かなりの悪評になりますが、予めご了承ください。
友人のおすすめで購読しました。読み終えた感想は、「この本を読むと、著者の認知能力の低さに驚かされます」(はじめにの最初の文を借りて)。理由については第一章を考察対象として述べます。
1、事実誤認
20ページ、「アリババ、テンセントを始め、デジタル時代の新たなテクノロジーを開発し、それらを先んじて社会実装するのは圧倒的に民間企業です」
21ページ、「新たなテクノロジーの開発にとって情報の集中処理が重要ならば、そこで優位性を持つのは国有企業のはずですが、実際は全くそうではなっていません」
著者はどうやら、BATなどの企業は民間企業であるとの前提を立てているようです。これは大間違えです!
いくつかの事実だけを挙げれば、結論は明白になるはずです。
①、中国の民間企業でも党支部の設立が一般的。②最初に新型コロナの危険性に警鐘を鳴らした李文亮医師はWechatで発信した、それが手がかりになって12月末に中国警察に逮捕された。Wechatはいわゆる民間企業のテンセントが開発運営のアプリ。③いわゆる民間企業のBaiduの検索エンジンで天安門事件のような中国政府に都合の悪い情報は全く検索できない。④いわゆる民間企業のByteDance社はアメリカのtiktokユーザーに言論検閲を行なっている。⑤いわゆる民間企業のファーウェイは、竹の壁(Great Fire Wall)の構築に大きく貢献している。
2、中国を見る方法を間違っている
16~17ページ、著者は中国政府の公式文書を引用して、中国政府が社会信用の現状に焦燥感を覚えたため、ハイテクを駆使して社会信用システムを構築するのだ、市民を監視するためではないというふうに論じている。これも大間違えです。
・中国人、とりわけ中国政府を見る際に、言葉より行動に注目すべきです。それは私が思う中国人との付き合い方の基本です。
・実際に、人権弁護士、民主化運動家、ウイグル人、人権や市民権を訴える人たちは、様々なハイテクによって制圧されているのです!この事実を無視して中国政府の言い分を証拠に彼らの動機を分析することは、独裁者のプロパガンダに加担するのと同じです。
・真の社会信用を構築するための必要条件は、法治と道徳と私は思います。皮肉なことに、過去にも現在にも近い将来にも、中国の法治と中国人の道徳が改善されることはありません。
3、無意味なデータばかりを引用する
21~22ページ、イプソス社の調査を引用。「調査対象の28か国の平均で、過半数の人々は自国は間違った方向に進んでいると感じている(58%)、その中で、自国の進んでいる方向性について最も自信をもているのは中国で、94%の調査対象者が正しいと…」
・面白いことに、中国の宣伝工作者もこの手のデータを引用することが多いです。
・1942年の日本やナチスドイツで似たような調査を行えば、9割以上人が正しい方向に向かっていると言うるだろうが。だから何か?何の意味がある?
他にもいろいろ理由があるが、省略させていただきます。
ひつとだけ著者に言いたいことは、幸福は一人一人の人間が自ら選択した結果であり、公権力に与えられた唯一の選択肢に従えて、感謝しながら手に入れるものではありません。
民主主義と権威主義との根本の違いは、個々の人間に選択肢があるかどうかにあるのです。
幸福はAIやビッグデータなんかの話ではありません。
最後に、著者が言うに、西側諸国のマスコミは中国に関しては、「間違いだらけの報道」ばかりして、ミスリーディングを招いているとか、「認知的不協和」に陥ているとか主張している。(13ページ)
しかし、あなたこそ、現実と離れて認知的不調和なのではないか?
この手の本は、論拠が間違っていれば、論点が正しくても読む価値はありません。
すいませんが、ゴミ箱直行便へどうぞ
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幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書) 新書 – 2019/8/10
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一体何が起きているか!?
習近平体制下で、人々が政府・大企業へと個人情報・行動記録を自ら提供するなど、AI・アルゴリズムを用いた統治が進む「幸福な監視国家」への道をひた走っているかに見える中国。
セサミ・クレジットから新疆ウイグル問題まで、果たしていま何が起きているのか!?
気鋭の経済学者とジャーナリストが多角的に掘り下げる!
習近平体制下で、人々が政府・大企業へと個人情報・行動記録を自ら提供するなど、AI・アルゴリズムを用いた統治が進む「幸福な監視国家」への道をひた走っているかに見える中国。
セサミ・クレジットから新疆ウイグル問題まで、果たしていま何が起きているのか!?
気鋭の経済学者とジャーナリストが多角的に掘り下げる!
