途中まで拝読し、タイトルの不快感が出たため読むのを断念。
昔見た夢を細々と追う老人との付き合い。
死人との思い出・若い頃夢見て叶えなかったこと。
年老いても、結局叶えるための行動を具体的に起こさない。
(この本で言うなら、絵を完成させないこと)
多くの人が持つ思い出をうまく商品に昇華している。
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庭とエスキース 単行本 – 2019/4/17
奥山 淳志
(著)
購入を強化する
〈他者を知りたい、そう思わずして写真は撮れない。
でもだからと言って言葉が、写真と同じ眼差しを持つとは限らない。
奥山さんは水底で自身を問うように、一なるものをモノローグして、確かめる。
驚くばかりの誠実な持続である。〉――小栗康平(映画監督)
北海道の新十津川町にある丸太小屋に暮らし、糧を生み出す豊かな庭をつくり育てる「弁造さん」。
ある夢を抱え生きる姿を14年にわたり見つめつづけた写真家による、心揺さぶる写文集。
写真40点収録。
「弁造さんの部屋に入ると空箱とか紙切れとか床の上を占めているよくわからないもの
を脇によけて、僕はいつもの場所に腰を下ろした。それは部屋にひとつだけある窓の前、
部屋の中央にどんと居座っているイーゼルの脇のわずかな隙間といってよい場所だった。
たった一部屋しかない丸太小屋は全体でわずか十畳ほどだろうか。
その空間のなかに食事を作るための流しと食事スペース、冷蔵庫、トイレとお風呂、
クローゼット、ベッド、薪ストーブと暮らしていくうえで必要なすべてが揃っていた。
生きていくうえで必要のないものを挙げるとしたら、それはイーゼルをはじめとする
絵を描く道具だろうか。でも、これは弁造さんにとっては、冷蔵庫や風呂などとは
比べようもないほど大切なものだった。
イーゼルは、窓からの光を一番受けやすい場所に立っていて、ベッドからもよく見えた。
弁造さんは、ベッドに腰掛けながら、あるいは横になりながら、室内でいる時間のほとんどを
このイーゼルを眺めながら過ごしているようだった。そして、イーゼルにはいつだって絵が
掛けられていた。鉛筆でざらざらと描かれているスケッチブックが造作無く置かれているときもあったし、
色が塗られたベニヤ板やキャンバスが重ねて置かれていることもあった。
共通しているのは、それがいつも完成していないことだった。でも、だからなのだろうか。
絵は逆に生々しく弁造さんの今という時間を伝えているような気もした。
丸太小屋に弁造さんを訪ねた僕は無意識のうちに、イーゼルに置かれている絵が
何であるのかを最初に確認するようになった」(本文より)
でもだからと言って言葉が、写真と同じ眼差しを持つとは限らない。
奥山さんは水底で自身を問うように、一なるものをモノローグして、確かめる。
驚くばかりの誠実な持続である。〉――小栗康平(映画監督)
北海道の新十津川町にある丸太小屋に暮らし、糧を生み出す豊かな庭をつくり育てる「弁造さん」。
ある夢を抱え生きる姿を14年にわたり見つめつづけた写真家による、心揺さぶる写文集。
写真40点収録。
「弁造さんの部屋に入ると空箱とか紙切れとか床の上を占めているよくわからないもの
を脇によけて、僕はいつもの場所に腰を下ろした。それは部屋にひとつだけある窓の前、
部屋の中央にどんと居座っているイーゼルの脇のわずかな隙間といってよい場所だった。
たった一部屋しかない丸太小屋は全体でわずか十畳ほどだろうか。
その空間のなかに食事を作るための流しと食事スペース、冷蔵庫、トイレとお風呂、
クローゼット、ベッド、薪ストーブと暮らしていくうえで必要なすべてが揃っていた。
生きていくうえで必要のないものを挙げるとしたら、それはイーゼルをはじめとする
絵を描く道具だろうか。でも、これは弁造さんにとっては、冷蔵庫や風呂などとは
比べようもないほど大切なものだった。
イーゼルは、窓からの光を一番受けやすい場所に立っていて、ベッドからもよく見えた。
弁造さんは、ベッドに腰掛けながら、あるいは横になりながら、室内でいる時間のほとんどを
このイーゼルを眺めながら過ごしているようだった。そして、イーゼルにはいつだって絵が
掛けられていた。鉛筆でざらざらと描かれているスケッチブックが造作無く置かれているときもあったし、
色が塗られたベニヤ板やキャンバスが重ねて置かれていることもあった。
共通しているのは、それがいつも完成していないことだった。でも、だからなのだろうか。
絵は逆に生々しく弁造さんの今という時間を伝えているような気もした。
丸太小屋に弁造さんを訪ねた僕は無意識のうちに、イーゼルに置かれている絵が
何であるのかを最初に確認するようになった」(本文より)
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2019/4/17
- 寸法15.4 x 2.4 x 21.7 cm
- ISBN-104622087952
- ISBN-13978-4622087953
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出版社より

写真家・奥山淳志氏が、写真集『弁造 Benzo』および写真展「庭とエスキース」により、第35回 写真の町 東川賞 特別作家賞を受賞!
