わたし自身は女性で、仕事と家事育児は母親が両立して然るべきという自身の意識に苦しんでいて(母親であれば食事する時間が与えられないのは当然、と全く食事せず授乳していたら点滴をする事態になったりとか)、意識を変えるというつもりで購入してみました。
でもこれは、女性の生きづらさの問題に留まらず、男性の生きづらさも包括する家事労働に対するネグレクトについての本でした。
男性であっても、一家を背負って長時間労働に耐えるのが当然、という自意識に苦しんでいる方はいらっしゃると思います。本当はこどもと向き合いたいのに、夜はこどもが眠ってから帰宅し、朝はこどもが起きる前に出勤、とか。
そうでなくとも、例えば本書で紹介されている東日本大震災の津波で妻を失った男性の例のように、遺族年金が妻に先立たれた夫には支払われないということを知ると、その場合は仕事の時間を減らしたり、存在しないことになっている家事労働の担い手を有償で賄わなければならない場合もあり、父子家庭も生き抜くことは困難だと想像できます。
為政者がジェンダーバイアスの色眼鏡をかけたまま法律を作り、それを維持する限り、為政者があるべき理想の姿として提示する「標準世帯」からこぼれた男女は困難に直面せざるを得ない。
生きづらさを生む社会の問題を「家事労働」を物差しにして整理しなおすことで、わたし達の漠然とした生きづらさが、解決可能な問題に変貌していく様は見事だと感じました。
題名がセンセーショナルな上、表紙が赤だったりするので軽い感じでは薦めにくいのですが、男性にも是非読んでほしい一冊です。
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家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書) 新書 – 2013/10/19
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食事の支度や後片付け、洗濯、掃除、育児に親の介護……。本来、だれもが必要とする「暮らしの営み」のはずの労働が、不公正な分配によって、どのように生きづらさや貧困を招き寄せていくのか。終わりなき「見えない労働」を担う人びとが、社会から不当に締め出されている実態に光をあて、直面する困難から抜け出す道を内外にさぐる。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2013/10/19
- ISBN-104004314496
- ISBN-13978-4004314493
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
食事の支度や後片付け、洗濯、掃除、育児に介護…。だれもが必要とする「暮らしの営み」のはずの労働が、なぜ正当に評価されないのか?不公正な分配が、いかに生きづらさや貧困を招き寄せていくか。終わりなき「見えない労働」を担う人々が、社会から不当に締め出されている実態に光をあて、困難から抜け出す道を内外にさぐる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
竹信/三恵子
ジャーナリスト・和光大学教授。1953年生まれ。朝日新聞経済部記者、編集委員兼論説委員などを経て、2011年4月から現職。2009年、「貧困ジャーナリズム大賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ジャーナリスト・和光大学教授。1953年生まれ。朝日新聞経済部記者、編集委員兼論説委員などを経て、2011年4月から現職。2009年、「貧困ジャーナリズム大賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2015年1月15日に日本でレビュー済み
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53人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2015年6月16日に日本でレビュー済み
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家事ハラという言葉が某社のCMで誤用されているというニュースをきっかけに手にとった本。ハラスメントというと人から人へのイメージがあるが、この本の主題は主に女性が担ってきた無償労働である「家事労働」に対する社会からのハラスメント、そしてそれによる社会の歪みと言ってもよいだろう。ひとたび社会の「標準」から逸脱すると男性も女性も簡単に窮地に陥ってしまう日本社会の構造を見事に描き出している。諸外国の例も豊富であり、安い労働力として移民に期待することの脆さも理解できる。介護保険を制度化したとき、低い労働対価しか付与されなかった経緯もわかる。
2014年10月7日に日本でレビュー済み
2014年の夏ごろ「家事ハラ」という言葉がワイドショーでとりざたされました。
夫が手伝った家事に文句をつける妻、手伝うという意識しかない夫を指して「家事ハラ」だと紹介されていました。
しかし、どっちの意見も家事ハラではありません。(これはただの夫婦喧嘩)
著者の提唱する本来の「家事ハラ」とは180度異なっています。
本来の家事ハラは「日本の社会全体が家事労働の担い手を無視・軽視している」という意味です。
対してマスコミのいう「家事ハラ」は家庭内の問題にとどまっています。
本書のように社会からの視点で家事労働を見ているメディアはほとんどありません。
