山口組、ひいては暴力団に関する書籍のなかでもっとも読み応えがあるのは溝口敦さんの作品で、そのなかでもこれはオススメ。
まず取材量が他のライターとは比べものにならない。
組関係者や親族はもちろん、警察、学校の先生、近隣住民にも取材し、当時の新聞や郷土史まで目を通し、
竹中氏の生家の間取りや家族の経歴までもこの本で紹介している。
ヤクザの生涯を書いた本には参考文献がほとんど週刊誌程度であったりするものが大半であることを考えれば、
この情報量の多さだけでも十分価値がある。
次に内容だが、これは正久氏の幼少期、青年期が充実している部分が素晴らしい。
学業優秀な正久氏がなぜ愚連隊、ヤクザへと進んで行くのかその微妙な心の変化を関係者の証言や経歴をもとに詳細に書いており、
ひとりの人間の物語として重厚感がある。
愚連隊時代からが作品の大半になりがちで喧嘩などの武勇伝に内容が偏る他の本とは一線を画している。
最後にドキュメンタリー番組のようなこの本の構成が良い。
この本は竹中正久氏の生涯を著者が第三者として紹介し、その都度、上記の取材による「明確な根拠」を表したうえで、筆者なりの人物評(悪いことも遠慮なく)をいれている。つまり、
過剰な正久氏への称賛、小説やドラマのようなくさいセリフや語り、根も葉もない武勇伝など一切ないことがこの本の魅力。
反対に主人公の漢気や友情、親分や兄弟との熱い語り合いなど、小説やドラマ仕立ての伝記が読みたい人にはこの本は向かないだろう。
極道界の頂点に立つまでの長い道のりからその後の呆気ない最期まで一気に読める一冊。
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第164回芥川賞・直木賞 受賞作決定
芥川賞は宇佐見りん『推し、燃ゆ』。直木賞は西條奈加『心淋し川』。
ほか、候補作品や過去の受賞作など、 >芥川賞・直木賞特集はこちら
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