kindle版で本を読むのもいい物ですね。字が大きくて読みやすいし。文庫だと普通字が小さいし。
だがそれはそれとして、はっきりと嫌いですね。これが著名な作品とは理解しかねます。
最後まで読んでこれで感動したり感心したりする人がいて、ましてその数が多いとは。
一章はまあ面白かった。一体何故何の目的でオーバーロードが地球に対して技術提供や紛争など諸問題の解決に手を貸すか。彼らにはどんな目的が?
と言う様な謎があったからだ。これで、結局彼らは悪の宇宙人で地球を徐々に侵略しようとしていたと言う話なら、まだ受け入れられたが、そうでは無かった。ここで描かれているのはもっともっとおぞましいものだ。
結末に触れますので改行
オーバーロード達は結局徹頭徹尾正しい事にされているが、人類が一方的に破滅を与えられる事が正しい訳が無い。大体、それらを人類はちゃんと理解して受け入れてる訳ではなく、ただ一方的に言われた事を受け入れてるだけで、その裏にオーバーマインドの嘘と企みが無い保証など何処にもない訳で、最初から最後まで私には人類が丸め込まれているようにしか思えなかった。
著者やこの本を支持する人は否定するかもしれないが、私はこの本は結局未開の人に対する一方的な侵略と制圧を肯定している前時代的な欧米人の傲慢さを象徴する作品であると思う。
要するに文明の遅れた所は進んだ文明に黙って従うべき。馬鹿が考えた所で正しい答えは出ないのだからただ一方的に考えず従えと。
実際作中で人類はオーバーロードに言われるがまま、破滅していく。
それこそ浅慮であると主張したい。文明が発達していれば人はより間違いを犯さなくなるだろうか?科学が発達していれば正しい行動が出来るようになるか?科学が急に発達した過程の中で、我々人類は今まで成し得なかったことをいくつも成し遂げたが、同時に今ままで考えた事もしなかった程大きな過ちもやらかした筈だ。原始人より今の我々が倫理的論理的に正しい判断をしているなどと誰が言えよう?
オーバーロードやその上のオーバーマインドが幾ら発達した科学技術を持っていようと、それは彼らの正しさを担保しない。それなのにより科学技術の発達したものは絶対的に正しいと信じただただ絶滅していく人類の姿には嫌悪感しかないし、それらを肯定している著者にも同様の感情しかない。そもそも、科学技術が発達していれば、その理由や原理に良く分からない所があってもただ黙って従って死ぬのか正しいか?科学的態度と言えるのか?
私の答えはハッキリと否!である。
結局の所これは侵略の話であり、そしてそれに対しての抵抗すら否定する傲慢と欺瞞に満ちた物語だ。
正直ラグクラフトの暗黒神たちがやってる事とオーバーロードがやってる事に変わりはないと思う。ただラグクラフトの場合、暗黒神たちはあくまで悪であり、主人子達が抗ったり勝ったり(仮初めにせよ)する事があるのに対して、この作品はオーバーロード達を悪として抗う事すら作者は許していない。ある意味暗黒神よりおぞましい。
作中でカレルレンに最後の方で「(オーバーマインドへの)奉仕の内に、己の魂まで失う事は決してないのだ。」と言わせてる当たりその辺の作品の欠点(と言うより醜悪なほどの歪さ)理解しているのだろうが、それは結局より高次の存在に対する隷属化を肯定しているだけであり、そこに己の魂など無い。少なくとも私の魂はそこにはない。
欧米人ならともかく、日本人がこの手の話を能天気に受け入れるとは俄かには信じ難い・・・と思いましたがそういや日本人はアメリカの侵略を苦も無く受け入れてましたね。
そう考えると益々嫌いになる作品でした。
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