全体を通して面白く一気読みしてしまいました。
時代物だからと固く考える必要はなく、気軽に読めるなかなかの娯楽でした。
それだけに紙面の大半を占めた「穴掘り隊」の皆さんの苦労が報われなかったり、豪傑風の武士が全然活躍しなかったり、なにより脱走手段が最後の方で初登場(私が伏線を見逃しているとも言えるがそりゃないよーと言いたい)と、
少しずつ惜しいように思いました。是非同じテイストの次回作も読みたいです。
蛇みたいにしつこい敵役はいい味出てました。
大老は実はいい人だろという期待ははかなく散りましたが、これもまた味であるか。
安政五年の大脱走 (幻冬舎文庫) (日本語) 文庫 – 2005/4/1
五十嵐 貴久
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
-
本の長さ494ページ
-
言語日本語
-
出版社幻冬舎
-
発売日2005/4/1
-
ISBN-104344406362
-
ISBN-13978-4344406360
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
安政五年、井伊直弼に謀られ、南津和野藩士五十一人と、美しく才気溢れる姫・美雪が脱出不可能な絖神岳山頂に幽閉された。直弼の要求は姫の「心」、与えられた時間は一カ月。刀を奪われ、逃げ道を塞がれた男達は、密かに穴を掘り始めたが、極限状態での作業は困難を極める…。恋、友情、誇りが胸を熱くする、痛快!驚愕!感動の娯楽大作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
五十嵐/貴久
1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業後、出版社に入社。2001年「リカ」で第二回ホラーサスペンス大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業後、出版社に入社。2001年「リカ」で第二回ホラーサスペンス大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2005/4/1)
- 発売日 : 2005/4/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 494ページ
- ISBN-10 : 4344406362
- ISBN-13 : 978-4344406360
-
Amazon 売れ筋ランキング:
- 472,041位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,921位幻冬舎文庫
- - 6,869位歴史・時代小説 (本)
- - 14,480位日本文学
- カスタマーレビュー:
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.6
星5つ中の3.6
25 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2008年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この人の本にしては珍しく江戸時代末期が舞台となっている。当時、我が世の春を謳歌していた井伊直弼に意中の姫がおり、ところがどうしても自分の方を振り向いてくれないため、その姫が属する藩の藩士もろとも脱出がほとんど不可能とされる断崖絶壁の山頂に幽閉し、力ずくで自分の方を向かせようとするストーリー。それに対して、藩士たちはその山頂からの脱出を試みるのだが、その試行錯誤の過程をじっくりと書いている。時代設定は違えど、「フェイク」など他の小説とスピード感、展開は似ている。エンターテイメント系の小説としてはなかなかいい線をいっているのではないか。
2007年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
多少無理はあると思うが、よくできた設定で、井伊直弼と側近、南津和野藩の姫君と藩士たちの人物描写もうまい(設定が無理というより、冒頭に付けられた「俯瞰図」がわざとらしいんだと思う。図面なしで、読者の想像力に委ねるべきだったのでは?)。
絶体絶命の状況から、1か月で脱出できるか、サスペンスもしっかり効いている。クライマックスの脱出方法も周到に伏線を張った見事なもので、娯楽作としては、ほぼ満点の出来だと思う。
