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子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から (日本語) 単行本 – 2017/4/17

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商品の説明

メディア掲載レビューほか

英国社会の底辺 生活保護打ち切りで生まれた“未来のない"子どもたち

英国の保育所で働いていた日本人女性による英国社会の「底辺」についてのレポート。すべての人に読んで欲しいが、その余裕がない人のために、心に残った二点だけ書きとめておく。

「アンダークラス」という言葉をこの本ではじめて知った。「ゆりかごから墓場まで」の英国の社会福祉制度が生み出した「就業せずに生活保護をもらいながら生活している人々」のことである。伝統的な階級対立のさらに下に位置する「新たな階級」である。親子三代にわたって生活保護で暮らしているということになると、それはもう固有の文化、固有の生活規範を持つ、独立した社会集団と言わねばならないだろう。「『希望』というものをまったく与えられずに飯だけ与えられて飼われ」たこのクラスの人々は「金と引き換えに、それより大事なものを奪われてしまった」。自尊心を失った人々の心身がどれほど荒廃するかについては、本書に無数の症例があげられている。

生活保護など打ち切って、「アンダークラス」にも労働させろという声が当然上がってきた。保守党政権は二〇一〇年以来、福祉への支出を大幅に削減した。「生活保護受給者の締めつけを派手に行うことによって支持率を維持しようとした」のである。

事情は日本と同じだ。社会福祉先進国であった英国においてさえ、一方で社会福祉制度の受益者たちは底なしのモラルハザードを起こし、他方にそんな連中は餓死しても自己責任だと言い放つ人間が登場しているのである。

だが、保守党による福祉の停止は何の解決ももたらさなかった。事態はさらに悪化しただけだった。生活保護の受給停止の最大の被害者は受給者の子どもたちだったからである。子どもたちは、公的支援を失うことで、住むところを失い、食べるものも身にまとうものにも事欠き、絶望し荒れ狂う親たちの暴力によって心身に回復不能の傷を負った。

だから、親たちがどれほど問題を抱えていても、社会復帰の可能性が低くても、それでも子どもたちへの支援を止めるべきではないと著者は考える。

社会福祉というのは弱者自身のためというよりその子どもたちのためのものだという考え方を私はこの本に教えられた。子どもたちに親の責任を引き継がせてはならない。子どもたちにはつねに社会的上昇のチャンスを確保しておかなければならない。「子どもや若者を育てない社会はノー・フューチャー。というかスーサイダルでさえある」という言葉に私は同意の一票を投じる。

評者:内田 樹

(週刊文春 2017.07.13号 掲載)

子どもたちの階級闘争―ブロークン・ブリテンの無料託児所から

英国・ブライトンに20年以上住む著者が、保育士として関わった、「全国最悪の水準」にある託児所での見聞録。

最下層の子どもたちに未来をと一人の女性がつくった託児所で、かつては白人の最下層とインテリ・ヒッピー、それに移民の親子が共生していた。しかし生活保護や失業保険がカットされ、英国人の利用者が激減したのち、とうとう託児所さえもが姿を消す。未来に希望を持てる移民の子どもたちのほうが、英国人最下層の子どもたちよりも幸福に見える皮肉と、貧困の広がり。勤勉で上昇志向の強い移民の母親のスパルタ式育児が、「野蛮な文化圏の人々の児童虐待」とみなされる危険性。子どもがきれいな金色に塗った、「マミイが流しに捨てたビールの色」あるいは「おしっこ」の絵。軽妙な筆致で社会の暗部を鋭く描く。

評者:西條博子

(週刊朝日 掲載)

出版社からのコメント

UKの貧困地区にある託児所に視点を置き、社会の分断を鋭敏に綴った、在英20年余の保育士ライターが放つ、渾身の一冊。新潮ドキュメント賞受賞作。 定価(本体2,400円+税)<

出版社より


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