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巨象も踊る 単行本 – 2002/12/2

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商品の説明

メディア掲載レビューほか

巨象も踊る
経済記者という商売柄、あまり大きな声では言えないが、いわゆる「エライ人が書いた自伝」なるものはどうも好きになれない。大体が、最初からしまいまで自慢話のオンパレード。普通の人なら誰にでもあるつまずきや挫折を経験することなく、我々とは次元の違う人生を歩んできた方々の“逸話”など、若い頃ならともかく、あがいても仕方ない年齢に達した分別ある大人が読むものではない、と信じているからだ。

と思ったら、この本は良い意味で期待を裏切った。何よりもエンターテインメントとして上出来、もちろん閉塞状況に陥っている日本企業が活路を求めるための参考書としてまじめに読んでも良し。どちらにしても、代金分は軽く取り返せる中身の濃さである。

IBMを再建した立役者が「ゴーストライターを使わず、自ら筆を執った」だけあって、文章が生きている。ガースナー氏が自ら作り出した表現ではないようだが、「競争相手が溺れていたら、消火ホースをつかんで、それを相手の口につっこむべきだ」とのコメントが登場する。その後の章のタイトルが「消火栓から水を飲む」。溺れかけた巨象にあえて乗り込んで、見事に再生した当事者だからこそ、読む者をにやりとさせるくだりだろう。

IBMの復活を評し、「しょせん、IBMと我々とは持っていた資産の厚みが違う」と諦め顔の日本企業トップに出会うことがある。しかし、本当にそうだろうか。米国の象徴だったIBMは、その巨大な力ゆえに、日本企業とは比較にならないほど強大な官僚組織を作り上げ、だからこそ身動きが取れないジレンマに陥った。

ガースナー氏が初めて本社で経営会議に臨んだ際、氏が青いシャツを着こなしていたのに対し、残りの全員が白のシャツを着用していたという。その数週間後、今度はガースナー氏だけが白いシャツ、残りは皆、青いシャツを着て出席した、とのエピソードが紹介されている。

興味深いことに、東京三菱銀行誕生の際に全く同じ話を「行内の噂」として耳にした。人間の集団が組織を支えている以上、理想を追いかける美しい行為も醜い権力争いも、洋の東西など問わないのである。

溺れかけている最中には、自分だけがひどい目に遭っているように感じてしまう。これは致し方あるまい。しかし、IBMが直面した闇も同じように深かった。潜在力のある集団なら、当たり前のことを当たり前にやれば必ず前途が開けてくる。もっとも、企業も個人も結局のところ、「当たり前のことを当たり前に」やれないうちに寿命が尽きてしまうのかもしれないが。

(日経ビジネス記者寺山正一)
(日経ビジネス2003/1/6Copyright©2001日経BP企画..Allrightsreserved.)
-- 日経BP企画

内容紹介

■企業を変えるなら、本書に学べ
 1990年代初頭、ダウンサイジングの大波に呑まれた巨象IBMは、ルイス・ガースナー氏の大胆な改革、戦略の大転換によって、数年にして復活をはたし、再び業界のリーダーに返り咲きました。本書は、会長兼CEOとして陣頭指揮したガースナー氏が、みずからの改革を余すところなく描いた「生きた経営書」です。
 舞台はIBMですが、本書に描かれていることは、コンピューター業界に特有のものではありません。また、10年前の昔話でもありません。まさに苦境から抜け出せない今日の日本企業が耳を傾けるべきものです。IBMは復活にあたって具体的に何をしたのか。それが本書の中身です。奇をてらったカタカナの新語も、美文で固めたビジョンや戦略も登場しません。ガースナー氏の主張は、至ってシンプルかつ明快です。
 「実行こそが、成功に導く戦略のなかで決定的な部分なのだ。やりとげること、正しくやりとげること、競争相手よりもうまくやりとげることが、将来の新しいビジョンを夢想するより、はるかに重要である」(第24章「実行」)。
 そして、この実行にあたって重要な指導力(リーダーシップ)について、繰り返し述べています。その背景には、経営幹部やリーダーの指導力、実行力こそが、企業の浮沈を左右する最大の要因であるというガースナー氏の経験に裏打ちされた強い信念が読みとれます。

■日本再生のヒントは、本書に学べ
 IBM再生の物語を読み進めていくと、おのずと日本経済の再生に思いを致さざるを得ません。バブルが崩壊した日本と軌を一にするように急落したIBMは、93年4月のガースナー氏のCEO就任後、瞬く間に変貌を遂げ、90年代半ばには再建に成功。日本経済とまったく別の道を歩んでいます。IBMは何を実行し、日本企業と日本経済は何を実行できなかったのか――。一企業と一国経済を同列には語れないにせよ、指導力の欠如、あるいは着実に実行する幹部、リーダーの不在など、かつてのIBMとの共通点は少なくありません。
 日本経済と日本企業が大きな決断を迫られている今日、IBM再建の経験をまとめた本書は、まさに時宜にかなった一冊と言えましょう。

