ファリード・ザカリア、ランドール・シュウェラーと並ぶネオクラシカル・リアリズムの泰斗、クリストファー・レインの本邦初となる単著が全訳本として読めることは実に喜ばしいことだ。
ネオクラシカル・リアリズム自体、比較的新しい学派であり、日本ではごく一部の学者の間でしか知られていなかった彼の著作が日本でも出版されるというのはひとえに訳者の奥山真司氏の功績である。そのネオクラシカル・リアリズムとは、ジョン・ミアシャイマーに代表されるリアリズムを下敷きにしながら、イデオロギーのような非物質的な要因をからめて説明を加えたもののであり、本書自体もいわゆるマルクス系や修正史観主義者、それにリベラル系などの学者・歴史家たちの理論を加えてアメリカの帝国主義的な大戦略のメカニズムを、レイン独自の理論である「地域外覇権利論」から説明しているという点で非常に難解な書といえる。ただし、従来のリアリズム学派の著作などよりも密接に地政学と結びついた説明がなされていること、また抽象的な「オフショア・バランシング」を実に明瞭に描き出すことに成功していることは特筆されるべき点だろう。
本書は基本的に国際関係の理論書であると同時にアメリカの対ヨーロッパ戦略についての歴史書であると同時に、現在のアメリカの大戦略の痛烈な批判書という性格も備えており、また新しい大戦略の提案書でもあるという、非常に価値のある1冊といえよう。
この商品をお持ちですか?
マーケットプレイスに出品する
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
幻想の平和 1940年から現在までのアメリカの大戦略 単行本 – 2011/8/26
| クリストファー・レイン (著) 著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます この著者の 検索結果 を表示 |
“ネオクラシカル・リアリズム”の重要文献として知られるクリストファー・レイン(Christopher Layne)著“The Peace of Illusions: American Grand Strategy from 1940 to the Present”(2006)を、地政学者奥山真司が翻訳。原著者が新たに書き下ろした「日本語版へのまえがき」と訳者奥山真司による「解説」も収載。
- 本の長さ457ページ
- 言語日本語
- 出版社五月書房
- 発売日2011/8/26
- ISBN-104772704922
- ISBN-13978-4772704922
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
台湾を中国に任せ、日本を自立・核武装させるアメリカの大戦略「オフショア・バランシング」とは?米国政府を動かした“ネオクラシカル・リアリズム”の重要理論、待望の邦訳化。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
レイン,クリストファー
テキサスA&M大学ロバート・ゲーツ特任教授。専門は国際関係論とアメリカの対外政策。米国弁護士の資格も持つ。1981年にカリフォルニア州立大学バークレイ校にて博士号修了
奥山/真司
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。英国レディング大学大学院で修士号(MA)と博士号(PhD)を修了。国際平和協会主任研究員。米国地政学研究家。戦略学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
テキサスA&M大学ロバート・ゲーツ特任教授。専門は国際関係論とアメリカの対外政策。米国弁護士の資格も持つ。1981年にカリフォルニア州立大学バークレイ校にて博士号修了
奥山/真司
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。英国レディング大学大学院で修士号(MA)と博士号(PhD)を修了。国際平和協会主任研究員。米国地政学研究家。戦略学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
登録情報
- 出版社 : 五月書房 (2011/8/26)
- 発売日 : 2011/8/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 457ページ
- ISBN-10 : 4772704922
- ISBN-13 : 978-4772704922
- Amazon 売れ筋ランキング: - 747,317位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 542位アメリカのエリアスタディ
- - 10,227位政治入門
- カスタマーレビュー:
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.5
星5つ中の4.5
2 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年9月3日に日本でレビュー済み
違反を報告する
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2012年2月29日に日本でレビュー済み
二〇三〇年代が近づくにつれて、日本は「アメリカが中国から守ってくれる」という想定の上に大戦略を立てることはできなくなる。日本は「アメリカが去った後の東アジア」という状況に対応できるよう準備を進めなければならないし、このためには自分たちの力で立ち上がり、国防の責任を背負うことが必要になってくる。
本書前書きで、著者のクリストファー・レイン氏はこう警告する。彼はいかなる根拠に基づいて、このように言い切るのだろうか。それを理解するキーワードが、「オフショア・バランシング(offshore balancing)」である。
レイン氏によれば、これまでアメリカの歴代政権が採用してきた大戦略は、「優越」(primacy:もしくは''覇権'”egemony)か「選択的関与」(selective engagement)であった。彼は、これらの大戦略に代えて「オフショア・バランシング」の採用を提唱する。
リアリストの系譜に位置するレイン氏は、「覇権」という大戦略のリスクとコストが増大していると考えている。彼は、自分の地域の外にまで覇権を維持しようとするアメリカは、このままでは過去の帝国と同じように手を広げ過ぎて国力が続かなくなり没落すると懸念するのだ。
