実際に具体的な問題を考えるとき、倫理学の概念や立場をどんなふうに使えるのか、どこまで議論できるのかが体験できる本。体系的であることを目指してはいないが、功利主義や義務論の重要な基本的な考えやいくつかの誤謬について紹介され、哲学一般の入門としても魅力的。
筆者も書くように、倫理学の体系的な学説の勉強の前のはじめの一冊のひとつとしても勧められる。実際に、学生の方に勧められるリストに入れることにした。
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実践・倫理学 (けいそうブックス) 単行本 – 2020/2/26
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現代社会の倫理的な問題を、哲学的に考える仕方を身につけるために。泳ぎ方を習得するように、知識でなく考え方を学ぶための入門書!
倫理に正解はない、というのは本当だろうか? ないと前提するのでなく、難しい問題にも説得力のある根拠によって正しい答えを求めるのが倫理学の議論である。本書では、嘘をつくことや自殺、喫煙や肉食といったテーマをめぐって、世論や権威にまどわされず、倫理的主張の根拠のよしあしを判断する力を身につけることを目指す。
【目次】
はしがき
第1章 倫理学の基礎
1 結合性双生児のジョディとマリーのケース
2 倫理学とは何か
3 記述と規範
4 「倫理に正解はない」のか
5 倫理学の下位分類
6 直観に基づく倫理と理由に基づく倫理
第2章 死刑は存続させるべきか、廃止すべきか
1 日本の死刑制度
2 死刑制度の存廃論1──賛成論
3 死刑制度の存廃論2──廃止論
まとめ
第3章 嘘をつくこと・約束を破ることの倫理
1 嘘をついてよい場合はあるか
2 義務論の考え方
3 功利主義の考え方
まとめ
第4章 自殺と安楽死
1 自殺することは常に悪いことか
2 自殺に関するヒュームとカントの議論
3 安楽死は倫理的に許されるか
4 治療中止をどう考えるか
まとめ
第5章 他者危害原則と喫煙の自由
1 他者危害原則とパターナリズム
2 喫煙は個人の自由であるため公共空間で規制はしないという主張
3 公共空間では規制し、私的空間でしか喫煙はできないという主張
4 私的空間でも公共空間でも禁煙すべきという主張
まとめ
第6章 ベジタリアニズム
1 動物の愛護と肉食
2 肉食を正当化する論理
3 いくつかの反論と応答
まとめ
第7章 善いことをする義務
1 善行の倫理学的な位置付けについて
2 義務とは何か
3 カントによる善行の正当化
4 シンガーの援助義務論
まとめ
第8章 善いことをする動機
1 利他主義についての懐疑
2 動機は無関係という立場
3 動機は重要だと考える立場
4 人々は「やりたいことをやっている」のか
5 利他主義についての懐疑に答える
まとめ
第9章 災害時の倫理─津波てんでんこ
1 「津波てんでんこ」とは何か
2 二つの批判
3 「津波てんでんこ」は利己的な教えか
4 「津波てんでんこ」と心理的困難さ
まとめ
第10章 法と道徳
1 現代日本の法と道徳に関する理解
2 法と道徳の教科書的区別とその問題点
3 法と道徳に関するベンタムの見解
まとめ
おわりに
あとがき
引用文献一覧
注
事項索引
人名索引
コラム
倫理と道徳の関係
ギュゲスの指輪と思考実験
リバタリアン・パターナリズム
倫理に正解はない、というのは本当だろうか? ないと前提するのでなく、難しい問題にも説得力のある根拠によって正しい答えを求めるのが倫理学の議論である。本書では、嘘をつくことや自殺、喫煙や肉食といったテーマをめぐって、世論や権威にまどわされず、倫理的主張の根拠のよしあしを判断する力を身につけることを目指す。
【目次】
はしがき
第1章 倫理学の基礎
1 結合性双生児のジョディとマリーのケース
2 倫理学とは何か
3 記述と規範
4 「倫理に正解はない」のか
5 倫理学の下位分類
6 直観に基づく倫理と理由に基づく倫理
第2章 死刑は存続させるべきか、廃止すべきか
1 日本の死刑制度
2 死刑制度の存廃論1──賛成論
3 死刑制度の存廃論2──廃止論
まとめ
第3章 嘘をつくこと・約束を破ることの倫理
1 嘘をついてよい場合はあるか
2 義務論の考え方
3 功利主義の考え方
まとめ
第4章 自殺と安楽死
1 自殺することは常に悪いことか
2 自殺に関するヒュームとカントの議論
3 安楽死は倫理的に許されるか
4 治療中止をどう考えるか
まとめ
第5章 他者危害原則と喫煙の自由
1 他者危害原則とパターナリズム
2 喫煙は個人の自由であるため公共空間で規制はしないという主張
3 公共空間では規制し、私的空間でしか喫煙はできないという主張
4 私的空間でも公共空間でも禁煙すべきという主張
まとめ
第6章 ベジタリアニズム
1 動物の愛護と肉食
2 肉食を正当化する論理
3 いくつかの反論と応答
まとめ
第7章 善いことをする義務
1 善行の倫理学的な位置付けについて
2 義務とは何か
3 カントによる善行の正当化
4 シンガーの援助義務論
まとめ
第8章 善いことをする動機
1 利他主義についての懐疑
2 動機は無関係という立場
3 動機は重要だと考える立場
4 人々は「やりたいことをやっている」のか
5 利他主義についての懐疑に答える
まとめ
第9章 災害時の倫理─津波てんでんこ
1 「津波てんでんこ」とは何か
2 二つの批判
3 「津波てんでんこ」は利己的な教えか
4 「津波てんでんこ」と心理的困難さ
まとめ
第10章 法と道徳
1 現代日本の法と道徳に関する理解
2 法と道徳の教科書的区別とその問題点
3 法と道徳に関するベンタムの見解
まとめ
おわりに
あとがき
引用文献一覧
注
事項索引
人名索引
コラム
倫理と道徳の関係
ギュゲスの指輪と思考実験
リバタリアン・パターナリズム