時代小説なので、隠された裏の真相があるかもしれない(設定自体が何かのトリックだとか)、というような余計な心配をせずに気楽に読めるのもいい。
一作ごとに違う題材で読者を驚かせる才人、五十嵐貴久が時代小説にジャンルを広げた意欲作。しかも完成度が高くてさすがだと思う。時代小説専門の作家でも、なかなかここまで書けないだろう。
ただ一点、非常に残念なのが、エピローグで「享年」の使い方を間違えていること。現代が舞台なら目くじら立てることもないが、時代小説だからなあ。
しかも、カッコつけて決めようとしている箇所だけに…。
歌舞伎役者が見得を切ったら、コケてしまったようなもので、読後感は爽やかさに「苦笑い」が混じってしまった。作品自体が面白いだけに本当に残念。
絶体絶命の状況から、1か月で脱出できるか、サスペンスもしっかり効いている。クライマックスの脱出方法も周到に伏線を張った見事なもので、娯楽作としては、ほぼ満点の出来だと思う。
時代小説なので、隠された裏の真相があるかもしれない(設定自体が何かのトリックだとか)、というような余計な心配をせずに気楽に読めるのもいい。
一作ごとに違う題材で読者を驚かせる才人、五十嵐貴久が時代小説にジャンルを広げた意欲作。しかも完成度が高くてさすがだと思う。時代小説専門の作家でも、なかなかここまで書けないだろう。
ただ一点、非常に残念なのが、エピローグで「享年」の使い方を間違えていること。現代が舞台なら目くじら立てることもないが、時代小説だからなあ。
しかも、カッコつけて決めようとしている箇所だけに…。
歌舞伎役者が見得を切ったら、コケてしまったようなもので、読後感は爽やかさに「苦笑い」が混じってしまった。作品自体が面白いだけに本当に残念。
2013年3月21日に日本でレビュー済み
最初にこの小説の欠点を書いておく。
私は歴史は好きな方だし、司馬遼太郎などの作品も読むので、違和感は感じなかったが、日本史が苦手という人には読みにくい作品かもしれない。
例えば、彦根藩・南津和野藩、それから佐幕派・攘夷派などとといった用語、歴史的背景など、そのような人達には解りづらいことだらけだと思う。
しかし、他の作者の作品にも負けない素晴らしい作品だと思う。
まず、内容についてだがネタバレしてしまうので突っ込んだことは言えないが、ただひとつ大脱走劇の結末に驚かされることだけは言っておく。
それよりもこれから読もうとしている人に覚えておいてほしいのは、この作品五十嵐貴久の信念が込められた作品だということだ。
それは、一言で言うと「金や力よりも大事なことがある」ということ。
これは『誘拐』や『パパママムスメの10日間』など他の作品を読んだときにも感じたことだけど、金や権力が物をいった江戸末期という時代を描いているだけに余計にそれが感じられた。
他の五十嵐貴久作品が好きな人には是非読んでほしい。
またこれが初めてという人には、他の作品もお勧めしたい。
私は歴史は好きな方だし、司馬遼太郎などの作品も読むので、違和感は感じなかったが、日本史が苦手という人には読みにくい作品かもしれない。
例えば、彦根藩・南津和野藩、それから佐幕派・攘夷派などとといった用語、歴史的背景など、そのような人達には解りづらいことだらけだと思う。
しかし、他の作者の作品にも負けない素晴らしい作品だと思う。
まず、内容についてだがネタバレしてしまうので突っ込んだことは言えないが、ただひとつ大脱走劇の結末に驚かされることだけは言っておく。
それよりもこれから読もうとしている人に覚えておいてほしいのは、この作品五十嵐貴久の信念が込められた作品だということだ。
それは、一言で言うと「金や力よりも大事なことがある」ということ。
これは『誘拐』や『パパママムスメの10日間』など他の作品を読んだときにも感じたことだけど、金や権力が物をいった江戸末期という時代を描いているだけに余計にそれが感じられた。
他の五十嵐貴久作品が好きな人には是非読んでほしい。
またこれが初めてという人には、他の作品もお勧めしたい。
2011年2月11日に日本でレビュー済み
痛快時代劇という言い方があるが、その実なかなか本当に痛快と思えるものはない。
時代劇といっても生易しくはないのだ。
その点本書は、かなりそれに近いものを達成しえたものだろうと思う。楽しい読書だった。
何とあの井伊直弼が、不遇だった若い頃、とある姫君に懸想、
想いを遂げさせるべく腹心長野主膳が動いて、
あり得ないような脱出困難な山上に、
姫ともどもそも無辜なる郎党50余名を幽閉、
この50名が誇りをかけて大脱走を試みるという話。奇想である。
あとの展開はまさに安政のプロジェクトX。
