解説本ではなく、アドラーの原著(本人は書いてないようだが)に当たりたいと
このシリーズをいくつか読んだが、この本も元々がそうなのか翻訳のせいか、霧
がかかったような文章で読みやすくはない。ただ、アドラー心理学を具体例を挙
げて述べている点が興味深かった。
構成は、12人の子どもについて、「症例報告」と「カウンセリング」を記述する
というもので、一人一人の問題点と対策が語られているが、共通点は多い。要は、
親が甘やかすことで社会性を身につけられなかった子どもを、親や学校が共同体
感覚を得られるよう勇気づけてあげるというものだ。また、問題を抱える子ども
自身に、誤った動機で動いていることを知らせることで、適切なライフスタイル
に修正させることも試みている。
気になった言葉を引用してみる。
・「トラブルのすべては、あなたが十分勇気がないからです。」
・やさしい課題を出し、勉強するよう勇気づけることで、「自分は実際には価値の
ある生徒になれるということを示すことが教師の仕事である。」
・「あなたが好きなように子どもを愛することはできるが、依存的にさせてはいけ
ない。あなたは子どもを自立した存在として機能させる義務があり、一番最初か
ら子どもをこのようにできるように訓練することから始めなければならない。」
・「学校は社会の進歩の中心にならなければならない。学校はすべての社会改革の
出発点である。」
・「自分が劣っていると感じている限り、彼は責任を受け入れないだろう。責任を
取るということと勇気があることの訓練は同じ全体の部分である。」
改めて思ったのは、岸見氏の解説本からはアドラーが原因をふり返らず、前だけを
見る目的論者だとの印象を与えられるが、アドラー自身の本からは原因を掘り下げ
た上で対策を練ろうとしているように読めるということだ。ただし、巻末の岸見氏
の、
「どんな子どもも最初から問題を起こすはずはない。親が子どもに適切に関わらなけ
れば子どもが自分や世界について誤った見方(ライフスタイル)を持つことになる」
との言葉は、この本をうまく要約していると思った。
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