これが、彼が「オフショア・バランシング」を提唱する理由だ。
「オフショア・バランシング」には、(1)将来ユーラシア大陸で起こるかもしれない大国間戦争からアメリカを隔離しておくこと、(2)アメリカが「信頼性を守るための戦争」を戦ったり、従属する国家のために不必要な戦争を行わなければならなくなるのを避けること、(3)アメリカ本土のテロリズムに対する脆弱性を減らすこと、(4)国際システムにおけるアメリカの相対的なパワー・ポジションと、戦略的な行動の自由を最大化すること──という四つの狙いがある。
この戦略では、ユーラシアの主要国に自ら国防の責任を負わせることになる。相手に責任を譲渡する戦略であるだけでなく、その責任を避けることを狙った戦略であり、ヨーロッパについては、アメリカがNATOから脱退し、ヨーロッパから軍事力を撤退させることを主張する。そして、アジアについてレイン氏は次のように書いている。
「中国に対して過剰に敵対的な政策の実行を避けることになる。アジア最大で潜在的には最も強力な国家である中国が、地域で政治、軍事、経済面で今までよりも積極的な役割を求め、しかも東アジアにおける現在のアメリカの圧倒的な状態に挑戦しつつあるのはきわめて自然なことであると言えよう」(401頁)
このような政策をアメリカが採用すれば、日本は重大な危機に直面する。これこそが、オフショア・バランシングの狙いなのである。つまり、アジア各国が中国の脅威に対して、自らバランシングを行う責任が生じてくるというわけだ。レイン氏は、次のように言い切る。
「アメリカは日米安保条約を破棄し、独立した大国として日本が必要とする、いかなる軍事力の獲得──これには安全な報復核抑止力や、日本が海上輸送ルートや東・南シナ海の領土主権を守るために必要となる機動投射能力も含まれる──をも手助けすべきなのだ」
こうした戦略が実際に採用されることはないと決めつけてはならない。すでに、オフショア・バランシングの考え方は、政策に生かされつつある。二〇一一年二月二十五日にはゲイツ国防長官がウェストポイントの米陸軍士官学校で行ったスピーチで、オフショア・バランシングを「アメリカの次の大戦略である」として提唱している。
また訳者の奥山真司氏が「解説」で指摘する通り、パトリック・キャレット元海兵隊大佐が提案した「キャレット計画」は、ユーラシア大陸から離れて本平洋のオセアニア周辺海域から中国を牽制する、まさに「オフショア」的な発想である。
「オフショア・バランシング」は、大統領選挙の共和党候補の座を狙うロン・ポール議員の外交戦略にも共通する部分がある。
本書は、アメリカの大戦略の転換を見据え、わが国の国防の在り方を再検討する上で、必読の一書である。
(『月刊日本』2012年3月号)より転載
本書前書きで、著者のクリストファー・レイン氏はこう警告する。彼はいかなる根拠に基づいて、このように言い切るのだろうか。それを理解するキーワードが、「オフショア・バランシング(offshore balancing)」である。
レイン氏によれば、これまでアメリカの歴代政権が採用してきた大戦略は、「優越」(primacy:もしくは''覇権'”egemony)か「選択的関与」(selective engagement)であった。彼は、これらの大戦略に代えて「オフショア・バランシング」の採用を提唱する。
リアリストの系譜に位置するレイン氏は、「覇権」という大戦略のリスクとコストが増大していると考えている。彼は、自分の地域の外にまで覇権を維持しようとするアメリカは、このままでは過去の帝国と同じように手を広げ過ぎて国力が続かなくなり没落すると懸念するのだ。
これが、彼が「オフショア・バランシング」を提唱する理由だ。
「オフショア・バランシング」には、(1)将来ユーラシア大陸で起こるかもしれない大国間戦争からアメリカを隔離しておくこと、(2)アメリカが「信頼性を守るための戦争」を戦ったり、従属する国家のために不必要な戦争を行わなければならなくなるのを避けること、(3)アメリカ本土のテロリズムに対する脆弱性を減らすこと、(4)国際システムにおけるアメリカの相対的なパワー・ポジションと、戦略的な行動の自由を最大化すること──という四つの狙いがある。
この戦略では、ユーラシアの主要国に自ら国防の責任を負わせることになる。相手に責任を譲渡する戦略であるだけでなく、その責任を避けることを狙った戦略であり、ヨーロッパについては、アメリカがNATOから脱退し、ヨーロッパから軍事力を撤退させることを主張する。そして、アジアについてレイン氏は次のように書いている。
「中国に対して過剰に敵対的な政策の実行を避けることになる。アジア最大で潜在的には最も強力な国家である中国が、地域で政治、軍事、経済面で今までよりも積極的な役割を求め、しかも東アジアにおける現在のアメリカの圧倒的な状態に挑戦しつつあるのはきわめて自然なことであると言えよう」(401頁)
このような政策をアメリカが採用すれば、日本は重大な危機に直面する。これこそが、オフショア・バランシングの狙いなのである。つまり、アジア各国が中国の脅威に対して、自らバランシングを行う責任が生じてくるというわけだ。レイン氏は、次のように言い切る。
「アメリカは日米安保条約を破棄し、独立した大国として日本が必要とする、いかなる軍事力の獲得──これには安全な報復核抑止力や、日本が海上輸送ルートや東・南シナ海の領土主権を守るために必要となる機動投射能力も含まれる──をも手助けすべきなのだ」
こうした戦略が実際に採用されることはないと決めつけてはならない。すでに、オフショア・バランシングの考え方は、政策に生かされつつある。二〇一一年二月二十五日にはゲイツ国防長官がウェストポイントの米陸軍士官学校で行ったスピーチで、オフショア・バランシングを「アメリカの次の大戦略である」として提唱している。
また訳者の奥山真司氏が「解説」で指摘する通り、パトリック・キャレット元海兵隊大佐が提案した「キャレット計画」は、ユーラシア大陸から離れて本平洋のオセアニア周辺海域から中国を牽制する、まさに「オフショア」的な発想である。
「オフショア・バランシング」は、大統領選挙の共和党候補の座を狙うロン・ポール議員の外交戦略にも共通する部分がある。
本書は、アメリカの大戦略の転換を見据え、わが国の国防の在り方を再検討する上で、必読の一書である。
(『月刊日本』2012年3月号)より転載







