戦国武将で信長、秀吉、家康と取り上げられ、なにかと比較されがちだが、250年近く「江戸」という時代の基盤を作ったという意味では、家康の功績は大きいと思う。
どうしても戦の駆け引きの方が話としては面白いが、ここでは、そういった話は全く取り上げられない。
湿地だった江戸をいかに人が住めるように、米が作れるように腐心した物語であって、ある意味「プロジェクトX」的な要素を持つ。
金貨鋳造や上水の引きこみに関わった人々のやりとりが生き生きと描かれている。
大判(十両)つくりをやめ、小判(一両)を作らせた家康の意図など、政治家としての側面がみられ、興味深く読み進めたし、地名の由来なども事例と共に紹介されており、大変面白い。
軍記物を期待される方には、お勧めしないが、江戸の街づくりや家康の戦国時代後の仕事を知りたいと思う方にはぜひ、読んで頂きたい。
家康、江戸を建てる (日本語) 単行本 – 2016/2/9
門井慶喜
(著)
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本の長さ400ページ
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言語日本語
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出版社祥伝社
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発売日2016/2/9
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ISBN-104396634862
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ISBN-13978-4396634865
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
歴史ファンと建築ファンの両方を虜に
美術や建築、書物などの該博な知識に基づくミステリー小説で知られ、近年は歴史小説でも活躍中の著者。2度目の直木賞候補作である本書は、徳川家康が関東の荒れ地に、いかにして現在の東京まで繋がる街づくりの基盤を作り上げたかを、世代を跨(また)いだ大きなスケールで描く連作集だ。
「今、歴史小説を書く意義を著者と話し合ったときに、親から子、子から孫への歴史の繋がりをきちんと示すことではないか? という話になりました。それで、現在の東京にも史跡が残るような、大規模なインフラ整備に関する小説の企画を立てたんです」(担当編集者の藤原圭一さん)
各話で視点人物となるのは、利根川の東遷を手がけた伊奈忠次や、慶長小判で貨幣流通を革新した後藤庄三郎など、家康の命を受けて大計画を立案、実行した技術職の家臣たち。平易な文体で書かれた「プロジェクトX」的な現場目線の物語の魅力や、「ブラタモリ」などによる都市の歴史への関心の高まりもあってか、じわじわと従来の門井ファン、歴史小説ファンの域を超えた支持を得た。
「通常、本の売れ行きは刊行直後から下がるものですが、本書は発売直後の勢いを保っています。書店によっては未だに売り上げベスト10に残っている。特にビジネス街の大きな書店では強いですね」(藤原さん)
同じコンセプトの続編も企画中。本書の生む新たな〈繋がり〉に期待大だ。
評者:前田 久
(週刊文春 2016.10.05掲載)内容(「BOOK」データベースより)
「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
門井/慶喜
1971年、群馬県生まれ。同志社大学文学部卒(日本史専攻)。2003年に「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1971年、群馬県生まれ。同志社大学文学部卒(日本史専攻)。2003年に「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2016/2/9)
- 発売日 : 2016/2/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 400ページ
- ISBN-10 : 4396634862
- ISBN-13 : 978-4396634865
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 164,817位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 2,264位歴史・時代小説 (本)
- - 5,520位日本文学
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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『家康、江戸を建てる』
そんなタイトルから徳川家康がプロジェクト・リーダーになって江戸を開発する話かと思いきや、深い思慮があるようなその場のノリで発言してしまうような、そんな家康の命令に振りまわされる技術者たちが主人公。
