胸糞悪いと少しきつめの表現を使ってしまうが、読み手がこう感じることを想定して描かれているとしたら市川春子先生には脱帽だ。
以下、ネタバレを含みます。
私は9巻あたりを読んでから宝石たちへの見方がガラリと変わった。
エクメアに仕組まれていたこととはいえ、フォスは宝石も月人もアドミラビリスも全てのもの達を救おうと考え、努力し、遂に月にまでやってきた。その際に連れてきた数人の仲間たちは月での生活を気に入り、依然として金剛を祈らせるために葛藤するフォスを他所に戦いを忘れ平和にぬくぬくと暮らしていく。その様になんともいえない嫌悪感を覚えた。なんて冷たく非情だろう。今まで読んできた中では、兄弟を愛したり、金剛を大切に思ったりする宝石達を、優しくあたたかい生き物達だと感じていた。だが、大きな決断に迫られひとり傷ついていくフォスに対し、それを全く顧みない月の宝石達は一体何だ?
自分と自分の周りさえ良ければ、三種族の命運も苦しむ仲間のこともどうでもいいということか。
かつて仲間だったもの達に捕らえられ、フォスは数百年の孤独を強いられる。その事を知りながら誰も救いの手は差し伸べず、ただ与えられた平穏を享受するだけだった。
はっきり言ってしまうと、私は月に行った宝石達も地上に残った宝石達も、全員嫌いになってしまった。あまりにも思慮がなく、どこまでも排他的だ。
なぜ、全てのわだかまりの根源を絶たんとするフォスが憎まれなければならないのか。とても悔しい。
ここまでではただのキャラクター達への悪口のようになってしまったが、決してこの作品を批判したい訳ではない。むしろここまで読者の心境をどす黒く塗りつぶす展開を絶賛したい。
フォスが月にたどり着くまでは、多くの謎が散りばめられたこの美しい物語にときめき、真相に近づいていくことに胸を高鳴らせながら読んでいた。しかし、宝石達の対立によって、純粋にハッピーエンドを望んでいた私の心は裏切られてしまった。
それでもページをめくる手を止めることは出来ず、今となってはいっそ全員が不幸になってしまえばいいとさえ思いながら、静かにこの物語を見届けようとしている。
もしかすると、今後この救いのない話に希望が持てる瞬間が訪れるかもしれない。だが、今感じている怒りや不快感を忘れることは出来ないだろう。
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宝石の国(11) (アフタヌーンコミックス) Kindle版
-
言語日本語
-
出版社講談社
-
発売日2020/7/20
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ファイルサイズ63194 KB
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商品の説明
著者について
市川 春子
投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集 2』がマンガ大賞2012の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。 --このテキストは、comic版に関連付けられています。
投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集 2』がマンガ大賞2012の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。 --このテキストは、comic版に関連付けられています。
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.8
星5つ中の4.8
451 件のグローバル評価
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年7月20日に日本でレビュー済み
美しく、儚く、苛烈な戦いを描く世界。多くの強く輝ける宝石達の中に、綺麗で可愛いだけだったフォスはいました。
短絡的で愚かであるものの、自分を認めてほしくて走り続けたフォスフォフィライト。
彼/彼女は多くの宝石に愛(玩)され、守られ、その度に誰かの身体とフォスの心は砕けてきました。
愛されるだけではなく、認められたかったのですね。
そうしてこれまでに沢山の兄弟姉妹が傷つき倒れました。
それでもがむしゃらに駆け抜けたフォスフォフィライトの辿り着いた地点。
そこは、地獄より深くて暗いと思わせるところでした。
ただ絶望と悲しみ以外に何もありませんでした。
どうしてこうなってしまったのだろうと、1ページ毎に思わされます。
この月曜日の夜に読むものではありません。
フォスが感じた絶望も、みんなの感じた悲しみも、すべてそのまま心に突き刺さってきます。
とてもじゃありませんが、軽率に友達にお勧めできません。
でもとりあえず虚淵玄を観れるタイプの友達にはお勧めしておきました。
それと、コミックの帯は保管しない派の人間ですが、今作につきましてはきっちり保管しようと思います。