今の日本では家事労働(家事・育児・介護)が主に母親のみに集中しています。
そのことが原因で、実は女性だけでなく男性、あらゆる世代の正社員・非正規社員にも生きづらさが蔓延しているー。
本書ではそれをわかりやすく描いています。
ただ、残念ながらこの問題は非常に地味でパッとしない。文中にも周囲の危機意識の低さが何度も登場しています。
(これが、わかりやすいニセの「家事ハラ」が蔓延してしまった原因でしょう)
この本が秀逸なのは、家事労働には「癒し」が含まれると解釈している点です。
家事労働は家事・育児などの物理的な仕事だけでなく、実は家族とのふれあいの時間だったり自分への癒しの時間でもあるのです。
家事労働を通して子供の成長や家族の変化を感じ、自分の生活を見直したり今後の人生も考える事ができます。
つまり賃金労働とは根本的に種類が違うのです。
そう考えてみれば、本来すべての人間、一人ひとりに家事労働の時間が必要です。
専業主婦だろうと共働き夫婦だろうと、出世街道をひた走るエリートサラリーマンだろうと同じように必要な時間なのです。
しかし日本の社会(政府や企業)はその事実を無視し、
「家事労働のような単純な仕事は妻にやらせればいい」と家事労働の配分を一部に偏らせ
「家事労働の担い手(妻)がいるんだから、仕事に没頭できるよね」
「家事労働は簡単だから or 神聖な仕事だから単価は払わなくていいよね」という意識を蔓延させました。
その結果どうなったか。
まず「家事労働をする必要がない」とみなされた夫は家族とのふれあいどころか休息する暇もないほど異常に長時間拘束されるようになりました。「普段は子供の寝顔しか見られない」ような状態の父親が何と多い事か。
そして「大黒柱がいる」とみなされた主婦には当たり前のように家事労働が一極集中。効率重視の家事で無駄が排除され同時に余裕も失われました。
その合間を縫って賃金労働を希望しても「家事労働=単純労働」「家事労働=無賃」という理由からバカみたいな給料で買い叩かれる始末です。
家族との時間がとれず、子供も満足に見てやることができず、満足な休息の時間もなく
心に余裕がなくなり、何かあれば夫婦間で対立するようになるー。
こんな家庭崩壊ギリギリの状態で家計を維持している夫婦は日本にごまんといます。
それでもまだ、「文句を言う妻が悪い」「お手伝い気分の夫が悪い」と言うんですか?
せっかく著者が社会問題化してくれたのに、また個人の問題に引き戻すんですか?
そうじゃないでしょう。いい加減、声をあげなくてはいけない時期がきていると思います。
夫が手伝った家事に文句をつける妻、手伝うという意識しかない夫を指して「家事ハラ」だと紹介されていました。
しかし、どっちの意見も家事ハラではありません。(これはただの夫婦喧嘩)
著者の提唱する本来の「家事ハラ」とは180度異なっています。
本来の家事ハラは「日本の社会全体が家事労働の担い手を無視・軽視している」という意味です。
対してマスコミのいう「家事ハラ」は家庭内の問題にとどまっています。
本書のように社会からの視点で家事労働を見ているメディアはほとんどありません。
今の日本では家事労働(家事・育児・介護)が主に母親のみに集中しています。
そのことが原因で、実は女性だけでなく男性、あらゆる世代の正社員・非正規社員にも生きづらさが蔓延しているー。
本書ではそれをわかりやすく描いています。
ただ、残念ながらこの問題は非常に地味でパッとしない。文中にも周囲の危機意識の低さが何度も登場しています。
(これが、わかりやすいニセの「家事ハラ」が蔓延してしまった原因でしょう)
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家事労働は家事・育児などの物理的な仕事だけでなく、実は家族とのふれあいの時間だったり自分への癒しの時間でもあるのです。
家事労働を通して子供の成長や家族の変化を感じ、自分の生活を見直したり今後の人生も考える事ができます。
つまり賃金労働とは根本的に種類が違うのです。
そう考えてみれば、本来すべての人間、一人ひとりに家事労働の時間が必要です。
専業主婦だろうと共働き夫婦だろうと、出世街道をひた走るエリートサラリーマンだろうと同じように必要な時間なのです。
しかし日本の社会(政府や企業)はその事実を無視し、
「家事労働のような単純な仕事は妻にやらせればいい」と家事労働の配分を一部に偏らせ
「家事労働の担い手(妻)がいるんだから、仕事に没頭できるよね」
「家事労働は簡単だから or 神聖な仕事だから単価は払わなくていいよね」という意識を蔓延させました。
その結果どうなったか。
まず「家事労働をする必要がない」とみなされた夫は家族とのふれあいどころか休息する暇もないほど異常に長時間拘束されるようになりました。「普段は子供の寝顔しか見られない」ような状態の父親が何と多い事か。
そして「大黒柱がいる」とみなされた主婦には当たり前のように家事労働が一極集中。効率重視の家事で無駄が排除され同時に余裕も失われました。
その合間を縫って賃金労働を希望しても「家事労働=単純労働」「家事労働=無賃」という理由からバカみたいな給料で買い叩かれる始末です。
家族との時間がとれず、子供も満足に見てやることができず、満足な休息の時間もなく
心に余裕がなくなり、何かあれば夫婦間で対立するようになるー。
こんな家庭崩壊ギリギリの状態で家計を維持している夫婦は日本にごまんといます。
それでもまだ、「文句を言う妻が悪い」「お手伝い気分の夫が悪い」と言うんですか?
せっかく著者が社会問題化してくれたのに、また個人の問題に引き戻すんですか?
そうじゃないでしょう。いい加減、声をあげなくてはいけない時期がきていると思います。