第一話は主人公だと思っていた伊奈忠次が早々と死んでしまい、家康も死んでしまって、いったいどうなるのかと思っていたら、治水、造幣、上水、築城とテーマごとに分かれた短編集の形式だったのですね。一つの長編小説にまとめて同時進行で江戸の開発を描くよりも、このスタイルの方がすっきりとお話が整理できてつかみやすいのであります。
合戦とは違い、街づくりは予算も年月もかかって、完成までに担当者が代替わりすることすらある難事業。街づくりの継承と人間の世代交代が、各エピソードに共通するテーマといえるでしょうか。戦国乱世から平和な世の中へ、技術の進歩と開発担当者の世代交代をさわやかに描いた3話がとても印象的。
締めくくりとなる5話は江戸の統治者、家康から秀忠への交代劇。描きたかったテーマは分かるのですが、さすがに苦しい解釈のような…。
もう一つ、難を挙げるなら全体にテーマ優先のため、意外に考証がルーズ?なこと。ストーリーの都合で史実から設定を変えていることがけっこう目につき、江戸の開発というリアルな題材を採り上げながら、史実そのままというわけではございませんので本書の取り扱いには何とぞ御注意を。
そんなタイトルから徳川家康がプロジェクト・リーダーになって江戸を開発する話かと思いきや、深い思慮があるようなその場のノリで発言してしまうような、そんな家康の命令に振りまわされる技術者たちが主人公。
第一話は主人公だと思っていた伊奈忠次が早々と死んでしまい、家康も死んでしまって、いったいどうなるのかと思っていたら、治水、造幣、上水、築城とテーマごとに分かれた短編集の形式だったのですね。一つの長編小説にまとめて同時進行で江戸の開発を描くよりも、このスタイルの方がすっきりとお話が整理できてつかみやすいのであります。
合戦とは違い、街づくりは予算も年月もかかって、完成までに担当者が代替わりすることすらある難事業。街づくりの継承と人間の世代交代が、各エピソードに共通するテーマといえるでしょうか。戦国乱世から平和な世の中へ、技術の進歩と開発担当者の世代交代をさわやかに描いた3話がとても印象的。
締めくくりとなる5話は江戸の統治者、家康から秀忠への交代劇。描きたかったテーマは分かるのですが、さすがに苦しい解釈のような…。
もう一つ、難を挙げるなら全体にテーマ優先のため、意外に考証がルーズ?なこと。ストーリーの都合で史実から設定を変えていることがけっこう目につき、江戸の開発というリアルな題材を採り上げながら、史実そのままというわけではございませんので本書の取り扱いには何とぞ御注意を。
2019年8月14日に日本でレビュー済み
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前から気になっていた本。Kindleで安くなっていたので、購入しました。
東京という場所がいかにして造られたか、それに興味がありました。川の流れを変えて住める土地にしたり、金貨を作って商いを活性化したり、江戸城の天守を作ったりと、町づくりは書いてあります。ただ、それらに携わった人々にスポットがあたっていて、町づくりの部分は本書のテーマではありませんでした。家康を中心に江戸を作っていった男達については星5つです。本書には、現在の東京の地名の由来がところどころ出てきます。本書を読んで、この部分に興味を持ったので、こちらの本を探します。
東京という場所がいかにして造られたか、それに興味がありました。川の流れを変えて住める土地にしたり、金貨を作って商いを活性化したり、江戸城の天守を作ったりと、町づくりは書いてあります。ただ、それらに携わった人々にスポットがあたっていて、町づくりの部分は本書のテーマではありませんでした。家康を中心に江戸を作っていった男達については星5つです。本書には、現在の東京の地名の由来がところどころ出てきます。本書を読んで、この部分に興味を持ったので、こちらの本を探します。
2020年6月6日に日本でレビュー済み
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解説を書いている本郷和人氏の著書に「日本史のツボ」がある。7つのツボで日本史を見ていくと分かりやすいというもの。本書は、徳川家康が「まるでだめな土地」から江戸という世界的都市の基礎を築く様を5つの話で構成している。河川工事(治水)、貨幣の鋳造(金融)、上水(水道)、石垣(築城1)、漆喰壁の天守と白い街並み(築城2、街づくり)といった5つの視点で、それぞれの話はかなりのハイスピードで展開する。家康は、主人公というよりも名脇役。主役は、それぞれの分野の専門家たち。江戸ができるまでの「プロジェクトX」「プロフェッショナル」のような5回連続シリーズもの。 5つの話にそれぞれ主人公がいるが、全体は家康の人生の集大成を描いている。
2016年12月7日に日本でレビュー済み
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本作において、家康はプロデューサーですらない。基本はたまにダメ出しする程度の存在である。その一歩引いたスタンスが功を奏したのだと思う。何かの書評で、本作の文章が悪文であると述べられていたが、そこは否定できない。しかし、家康を清濁併せ飲む存在として描いた点は評価できると思う。エーコ先生の二十倍くらい面白かった。