今作も心に刺さって傷がつく作品です。
市川先生には頭が上がりません。
助けてください。
短絡的で愚かであるものの、自分を認めてほしくて走り続けたフォスフォフィライト。
彼/彼女は多くの宝石に愛(玩)され、守られ、その度に誰かの身体とフォスの心は砕けてきました。
愛されるだけではなく、認められたかったのですね。
そうしてこれまでに沢山の兄弟姉妹が傷つき倒れました。
それでもがむしゃらに駆け抜けたフォスフォフィライトの辿り着いた地点。
そこは、地獄より深くて暗いと思わせるところでした。
ただ絶望と悲しみ以外に何もありませんでした。
どうしてこうなってしまったのだろうと、1ページ毎に思わされます。
この月曜日の夜に読むものではありません。
フォスが感じた絶望も、みんなの感じた悲しみも、すべてそのまま心に突き刺さってきます。
とてもじゃありませんが、軽率に友達にお勧めできません。
でもとりあえず虚淵玄を観れるタイプの友達にはお勧めしておきました。
それと、コミックの帯は保管しない派の人間ですが、今作につきましてはきっちり保管しようと思います。
今作も心に刺さって傷がつく作品です。
市川先生には頭が上がりません。
助けてください。
2020年7月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
10巻を読んだときに「誰でもいいからフォスを救ってやってくれ」と心の底から願った。
11巻ではせめてもう少しは状況が好転しているはずと思ったが(半分は自分の願望)、まさか10巻以上に絶望が待っているとは思わなかった。
途中からあまりにしんどくて泣いてしまった。11巻はそんな内容です。
月へ向かった宝石たちが変わったように、地上に残った宝石たちも変わった。フォスが一番最初、心に抱えていたはずの願い(シンシャ)は、フォスがいなくなった途端に彼のあずかり知らないところで叶えられ、その次の心の底からの願い(アンターク)は自分自身で粉々にしてしまった。
一部例外はあれど、フォス以外の宝石たちは皆それぞれの環境や状況を受け入れて相応の幸福を手に入れている。
私は、というか読む側は人間なので、フォスに巻き込まれた宝石たちより、地上に残った宝石たちより、フォスに感情移入してしまう。カンゴームだって事情はあるのに、どうしてもいまだに「フォスの味方であってほしかった」とさえ思ってしまう。
ある意味、フォスの感情や思考を理解した上での味方はもう読者しかいないんだろうなと思った。
フォスが人間になってしまったから。
11巻ではせめてもう少しは状況が好転しているはずと思ったが(半分は自分の願望)、まさか10巻以上に絶望が待っているとは思わなかった。
途中からあまりにしんどくて泣いてしまった。11巻はそんな内容です。
月へ向かった宝石たちが変わったように、地上に残った宝石たちも変わった。フォスが一番最初、心に抱えていたはずの願い(シンシャ)は、フォスがいなくなった途端に彼のあずかり知らないところで叶えられ、その次の心の底からの願い(アンターク)は自分自身で粉々にしてしまった。
一部例外はあれど、フォス以外の宝石たちは皆それぞれの環境や状況を受け入れて相応の幸福を手に入れている。
私は、というか読む側は人間なので、フォスに巻き込まれた宝石たちより、地上に残った宝石たちより、フォスに感情移入してしまう。カンゴームだって事情はあるのに、どうしてもいまだに「フォスの味方であってほしかった」とさえ思ってしまう。
ある意味、フォスの感情や思考を理解した上での味方はもう読者しかいないんだろうなと思った。
フォスが人間になってしまったから。
2020年7月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
11巻まで通して読んでみて思ったことは
フォスの『人の一生』とりわけ情緒の移り変わりを描いているように感じました。
自分の欲するところを欲し、それを他人のために為そうとするようになりながらも上手くいかず
段々と智恵も授かり上手く立ち回ろうとするも結果は芳しくも無く。
今は、社会の仕組み(しかもあまり宜しくない闇の部分)を知り
自暴自棄になりかけのティーンエイジャーの時期、みたいな。
あれっ…フォスはかなり険しい道を歩まされているのか?
今後フォスがどのような人生を歩み、
どんな大人になってゆくのか楽しみでもあり恐ろしくもあります。
願わくばあのゆりかごの中の幸せだった頃のようになれれば、と切に思いますが
多分彼はエクメア達月人が欲するところの『無』になってしまうのだろうな、と想像しました。
56億7千万年後位に。
フォスの『人の一生』とりわけ情緒の移り変わりを描いているように感じました。
自分の欲するところを欲し、それを他人のために為そうとするようになりながらも上手くいかず
段々と智恵も授かり上手く立ち回ろうとするも結果は芳しくも無く。
今は、社会の仕組み(しかもあまり宜しくない闇の部分)を知り
自暴自棄になりかけのティーンエイジャーの時期、みたいな。
あれっ…フォスはかなり険しい道を歩まされているのか?