解説にもいうように映画の『大脱走』ほか、『パピヨン』とか『アルカトラズ』とか、
不可能な脱出への挑戦、というのがモチーフになっている。
諸々の人物像も魅力的でかなり面白いが、
あえて難を言えば、残念ながら終わりで画竜点睛を欠いた印象。
この種の物語は結末が一番難しいわけで、もちろん趣向を凝らしてはあるのだが、
途中までの迫力に比べてそれにふさわしい終わりを演出しきれなかったように感じた。
とはいえ十分水準以上。読んで損はないと思う。
時代劇といっても生易しくはないのだ。
その点本書は、かなりそれに近いものを達成しえたものだろうと思う。楽しい読書だった。
何とあの井伊直弼が、不遇だった若い頃、とある姫君に懸想、
想いを遂げさせるべく腹心長野主膳が動いて、
あり得ないような脱出困難な山上に、
姫ともどもそも無辜なる郎党50余名を幽閉、
この50名が誇りをかけて大脱走を試みるという話。奇想である。
あとの展開はまさに安政のプロジェクトX。
解説にもいうように映画の『大脱走』ほか、『パピヨン』とか『アルカトラズ』とか、
不可能な脱出への挑戦、というのがモチーフになっている。
諸々の人物像も魅力的でかなり面白いが、
あえて難を言えば、残念ながら終わりで画竜点睛を欠いた印象。
この種の物語は結末が一番難しいわけで、もちろん趣向を凝らしてはあるのだが、
途中までの迫力に比べてそれにふさわしい終わりを演出しきれなかったように感じた。
とはいえ十分水準以上。読んで損はないと思う。
2008年5月29日に日本でレビュー済み
器用な作家である。今まで『リカ』、『交渉人』、『Fake』と読んできたが
一作ごとに異なった題材を取り上げている。しかし、その器用さ故か、
作品をこねくり回してしまい、結果として、落ちに鋭さを欠く傾向があ
るのではないだろうか。本作でもその傾向が当てはまる。
敵味方のキャラクターは良く書けているし、スピード感のある展開で、
娯楽作としては充分楽しめる。ただ、かなり強引なストーリー展開や
舞台装置で、脱走劇を書きたかっただけでは無いかという気もする。
一ヶ月というタイムリミットがある中で、数々の障害を乗り越え脱出
を試みる南津和野藩士には感情移入できる。しかし、愚直に穴を
掘る南津和野藩士を応援していた分だけ、読者が望んでいたのは
「意外な結末」では無く「達成感」だったのでは無いだろうか。
一作ごとに異なった題材を取り上げている。しかし、その器用さ故か、
作品をこねくり回してしまい、結果として、落ちに鋭さを欠く傾向があ
るのではないだろうか。本作でもその傾向が当てはまる。
敵味方のキャラクターは良く書けているし、スピード感のある展開で、
娯楽作としては充分楽しめる。ただ、かなり強引なストーリー展開や
舞台装置で、脱走劇を書きたかっただけでは無いかという気もする。
一ヶ月というタイムリミットがある中で、数々の障害を乗り越え脱出
を試みる南津和野藩士には感情移入できる。しかし、愚直に穴を
掘る南津和野藩士を応援していた分だけ、読者が望んでいたのは
「意外な結末」では無く「達成感」だったのでは無いだろうか。
2005年4月23日に日本でレビュー済み
江戸幕府大老・井伊直弼によって、小藩の姫と藩士51名が、切り立った山頂の砦へ幽閉された。逃走までの期間は一ヶ月。藩士達は、決死の脱走を試みる。
正直なところ、私はあまり日本史に明るくないこともあるのだけれども、井伊直弼のキャラクターだとかにちょっと戸惑った。名君として名高い井伊直弼が、これじゃまるでバカ殿だ(苦笑)。
…というのはあるのだけれども、単純に「エンタテインメント作品」として考えれば、十分に面白い。タイトル、それに脱出の手段であるとかは、S・マックイーン主演の映画『大脱走』に影響されているのは間違い無いだろうが、幕末の日本という舞台、当時の武士達と言うキャラクター造形であるとかで、映画『大脱走』とは異なった味わいがある。こういうのもアリだろう。良いんじゃないだろうか。
正直なところ、私はあまり日本史に明るくないこともあるのだけれども、井伊直弼のキャラクターだとかにちょっと戸惑った。名君として名高い井伊直弼が、これじゃまるでバカ殿だ(苦笑)。
…というのはあるのだけれども、単純に「エンタテインメント作品」として考えれば、十分に面白い。タイトル、それに脱出の手段であるとかは、S・マックイーン主演の映画『大脱走』に影響されているのは間違い無いだろうが、幕末の日本という舞台、当時の武士達と言うキャラクター造形であるとかで、映画『大脱走』とは異なった味わいがある。こういうのもアリだろう。良いんじゃないだろうか。