〈他者を知りたい、そう思わずして写真は撮れない。でもだからと言って言葉が、写真と同じ眼差しを持つとは限らない。 奥山さんは水底で自身を問うように、一なるものをモノローグして、確かめる。驚くばかりの誠実な持続である。〉 ――小栗康平(映画監督)
商品の説明
出版社からのコメント
内容(「BOOK」データベースより)
写真家である著者は、北海道の丸太小屋で自給自足の生活を営み、糧を生みだす庭とともに暮らす「弁造さん」の姿を14年にわたり撮影しつづけた。弁造さんの“生きること”を思い紡がれた24篇の記憶の物語と40点の写真。人が人と出会ったことの豊かさを伝える、心揺さぶる写文集。
著者について
奥山 淳志 (おくやま・あつし)
写真家。1972年大阪生まれ、奈良育ち。京都外国語大学卒業後、東京の出版社に勤務。1998年岩手県雫石町に移住し、写真家として活動を開始。以後、東北の風土や文化を撮影し、書籍や雑誌等で発表するほか、 人間の生きることをテーマにした作品制作をおこなう。
2006年「Country Songs ここで生きている」でフォトドキュメンタリー「NIPPON」2006選出、2015年「あたらしい糸に」で第40回伊奈信男賞、2018年写真集『弁造 Benzo』で日本写真協会賞 新人賞を受賞。主な著書に『手のひらの仕事』(岩手日報社、2004)、『とうほく旅街道』(河北新報出版センター、2012)、『動物たちの家』(みすず書房、2021)などがある。
写真家。1972年大阪生まれ、奈良育ち。京都外国語大学卒業後、東京の出版社に勤務。1998年岩手県雫石町に移住し、写真家として活動を開始。以後、東北の風土や文化を撮影し、書籍や雑誌等で発表するほか、 人間の生きることをテーマにした作品制作をおこなう。
2006年「Country Songs ここで生きている」でフォトドキュメンタリー「NIPPON」2006選出、2015年「あたらしい糸に」で第40回伊奈信男賞、2018年写真集『弁造 Benzo』で日本写真協会賞 新人賞を受賞。主な著書に『手のひらの仕事』(岩手日報社、2004)、『とうほく旅街道』(河北新報出版センター、2012)、『動物たちの家』(みすず書房、2021)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
奥山/淳志
写真家。1972年大阪生まれ、奈良育ち。京都外国語大学卒業後、東京の出版社に勤務。1998年岩手県雫石町に移住し、写真家として活動を開始。以後、東北の風土や文化を撮影し、書籍や雑誌等で発表するほか、人間の生きることをテーマにした作品制作を行う。2006年「Country Songsここで生きている」でフォトドキュメンタリー「NIPPON」2006選出、2015年「あたらしい糸に」で第40回伊奈信男賞、2018年写真集『弁造Benzo』で写真家協会新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
写真家。1972年大阪生まれ、奈良育ち。京都外国語大学卒業後、東京の出版社に勤務。1998年岩手県雫石町に移住し、写真家として活動を開始。以後、東北の風土や文化を撮影し、書籍や雑誌等で発表するほか、人間の生きることをテーマにした作品制作を行う。2006年「Country Songsここで生きている」でフォトドキュメンタリー「NIPPON」2006選出、2015年「あたらしい糸に」で第40回伊奈信男賞、2018年写真集『弁造Benzo』で写真家協会新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2019/4/17)
- 発売日 : 2019/4/17
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4622087952
- ISBN-13 : 978-4622087953
- 寸法 : 15.4 x 2.4 x 21.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 116,818位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 474位カメラ・ビデオ (本)
- - 748位写真 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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星5つ中の4.5
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年7月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
出合いは詳しく語られていないが、弁造さんと奥山さんのやりとりが楽しい。生身の人間どうしが、それも祖父と孫ほど年の離れているふたりがお互いを束縛せず、お互いをきっと尊重し合って、しかしお互いを必要としている不思議な物語である。奥谷さんの犬のさくらの存在も大きい。彼女の弁造さんへの信頼(私たち人間にはおそらく理解できない何か。ひとを見分ける力とでも言おうか)が奥谷さんの行動を支えるひとつになっているなと思わされる。また、奥山さんの弁造さんへの愛着?こだわり?がさくらをして弁造さんへの何だかよくは分からないながらしあわせな気分を醸し出させているのだろうな感じ取ってしまう。今はこの有限世界にいないふたり(敢えて、”ふたり”と言おう)の幸い、奥山さんのふたりと知り合い時を共に過ごせた幸いを思わずにはいられない、秀逸な良書である。