今後フォスがどのような人生を歩み、
どんな大人になってゆくのか楽しみでもあり恐ろしくもあります。
願わくばあのゆりかごの中の幸せだった頃のようになれれば、と切に思いますが
多分彼はエクメア達月人が欲するところの『無』になってしまうのだろうな、と想像しました。
56億7千万年後位に。
2020年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
嫌悪がわくばかりの話が続く巻。
この漫画で語られている内容の全てに懐疑的になってきた。
エクメアや金剛が言う、宝石の優しさだの純粋さだのに「一体どこが?」
としか思えなくなってきた。
寿命のない彼らは何事も諦められない、とルチルがかつて言っていた。
それは煩悩を捨て去れず悟りに至れない人間と何が違うのか。
生きるために同族を食らうことも厭わないアドミラビリス、一つの考えに凝り固まったままの宝石、目的のために何を犠牲にしようが構わない月人。
どれも皆、汚らわしく醜い。彼らの祖の人間と同じように。
宝石を美しいと讃えている月人や金剛が根本的に履き違えた愚者にしか見えない。 何千年も何万年も同じ事を繰り返すだけだった宝石ー月人の関係は思考停止しているだけ。そんだけ長い間存在してきたくせに、ただの置物よろしく
なーんも変わらない関係に甘んじてきただけ。その関係に唯一、変化をもたらしたフォスの尻馬に乗っかって都合よく利益を享受するだけの頭空っぽな宝石とコンちゃんとやらとおままごとじみた楽しい日々に流されるままの宝石。
こんなのをもてはやす一般月人。搾取される肉塊に落ちぶれたアドミラビリス。 全部滅んだ方がいいよ、こんなやつら。
この作者はハッピーエンドの話を描いたこと少ないし、さっさと虚無エンド描いて終わらせてくれて結構ですわ。
この漫画で語られている内容の全てに懐疑的になってきた。
エクメアや金剛が言う、宝石の優しさだの純粋さだのに「一体どこが?」
としか思えなくなってきた。
寿命のない彼らは何事も諦められない、とルチルがかつて言っていた。
それは煩悩を捨て去れず悟りに至れない人間と何が違うのか。
生きるために同族を食らうことも厭わないアドミラビリス、一つの考えに凝り固まったままの宝石、目的のために何を犠牲にしようが構わない月人。
どれも皆、汚らわしく醜い。彼らの祖の人間と同じように。
宝石を美しいと讃えている月人や金剛が根本的に履き違えた愚者にしか見えない。 何千年も何万年も同じ事を繰り返すだけだった宝石ー月人の関係は思考停止しているだけ。そんだけ長い間存在してきたくせに、ただの置物よろしく
なーんも変わらない関係に甘んじてきただけ。その関係に唯一、変化をもたらしたフォスの尻馬に乗っかって都合よく利益を享受するだけの頭空っぽな宝石とコンちゃんとやらとおままごとじみた楽しい日々に流されるままの宝石。
こんなのをもてはやす一般月人。搾取される肉塊に落ちぶれたアドミラビリス。 全部滅んだ方がいいよ、こんなやつら。
この作者はハッピーエンドの話を描いたこと少ないし、さっさと虚無エンド描いて終わらせてくれて結構ですわ。
2020年7月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
星5をつけたい気もするけれど、星4で。なぜなら私のおつむでは理解出来なさすぎて辛いから。なんかもうよくわからない。
シンシャが幸せそうでよかったと思う反面、あれ?シンシャ、今まで一人で暮らす必要なかったんじゃない?ってくらい普通にみんなと生活出来てるんですよね。今までのシンシャの孤独は何やったん・・・ってどうしても思ってしまう。
それと、エクメアがカンゴームを月に来る前からどうたらこうたらの理由があまり納得いかない。
シンシャが幸せそうでよかったと思う反面、あれ?シンシャ、今まで一人で暮らす必要なかったんじゃない?ってくらい普通にみんなと生活出来てるんですよね。今までのシンシャの孤独は何やったん・・・ってどうしても思ってしまう。
それと、エクメアがカンゴームを月に来る前からどうたらこうたらの理由があまり納得いかない。
他の国からのトップレビュー

Sarah
5つ星のうち5.0
Great service
2020年11月3日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
This arrived earlier than expected and in great condition! The Japanese editions are slightly smaller than the English, but have a beautiful holographic cover.