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2019/8/10
- ISBN-104140885955
- ISBN-13978-4140885956
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
習近平体制下で、政府・大企業が全人民の個人情報・行動記録を手中に収め、AI・アルゴリズムによって統治する「究極の独裁国家」への道をひた走っているかに見える中国。新疆ウイグル問題から香港デモまで、果たしていま、何が起きているのか!?気鋭の経済学者とジャーナリストが多角的に掘り下げる!
著者について
1970年、大阪府生まれ。神戸大学大学院経済学研究科教授。神戸大学経済学部卒業後、中国人民大学に留学(財政金融学院)、2001年神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学)。神戸学院大学経済学部准教授などを経て、2014年より現職。著書に『「壁と卵」の現代中国論』(人文書院)、『現代中国の財政金融システム』( 名古屋大学出版会、大平正芳記念賞)、『日本と中国、「脱近代」の誘惑』(太田出版)、『中国経済講義』(中公新書)など。
1976年、千葉県生まれ。ジャーナリスト。千葉大学人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。中国経済、中国企業、在日中国人社会を中心に『週刊東洋経済』『Wedge』『ニューズウィーク日本版』『NewsPicks』などのメディアに寄稿している。ニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか』(祥伝社新書)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)、編著に『中国S級B級論』(さくら舎)など。
1976年、千葉県生まれ。ジャーナリスト。千葉大学人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。中国経済、中国企業、在日中国人社会を中心に『週刊東洋経済』『Wedge』『ニューズウィーク日本版』『NewsPicks』などのメディアに寄稿している。ニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか』(祥伝社新書)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)、編著に『中国S級B級論』(さくら舎)など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
梶谷/懐
1970年、大阪府生まれ。神戸大学大学院経済学研究科教授。神戸大学経済学部卒業後、中国人民大学に留学(財政金融学院)、2001年神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学)。神戸学院大学経済学部准教授などを経て、2014年より現職。著書に『現代中国の財政金融システム』(名古屋大学出版会、大平正芳記念賞)など
高口/康太
1976年、千葉県生まれ。ジャーナリスト。千葉大学人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。中国経済、中国企業、在日中国人社会を中心に『週刊東洋経済』などのメディアに寄稿している。ニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1970年、大阪府生まれ。神戸大学大学院経済学研究科教授。神戸大学経済学部卒業後、中国人民大学に留学(財政金融学院)、2001年神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学)。神戸学院大学経済学部准教授などを経て、2014年より現職。著書に『現代中国の財政金融システム』(名古屋大学出版会、大平正芳記念賞)など
高口/康太
1976年、千葉県生まれ。ジャーナリスト。千葉大学人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。中国経済、中国企業、在日中国人社会を中心に『週刊東洋経済』などのメディアに寄稿している。ニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2019/8/10)
- 発売日 : 2019/8/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4140885955
- ISBN-13 : 978-4140885956
- Amazon 売れ筋ランキング: - 68,850位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 39位中国のエリアスタディ
- - 43位NHK出版新書
- - 745位政治入門
- カスタマーレビュー:
著者について
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1970年大阪府出身。戌年、牡牛座。神戸大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。現在、神戸大学大学院経済学研究科教授。専門は現代中国経済論。
ウェブサイト:http://www2.kobe-u.ac.jp/~kaikaji/
ブログ「梶ピエールのブログ」http://kaikaji.hatenablog.com/

高口康太。