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登録情報

  • 単行本: 456ページ
  • 出版社: 日本経済新聞社 (2002/12/2)
  • 言語: 日本語
  • ISBN-10: 4532310237
  • ISBN-13: 978-4532310233
  • 発売日: 2002/12/2
  • 商品パッケージの寸法: 19.2 x 14 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5 71件のカスタマーレビュー
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カスタマーレビュー

トップカスタマーレビュー

投稿者 カスタマー 投稿日 2004/11/12
形式: 単行本 Amazonで購入
IBMをIT企業に変身させたCEOの自叙伝だが、その語り口と内容はおよそIT企業のCEOらしくない。ビル・ゲイツのようなライバル企業を片端から潰して回る強引さも、スティーブ・ジョブズのような世界を救う使命を説くカリスマ伝道師ぽさもない。プロジェクトXのような悲壮さも起死回生の逆転劇もない。ガースナーはひたすらまじめにIBMの問題点を調べ上げ、戦略を立て、決断を下し、指示を出し、指示が実行されたかチェックする。部下の面従腹背に悩まされたり、見込み違いで失敗したりしたことも正直に書いている。ひたすらまじめなのである。味も素っ気もない率直な文体がその仕事振りを表しているが、決して冷血漢ではなく、レイオフで辞めていく社員に対しては「自分を人生の負け犬と思い込まないでくれと」とメールを書き、生き残った社員には「辞めていく社員を敗残者として侮蔑するな」と戒める。
大言壮語せず、忍耐強く当たり前の手段を着実に積み上げていくその姿勢に好感が持てる。
やたら精神論ばかりぶつ日本企業の経営者はお手本にして欲しい。
会議の時のシャツのエピソードは傑作だ。
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投稿者 Syrian Hamster VINE メンバー 投稿日 2003/7/4
形式: 単行本
 今まで私が読んだ経営再建物語とは違う点が1つあります。それはマネジメントの実践を明快に説明している点です。行ってきた活動に対してこれほど詳細かつ明確に思考プロセスを説明した経営者の本というのを初めて読みました。また、「経営幹部を人選する基準として、私が批判し叱責しても簡単には意見を変えない人物」、「長期的な株主が富を蓄積できなければ、自分たちも富を蓄積できないことを経営幹部は知るべきだ」など名言が多く述べられています。ドラマ性ならばアサヒビールの再建物語(「前例がない。だからやる!」著;樋口廣太郎)の方が異色の企業再建手法で遥かに興味深いですが、本書はマネジメントの参考書として読むと非常に面白いです。学問と実践の間の溝を埋める一冊だと思います。
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形式: 単行本
ストーリー構成、わかりやすい表現。訳本でしか呼んでいないが、多分、原本も。改革者は別の条件も重要だが偉大なストーリーテラーでもないといけない、ということか。
CEOを社外から探す社外のそうそうたる人達から構成される選考委員会、IT業界以外からの選考。当時、非常に驚いたものだった。
彼がビジネススクールやマッキンゼーで習わなかった「顔が見えるリーダーシップの重要性」という指摘。その他、企業改革の教科書として、ポイントがあちこちに提示されている。・・・手続きによってではなく、原則によって管理する。成功を収めている組織・経営者・・・焦点を絞り込んでいる、実行面で秀でている、顔の見えるリーダーシップがすずずみまで行き渡っている。・・・
現在の多くの日本企業の病に対する処方箋とも言えるが、このようなリーダーシップを発揮できる人が何人いるのか?
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投稿者 Edgeworth-Kuiper Belt 殿堂入りレビュアートップ10レビュアー 投稿日 2012/1/20
形式: 単行本
「この業界にはビジネスの常識から大きく逸脱し、非合理的だと思える面があるが、これほど刺激的な業界は他にない。競争が好きなら、勝つのが好きなら、変革が好きなら、知的な挑戦が好きなら、そしてもうひとつ、週に七日、へとへとになるまで全力をつくすのが好きなら、この業界は最高の場である」。

かつてIBMが苦境に陥っていたときにCEOとなり、立て直して成長軌道に乗せた立役者、ガースナーの本。RJRナビスコのCEOを務めていた経歴から、当初は「クッキーモンスター」と呼ばれていた。

「消火活動」と呼ぶ財務の改善をすすめると同時に、戦略を立て直す。顧客視点から優先順位を列挙し、全ての顧客に全てを提供することはできないという単純な事実を受けいれて、優先度の低い事業を整理する。世界屈指のIT企業であり年間40億ドルを費やしていながら、実は「骨董品級」であった社内情報システムを刷新する。
「決断でもっともむずかしかったのは、技術面でも財務面でもない。それは企業文化の改革だった」「経営陣は社員に、みずから文化を変えるよう招待するだけである」。

社内の権利意識を変え、顧客と競争環境についての情報が少ない状況を改める。「大企業は官僚組織がなければ動かない」という現実を理解し、官僚組織の使われ方を改める方に注力する。事業を絞り込みすぎると
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