赤ちゃんはお母さんを選んで生まれてくる。これは多くの子どもたちが語ることです。現在では多くの妊婦さんがこのことを知っているように思われますが、まだまだ知らない方も大勢おられます。本書は、このことを知っている方にも知らない方にも読んでいただけるように配慮しています。原文にできるだけ近い形で子どもたちの記憶を提示しています。
抜粋
赤ちゃんを亡くした悲嘆は、はかりしれないほど大きいものです。け
れど、赤ちゃんは決して、お母さんを悲しませたいわけではありません。
赤ちゃんは、お母さんやお父さんを苦しませるために生まれてきたわけではない
のです。たとえ短い一生でも、その瞬間を生きていたことを認められ、誉めても
らいたいと思っています。そして、お母さんやお父さんが自分の命を通して幸せ
になり、輝いてほしいと願っているのです。
赤ちゃんを亡くすことではじめて、人生を見つめ直すこともあるでしょう。亡く
なった赤ちゃんは、「家族の流す涙」「親子の絆」「命の大切さ」「思いやり」
などを教えてくれます。お母さんだけではなく、お父さんやきょうだい、祖
父母、そして医者、看護師、助産師など、お産に関わったすべての人に、それぞ
れ違うメッセージを残していくのです。その意味では、自ら積極的に死産を選
び、何かを伝えようとしている赤ちゃんもいるように思えてなりません。
流産や死産の後、亡くなった赤ちゃんの存在を身近に感じて、
「赤ちゃんがにこにこ笑っていて、幸せそうに遊んでいるイメージが浮かぶんで
す。私はこんなに悲しいのに、どうしてでしょうか」
というお母さんは、たくさんいます。赤ちゃんは、おなかに宿れただけでこのう
えなく嬉しいのです。その心を、お母さんに感じとってもらいたいのかもしれま
せん。
悲しみから癒され、喜びを感じることを、赤ちゃんへの裏切りのように思うお母
さんもいるようです。けれど、「悲しみと共に生きればいい」という言葉は、優
しく聞こえますが、赤ちゃんが本当に望んでいることとは違うはずです。
赤ちゃんは、お母さんにメッセージを受けとってもらいたいのです。このお母さ
んならわかってくれると信じて、命をかけてこの世にやってきたのですから、ど
うかその期待に応えてあげてほしいと思います。
著者について
著者紹介
1954年東京都生まれ。帝京大学医学部大学院卒。医学博士。上尾中央総合病院
産婦人科部長を経て、1989年横浜市に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記
憶について研究を進める産婦人科医として、マスコミでも取り上げられること
が多く、講演などにも活躍中。
またより良いお産を目指して、親子や家族が豊かな人生を送ることが出来るよ
う、クリニックや講演等でお産の楽しさ、素晴らしさを伝えている。トマス・
バーニー医博が創立し、デーヴィッド・チェンバレン医博らも所属する、アメリ
カ出生前・周産期心理学協会(APPPAH)会員。著書に、『ママのおなかをえらん
できたよ』『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』(リヨン社刊)
『おなかの中から始める子育て』(サンマーク出版)『生まれる前からの子育
て』(学陽書房)等がある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
池川/明
1954年東京都生まれ。帝京大学医学部大学院卒業。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究をすすめる産婦人科医として、マスコミ等に取り上げられることが多く、講演等にも活躍中。胎内記憶の研究の第一人者として知られ、母と子の立場に立ったお産と医療をめざしている。「出生前・周産期心理学協会(Association for Pre&Perinatal Psychology and Health,APPPAH)」の日本におけるアドバイザー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)