フリージャーナリスト、翻訳家。1976年、千葉県生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。二度の中国留学経験を持ち、中国をフィールドの中心に『月刊文藝春秋』『Wedge』『ニューズウィーク日本版』「Newspicks」などの雑誌・ウェブメディアに、政治・経済・社会・文化など幅広い分野で寄稿している。座右の銘は「実事求是」。中国の現実から感じた自らの驚きを、そのまま読者に伝えることを目指している。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『中国コロナ封じの虚実』(中公新書ラクレ)『現代中国経営者列伝』(星海社)『幸福な監視国家・中国』(NHK出版、梶谷懐氏との共著)など多数。ツイッターは@kinbricksnow
カスタマーレビュー
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2020年4月7日に日本でレビュー済み
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110人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
VINEメンバー
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一見、中国本なのに、全くそうではない点がこの本の最高に面白いところ。
クライマックスは第5章以降。第1~4章は単なる中国の現状の整理。
整理の部分もコンパクトに読めるので「功利主義的」な価値はあるが
この本のオリジナリティは、あえて困難な論点に踏み込んでいる第5章以降にある。
統治システム一般の動物的側面、サイバネティックスの側面、人道主義的側面の3つを
中国の政治体制をネタに気持ちいいくらいスッキリ整理している。
ひとつだけ残念なのは、一神教の論点がまったく出てこないこと。
「市民的公共性」や功利主義が一神教をベースに生まれていて
かつイスラム教が、ユダヤ教・キリスト教と教典を共有する一神教だからこそ
中国の「天理」による統治と対立するという社会学的議論が出てこない。
「市民的公共性」を支える「メタ合理性」が、じつは絶対的な非合理性(=神)に
裏付けられていることが、中国にとっても、日本にとっても躓きの石になっている
という論点があれば、その欧米でさえ今や「市民的公共性」が崩れつつあることを
もう少し説得的に書けたはず。
いずれにせよ、今まで読んだ現代中国本のなかでは、最高のクオリティ。
この本を読んでおかないと、「中国のイノベーションすごい!」という中国賛美や
その逆の感情的な反中論にかんたんに呑み込まれてしまうと思う。
とくに中国イノベーション賛美に対して、この本は根本的なところで釘を刺せている。
クライマックスは第5章以降。第1~4章は単なる中国の現状の整理。
整理の部分もコンパクトに読めるので「功利主義的」な価値はあるが
この本のオリジナリティは、あえて困難な論点に踏み込んでいる第5章以降にある。
統治システム一般の動物的側面、サイバネティックスの側面、人道主義的側面の3つを
中国の政治体制をネタに気持ちいいくらいスッキリ整理している。
ひとつだけ残念なのは、一神教の論点がまったく出てこないこと。
「市民的公共性」や功利主義が一神教をベースに生まれていて
かつイスラム教が、ユダヤ教・キリスト教と教典を共有する一神教だからこそ
中国の「天理」による統治と対立するという社会学的議論が出てこない。
「市民的公共性」を支える「メタ合理性」が、じつは絶対的な非合理性(=神)に
裏付けられていることが、中国にとっても、日本にとっても躓きの石になっている
という論点があれば、その欧米でさえ今や「市民的公共性」が崩れつつあることを
もう少し説得的に書けたはず。
いずれにせよ、今まで読んだ現代中国本のなかでは、最高のクオリティ。
この本を読んでおかないと、「中国のイノベーションすごい!」という中国賛美や
その逆の感情的な反中論にかんたんに呑み込まれてしまうと思う。
とくに中国イノベーション賛美に対して、この本は根本的なところで釘を刺せている。
2019年9月8日に日本でレビュー済み
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以前功利主義を実社会で徹底しようとするアーキテクチャという議論が流行った。安藤馨『統治と功利』(勁草書房)と大屋雄裕『自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅』 (ちくま新書)という井上達夫門下の俊英たちの書物が2007年に出たのを皮切りに(この年伊藤計劃『虐殺器官』(早川書房)も出ている)、 『思想地図 vol.3 特集・アーキテクチャ』(NHKブックス)、宮台真司・鈴木弘輝・堀内進之介『幸福論―“共生”の不可能と不可避について』 (NHKブックス)といった書物で興味深い議論が展開されていた。しかし、その中身がGPSチップを性犯罪者に埋め込むといった過激なものから、アートのような障害物を駅構内に置いておくとホームレスが居座れないといったものだったりすると、どちらにせよ、あまり実生活との関わりを実感できなかった。実際、出版物においても一時期アーキテクチャのような話題は下火だったように思うが、比較的最近になり大屋雄裕『自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う』 (筑摩選書) がグーグルやフェイスブックの情報収集に言及し、俄かに現実社会への重要な接点を示唆しつつあった。そして、さらに2018年に思わぬところで言及があった。経済史の教科書としては、おそらく異例の売り上げを記録している小野塚知二『経済史』(有斐閣)が安藤馨と伊藤計劃に言及し、学会において小野塚自身が、パターナリスティックな功利主義の徹底と監視が中国で現実になっていると指摘していたのである。そうした文脈にあって登場したのが本書である。