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社勁草書房
- 発売日2020/2/26
- 寸法13.6 x 1.8 x 19.4 cm
- ISBN-104326154632
- ISBN-13978-4326154630
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
判断の難しい現代社会の倫理的な問題を、どう考え、どう判断し、どう行動すればよいのか。倫理学的な考え方を学びたい人に向けた道案内。
著者について
児玉 聡(こだま さとし)
1974年大阪府に生まれる。2002年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学博士(文学、2006年)。現在、京都大学大学院文学研究科准教授。著書:『功利と直観』(勁草書房、2010年)、『功利主義入門』(ちくま新書、2012年)、『マンガで学ぶ生命倫理』(共著、化学同人、2013年)、『終の選択』(共著、勁草書房、2017年)、『正義論』(共著、法律文化社、2019年)ほか。
1974年大阪府に生まれる。2002年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学博士(文学、2006年)。現在、京都大学大学院文学研究科准教授。著書:『功利と直観』(勁草書房、2010年)、『功利主義入門』(ちくま新書、2012年)、『マンガで学ぶ生命倫理』(共著、化学同人、2013年)、『終の選択』(共著、勁草書房、2017年)、『正義論』(共著、法律文化社、2019年)ほか。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
児玉/聡
1974年大阪府に生まれる。2002年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学、2006年)。現在、京都大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1974年大阪府に生まれる。2002年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学、2006年)。現在、京都大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 勁草書房 (2020/2/26)
- 発売日 : 2020/2/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 304ページ
- ISBN-10 : 4326154632
- ISBN-13 : 978-4326154630
- 寸法 : 13.6 x 1.8 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 88,947位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年8月11日に日本でレビュー済み
興味の湧く具体的なトピックについて丁寧な議論が展開されている、とても良い本である。
ただ、動物倫理や善行義務についての解説は、若干の違和感が残る。
たぶんそれは、これらのトピックについての本書の記述が、ピーター・シンガーに依拠しつつも、シンガー流の功利主義のキモである、「望ましい行為/望ましくない行為」と「称賛される行為/非難される行為」の区別を明確に説明していないためではないか。
現在のシンガーの立場によれば、ベジタリアンになることや余剰財産を全て途上国に寄付することが倫理的に最も望ましく、そうする人は大いに称賛されるべきであるが、そうしない人が必ずしも非難に値するわけではない。
称賛や非難は、一般人の平均的な行動と比べて望ましい行為をしているかどうかを基準に判断され、たとえば現代の日本社会では肉食は極めて一般的な習慣だから、毎日欠かさず焼肉屋に行くような人は別として、ふつうに日々の食事で肉を食べる程度では道徳的な非難の対象とはならない。
本書の記述ではこの辺の区別が曖昧なので、ともすると、肉を食べることや途上国に寄付しないこと自体が、道徳的な非難の対象になるという意味での「悪いこと」だと主張しているようにも読めてしまう。
社会の大多数の人々に罪人の烙印を押すような倫理学説は、出家僧のための戒律にはなり得ても、世論を動かし社会を変える実践的な意義を持つ主張とはなり得ないだろう。
繰り返しになるが、全体としては、とても良い本である。
ただ、動物倫理や善行義務についての解説は、若干の違和感が残る。
たぶんそれは、これらのトピックについての本書の記述が、ピーター・シンガーに依拠しつつも、シンガー流の功利主義のキモである、「望ましい行為/望ましくない行為」と「称賛される行為/非難される行為」の区別を明確に説明していないためではないか。
現在のシンガーの立場によれば、ベジタリアンになることや余剰財産を全て途上国に寄付することが倫理的に最も望ましく、そうする人は大いに称賛されるべきであるが、そうしない人が必ずしも非難に値するわけではない。
称賛や非難は、一般人の平均的な行動と比べて望ましい行為をしているかどうかを基準に判断され、たとえば現代の日本社会では肉食は極めて一般的な習慣だから、毎日欠かさず焼肉屋に行くような人は別として、ふつうに日々の食事で肉を食べる程度では道徳的な非難の対象とはならない。
本書の記述ではこの辺の区別が曖昧なので、ともすると、肉を食べることや途上国に寄付しないこと自体が、道徳的な非難の対象になるという意味での「悪いこと」だと主張しているようにも読めてしまう。
社会の大多数の人々に罪人の烙印を押すような倫理学説は、出家僧のための戒律にはなり得ても、世論を動かし社会を変える実践的な意義を持つ主張とはなり得ないだろう。
繰り返しになるが、全体としては、とても良い本である。