことを示唆された。
「GDPを伸ばさなければ、売上・利益を増やさなければ…と数字にこだわってきた結果、生まれたのは借金に支えられた砂上の楼閣、見せかけの繁栄だった」とし、「本物の成長は真の技術革新からしか生まれない」と述べている。
そして、「何のための成長なのか、何をもって成長と考えるのか」という根本的な議論がなされないまま、闇雲に突っ走ってきた副作用が、いまの日本に現れ始めている。すなわち、富の偏在、格差拡大、心の疲弊、薄れる思いやりの心、コミュニティの断絶など。
現状に安住してはならない。しかし、「どのように成長するのか、何を頑張るのか」といった根本的な議論がなされておらず、闇雲に頑張っても疲弊するだけである。
働く人の間で心の疲弊がクローズアップされているが、その背景には、こうした議論がなされぬまま、既存の価値観やパラダイムのもとで数字ばかりを追いかける企業経営者や管理者がいまだに多いことが一因にあるのではないか。
成功の復讐とはよく言ったものだが、経営者や管理者は過去の成功に決別し、謙虚な態度で客観的に世の中や現場と向き合うことも必要なのではないか。
そして、(自分への戒めでもある)「このままでいたい」という葛藤をどのように乗り越えていくか!
欧米や日本のいわゆる先進国(?)は、「欲望こそが発展と成長のドライブ」というパラダイムの終焉を迎えているかもしれない。ブータンのようにGNHという考え方もこうした議論の中にあってよいと思う。
気軽に手にした本書だったが、いろいろと考えさせられた。
「GDPを伸ばさなければ、売上・利益を増やさなければ…と数字にこだわってきた結果、生まれたのは借金に支えられた砂上の楼閣、見せかけの繁栄だった」とし、「本物の成長は真の技術革新からしか生まれない」と述べている。
そして、「何のための成長なのか、何をもって成長と考えるのか」という根本的な議論がなされないまま、闇雲に突っ走ってきた副作用が、いまの日本に現れ始めている。すなわち、富の偏在、格差拡大、心の疲弊、薄れる思いやりの心、コミュニティの断絶など。
現状に安住してはならない。しかし、「どのように成長するのか、何を頑張るのか」といった根本的な議論がなされておらず、闇雲に頑張っても疲弊するだけである。
働く人の間で心の疲弊がクローズアップされているが、その背景には、こうした議論がなされぬまま、既存の価値観やパラダイムのもとで数字ばかりを追いかける企業経営者や管理者がいまだに多いことが一因にあるのではないか。
成功の復讐とはよく言ったものだが、経営者や管理者は過去の成功に決別し、謙虚な態度で客観的に世の中や現場と向き合うことも必要なのではないか。
そして、(自分への戒めでもある)「このままでいたい」という葛藤をどのように乗り越えていくか!
欧米や日本のいわゆる先進国(?)は、「欲望こそが発展と成長のドライブ」というパラダイムの終焉を迎えているかもしれない。ブータンのようにGNHという考え方もこうした議論の中にあってよいと思う。
気軽に手にした本書だったが、いろいろと考えさせられた。
2008年12月19日に日本でレビュー済み
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今でも投資銀行業を続ける著者が、投資銀行に象徴されるウォール街の暴れっぷりを糾弾することに矛盾を感じるかもしれないが、しっかり読めば著者の意図することは、節操の無い拝金主義であり、金融業そのものではないことは明白である。エコノミスト的な視点というより、倫理の欠如が失敗を招いたとする精神論が強いため、金融危機の原因などを(筆者の主張では意図的になのだが)経済学的に分析するといった類の書ではない。この書では、娑婆では当然のごとく非難されるであろう行為がビジネスの手段として当たり前に行われていた、ウォール街発金融業の一面を垣間見ることが出来る。
自分は非論理的な精神論が好きな人間ではないのだが、社会に生きる人間としての誇りや、倫理観を失ってしまっては、人間として生きている価値が無いとは考える。そういった意味で、著者の主張、例えば企業は社会に価値を与えることを目指すべきであり、株主や投資家のみに利益を生み出すことを追求すべきではない、金融は産業などの黒子に徹するべきといった一連の考え方に、心情的には共感する。だが本書は、資本主義はどのような方向を目指すべきかなどの点においての具体的な示唆には欠ける。金融立国を通しての経済成長を目指したアメリカや、それを追随する日本はこのままでは生きて行けない、進路変更を考えるべきという問いかけのみで終わっている。本当に何が最適なのか、尺度の問題で、結局誰にも分からないのだ。
実際は、ウォール街従来の強欲ビジネスモデルが終焉を迎えても、人間の欲深さは別な居場所を見つけて生き長らえることには変わりがない。日本の既得権者も、ウォール街のそれと違って「華やか」ではないが、それなりに見苦しい在り方をしているのは衆知の通りだし、周囲に虚業と誤解されやすい金融業が金自体を扱うものだから、ウォール街の成金みたいなものを手っ取り早く作るのに最適な世界だっただけのような気もする。