したがって、本書は小野塚も指摘していた実態を中国の現実に即して明らかにしたものだと個人的には位置付けている。本書では、中国の情報環境の実態を探り、信用制度などにも監視的な格付け制度を用いるなど、生活の様々な面で人々の利便性を向上させるために、企業や国家が大量の情報を収集している現実を紹介している。思想やイズムによって体制への支持を確保しようとするのではなく、パターナリスティックに人々の利便性に入り込み、生活に対する不満を感じなくさせる戦略ともいえるだろう。ベンサムの議論をグロテスクに徹底化した世界が必ずしも国民が意識することなく中国で現実化しているというわけである。単純に本書を読んだだけでも、人間個人の主体性や自主性に関わる重要な問題が提起されているとは感じられるが、長年理論的に考察されてきた対象がテクノロジーによって現実化されている実態をまざまざと見せ付けられるのは非常に興味深くもあり恐ろしくもある。現代中国の情報環境のみならず、より理論的なレベルでの重大な問題に触れるためにも読んでおいてしかるべき書物であろう。ただ、後半にある「道具的合理性」「メタ合理性」「アルゴリズム的公共性」といった概念の図式化やまとめが私には分かり辛い部分があり若干評価を下げた。
ベスト500レビュアー
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書名から、中国における監視社会化や、そこに暮らす人々の現地報告的/告発的な書だと思って読み始めると意表を突かれるだろう。
第2~4章はジャーナリストである高口が執筆していてルポと言えよう。だが、それ以外の、梶谷執筆部分は、「より便利に、より快適になることを功利主義的に追求してきた」中国社会をいわば題材にして、「市民社会的基盤や公共性、あるいは社会統治のあり方といったもの(p.236)」について論じており、その射程には、監視技術やAIなどのテクノロジーが急速に進歩するすべての国家・社会が含まれる。つまり、「全世界で急速に進みつつある新しいタイプの『監視社会化』の流れ(p.29)」の中では、中国は、先端的でこそあれ、特殊ではないというのが梶谷のスタンスである。
そのような内容ゆえ、本書は社会哲学の書であり、技術と社会、技術と人間の関係を問う書であり、中国論とは言い難い。
著者の議論は、図「2つの合理性と公共性(p.185)」に集約されているように思われる。
著者の見解はとても刺激的だが、中国の政治体制の特殊性(日本などとの相違)をいささか過小評価しているようにも思えた。
第2~4章はジャーナリストである高口が執筆していてルポと言えよう。だが、それ以外の、梶谷執筆部分は、「より便利に、より快適になることを功利主義的に追求してきた」中国社会をいわば題材にして、「市民社会的基盤や公共性、あるいは社会統治のあり方といったもの(p.236)」について論じており、その射程には、監視技術やAIなどのテクノロジーが急速に進歩するすべての国家・社会が含まれる。つまり、「全世界で急速に進みつつある新しいタイプの『監視社会化』の流れ(p.29)」の中では、中国は、先端的でこそあれ、特殊ではないというのが梶谷のスタンスである。
そのような内容ゆえ、本書は社会哲学の書であり、技術と社会、技術と人間の関係を問う書であり、中国論とは言い難い。
著者の議論は、図「2つの合理性と公共性(p.185)」に集約されているように思われる。
著者の見解はとても刺激的だが、中国の政治体制の特殊性(日本などとの相違)をいささか過小評価しているようにも思えた。
ベスト500レビュアー
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前半では今や監視国家の先端を行く中国の現状をレポート。所得やキャリア、日常の行動履歴をAIで個人ごとに点数化する「社会信用スコア」に注目。与信判断に利用されているだけでなく、市民の行動を政府の望む形に緩やかに誘導する手段に。その代わりに市民が暮らしやすい環境やサービスが充実。日本の近い未来を先取りしているとさえします。
後半は、監視が中国で受け入れられた土壌を社会学の立場から解説。テクノロジーの進展による「監視社会」の進行は止めようがないことを認めたうえで、大企業や政府によるビッグデータの管理のあり方を市民がどのようにチェックするかが問題である、とします。
後半は、監視が中国で受け入れられた土壌を社会学の立場から解説。テクノロジーの進展による「監視社会」の進行は止めようがないことを認めたうえで、大企業や政府によるビッグデータの管理のあり方を市民がどのようにチェックするかが問題である、とします。
2020年3月14日に日本でレビュー済み
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筆者が冒頭で述べていた通り、私も中国へのバイアスがありました。独裁的、強権的、自由を支配された社会といったイメージでしたが、この著書は「市民的公共性」の脅威となるはずの「監視社会」が、「より安全で快適な社会に住みたい」という市民自らの欲望によって生まれてきたことが中国における監視社会を許しているといったことを信用システムや言論統制、サイバー空間上のナッジやアーキテクチャといったあらゆる側面からの具体例を用いた細かい解説によって説明されています。また、後半では功利主義に視点を置き監視社会を中国の脆弱な市民公共性をもとに原理的に説明しており、民主主義国家と対比させることによってその有用性が述べられる中、AI関連技術の発展が情報の存在感を強めていることが明らかな将来で、いかにして人間的な社会を維持しようとする努力が必要であるかということを非常に強く感じるような著書でした!!
個人的には非常に読みやすく、具体例も十分、背景知識もしっかりと説明していただいているのでとても勉強になりました。
個人的には非常に読みやすく、具体例も十分、背景知識もしっかりと説明していただいているのでとても勉強になりました。






