信吾に何度叫びかけたことか。
「おい信吾っ!」「しっかりしろ!」「そうじゃないだろ!」「そっちかーい!」と。
ある場面などでは、
「行くんかーーーい!」と
飛び上がってしまったことを告白する。
要するに作者の意図にがっつりと嵌められた次第である。
この小説、主人公の信吾に尽きる。
彼の老年期の固まった信念があらゆる登場人物との微妙なズレを生み出す。
しかし、そのズレが登場人物のキャラを絶妙に際立たせる。
文体はたんたんとしている。まるで俳句。行間が極めて大きい。
相変わらずの川端節である。
ただこの小説を心の底から面白いと言えるには、
そこそこの人生経験が必要かもしれない。
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