カー初期の傑作。だが冷静にみれば,まだまだ洗練されていないし破綻気味な作品だ。それでも愛すべき古典には間違いないし,それどころか,
ありきたりの古臭さというものをこえ,いつまでも前衛的な輝きを放っている。
それというのも,帽子きちがいなる謎の設定や,眩暈すらする濃霧立ち込めたロンドン塔という舞台設定以上に,登場人物の微にわたり細をうがつ
心情を描破しているからだ。その古今東西変わらぬ人間の我慾は決して色褪せないのね。。でもそれ故,強烈にして魅力的,大げさに形容すれば
幾何的な道具立てがいまいち活きず,長々とした心情描写にダラダラとした問答が起伏なく繰り返されて間延び感覚が否めない。
しかし総合するなら結局はその展開の遅さも最終的には効果を発揮して,不思議に本当に不思議と嫌味のない読後。
おもうに本編はマニアックに愛読される存在でしょうね。これをイチオシする人は偏執要素が高いかと。ただ,僕はそんなタイプが好きだし,
実際問題自分もそうなんだろうなぁ。。そんなこんなでずっと手元に置いてるんだろう。
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