自分は非論理的な精神論が好きな人間ではないのだが、社会に生きる人間としての誇りや、倫理観を失ってしまっては、人間として生きている価値が無いとは考える。そういった意味で、著者の主張、例えば企業は社会に価値を与えることを目指すべきであり、株主や投資家のみに利益を生み出すことを追求すべきではない、金融は産業などの黒子に徹するべきといった一連の考え方に、心情的には共感する。だが本書は、資本主義はどのような方向を目指すべきかなどの点においての具体的な示唆には欠ける。金融立国を通しての経済成長を目指したアメリカや、それを追随する日本はこのままでは生きて行けない、進路変更を考えるべきという問いかけのみで終わっている。本当に何が最適なのか、尺度の問題で、結局誰にも分からないのだ。
実際は、ウォール街従来の強欲ビジネスモデルが終焉を迎えても、人間の欲深さは別な居場所を見つけて生き長らえることには変わりがない。日本の既得権者も、ウォール街のそれと違って「華やか」ではないが、それなりに見苦しい在り方をしているのは衆知の通りだし、周囲に虚業と誤解されやすい金融業が金自体を扱うものだから、ウォール街の成金みたいなものを手っ取り早く作るのに最適な世界だっただけのような気もする。
2008年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
■ 【著者は、バンカー 】
著者は、ニューヨーク在住で自ら投資銀行を設立。16年
になるという。早大を卒業後、住友銀行に入行、その
後、ゴールドマンサックスに転職・退職の経歴を持つ。
■ 【商業銀行⇔投資銀行、金融資本⇔産業資本 】
著者の姿勢は、住銀時代に築かれた「金融機関は、
[(実業の)脇役である]基本を失ってはいけない。」に軸
足を置いている。従って、今のウォール街には「(経営者
の相談に乗る)バンカー」不在で、「(スクリーンを見て証
券の売買をする)トレーダー」ばかりであり、又、合法で
あれば手段を選ばない(日本人から見ると四乗、五乗
も)阿漕な輩ばかりであると嘆いている。
■ 【商売は、昔から、阿漕である 】
ところで、こういった輩は、別にITに伴って出現した訳で
はないだろう。「ベニスの商人」に代表される様に商売に
は、大昔から付きものだと思う。著者の言葉では、
(ウォール街の輩は)「(今日の)儲けは、自分のもの、
(明日の)損は、君のもの。」そして更に嘆く。「金融の世
界の人間の学習能力は、低い。」と。
■ 【金融工学を複雑にする(なる)理由は? 】
しかし、嘆く前に、疑問を提示したい。「自助努力」の名
の元にリスクを取るべきだと言う風潮を助長する一方、
ババを掴んで潰れる金融機関・大企業などに「小口の投
資家、企業家を救済する為。」という大義名分で投入さ
れる公的資金と言う税金。又、「時価会計のルール緩
和」、「金融機能強化法」など、法制度をも自在に変形す
る魑魅魍魎の金融業界の学習効果など期待は無理。そ
れが、著者の言う『強欲資本主義』の本質ではないか。
(それは、あたかもレオナルド・ダ・ヴィンチが「天文対
話」を誰もがわかるイタリア語で刊行したが為に教皇庁
から罪に咎められた様に。誰もが理解されると困る5%
の強欲な輩がいるからではないでしょうか。)
著者は、ニューヨーク在住で自ら投資銀行を設立。16年
になるという。早大を卒業後、住友銀行に入行、その
後、ゴールドマンサックスに転職・退職の経歴を持つ。
■ 【商業銀行⇔投資銀行、金融資本⇔産業資本 】
著者の姿勢は、住銀時代に築かれた「金融機関は、
[(実業の)脇役である]基本を失ってはいけない。」に軸
足を置いている。従って、今のウォール街には「(経営者
の相談に乗る)バンカー」不在で、「(スクリーンを見て証
券の売買をする)トレーダー」ばかりであり、又、合法で
あれば手段を選ばない(日本人から見ると四乗、五乗
も)阿漕な輩ばかりであると嘆いている。
■ 【商売は、昔から、阿漕である 】
ところで、こういった輩は、別にITに伴って出現した訳で
はないだろう。「ベニスの商人」に代表される様に商売に
は、大昔から付きものだと思う。著者の言葉では、
(ウォール街の輩は)「(今日の)儲けは、自分のもの、
(明日の)損は、君のもの。」そして更に嘆く。「金融の世
界の人間の学習能力は、低い。」と。
■ 【金融工学を複雑にする(なる)理由は? 】
しかし、嘆く前に、疑問を提示したい。「自助努力」の名
の元にリスクを取るべきだと言う風潮を助長する一方、
ババを掴んで潰れる金融機関・大企業などに「小口の投
資家、企業家を救済する為。」という大義名分で投入さ
れる公的資金と言う税金。又、「時価会計のルール緩
和」、「金融機能強化法」など、法制度をも自在に変形す
る魑魅魍魎の金融業界の学習効果など期待は無理。そ
れが、著者の言う『強欲資本主義』の本質ではないか。
(それは、あたかもレオナルド・ダ・ヴィンチが「天文対
話」を誰もがわかるイタリア語で刊行したが為に教皇庁
から罪に咎められた様に。誰もが理解されると困る5%
の強欲な輩がいるからではないでしょうか。)
2008年11月1日に日本でレビュー済み
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旧住友銀行出身でNY在住の投資銀行家が、今回のサブプライム問題で崩壊に至ったウォール街の実相を描き出す。過去20年のウォール街経験に裏打ちされた鋭い視線で、ウォール街に群がる「強欲」の本質をビビッドに伝えており、学者や評論家の論評より数段上の読み応えがある。わが国もその一棒を担ぐ役割に陥ってしまった訳であるが、「強欲」の輪廻が断ち切れる日が来ることを切に望まずにはいられない。