作者は本名をフィリス・ジェイムズといい、内務省に公務員として勤めるかたわら、早朝と週末に趣味としてミステリを執筆するという1970年代に活躍したイギリスの作家でした。詩人としても名が知れているという設定をもつスコットランド・ヤード(警視庁)のアダム・ダルグリッシュ警視を探偵役とするシリーズを創始しました。P・D・ジェイムズはこのダルグリッシュに超人的な洞察力を備えさせず、素人の素直な努力の延長であるプロの警察官として鍛えられた推理力だけをもたせています。
本書はダルグリッシュ・シリーズとしては番外編ともいえる"An unsuitable job for a woman"(1972年)の翻訳です。評論家の植草甚一氏が1974年の『ミステリ・マガジン』誌のコラムでさっそく紹介し、「こんなにも謙虚な推理作家はいなかった」とたたえています。主人公は探偵として経験も資格もない22歳の女性コーデリア・グレイ。病を苦にして自殺したパートナーのバーニイ・プライドから探偵事務所を引き継いで、最初の依頼を引き受けます。息子の自殺の原因を調べて欲しいという穏やかな調査内容のはずが、コーデリアの捜査が進むにつれて何ものかが身辺につきまとい、あからさまに警告まで発するようになります。作者は大学町のケンブリッジの美しさとともに醜悪な現実を描くこともできます。真相はスキャンダラスでショッキングでもあります。しかしこの作品の魅力はもっと別なところ、コーデリアが真実にたどりつくのに役立った間接的な師弟関係、パートナーだったバーニイが尊敬していたダルグリッシュ警視の捜査法を伝え聞いたままに用いた、その真率さによるのではないかと思いました。
女には向かない職業 女探偵コーデリア・グレイ (ハヤカワ・ミステリ文庫) Kindle版
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P D ジェイムズ
(著)
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言語日本語
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出版社早川書房
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発売日1987/9/12
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
探偵稼業は女には向かない。ましてや、22歳の世間知らずの娘には―誰もが言ったけれど、コーデリアの決意はかたかった。自殺した共同経営者の不幸だった魂のために、一人で探偵事務所を続けるのだ。最初の依頼は、突然大学を中退しみずから命を断った青年の自殺の理由を調べてほしいというものだった。コーデリアはさっそく調査にかかったが、やがて自殺の状況に不審な事実が浮かび上がってきた…可憐な女探偵コーデリア・グレイ登場。イギリス女流本格派の第一人者が、ケンブリッジ郊外の田舎町を舞台に新米探偵のひたむきな活躍を描く。
--このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
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カスタマーレビュー
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ベスト1000レビュアー
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2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2010年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いきなりぼやくが......やっぱ英国産は好い。。ジェイムズは好いヨ。。実に英国らしいトラディショナルでほのぼのとした雰囲気に,雨が
似合う沈鬱な雰囲気の両方がうまく表現されている。
そして,この二面性こそ本作品で初登場することになるコーデリア・グレイの魅力でもある。いや,もっと正確に言うならジェイムズの魅力でも
あるんだなぁ。この女探偵の肖像は自画像そのものでしょう。なにか女流本格の意地を奮い立たせてさ,女のヒーローがいて何故悪いと挑戦した
一作に思えてならないんだわ。そしてそれは見事に,皮肉なくらい成功した......
さて,いちよストーリーもざっと説明すると,まずいきなりハイライトともいえる探偵事務所の共同経営者の自殺があったので,コーデリアは
勇敢にも一人この稼業を続ける決意をする。そんな彼女の初仕事は,突然なぞの自殺を遂げた科学者の一人息子の事件に隠された真相を暴く
ことでした......
感傷的すぎるほど感傷的な導入部なのに,お涙頂戴ものには堕さない強烈な意図を感じる幕開け。そして周りの人間からは散々やいのやいの
言われるのを横目に,自分の信念を曲げないコーデリアの姿は凛々しい。実際,陰鬱な描写で覆いつくされているのに不思議と前向きな気持ちが
湧いてくる。
P・D・ジェイムズといえばダルグリッシュものをメインに手がけていますが,本作にも彼は重要人物として登場するので,この一作はジェイムズ
入門に適してますね。それにしてもやっぱ英国は好いなぁ。。土壌にしろ精神風土にしろ推理作家が育つべくして育つと感じる。
似合う沈鬱な雰囲気の両方がうまく表現されている。
そして,この二面性こそ本作品で初登場することになるコーデリア・グレイの魅力でもある。いや,もっと正確に言うならジェイムズの魅力でも
あるんだなぁ。この女探偵の肖像は自画像そのものでしょう。なにか女流本格の意地を奮い立たせてさ,女のヒーローがいて何故悪いと挑戦した
一作に思えてならないんだわ。そしてそれは見事に,皮肉なくらい成功した......
さて,いちよストーリーもざっと説明すると,まずいきなりハイライトともいえる探偵事務所の共同経営者の自殺があったので,コーデリアは
勇敢にも一人この稼業を続ける決意をする。そんな彼女の初仕事は,突然なぞの自殺を遂げた科学者の一人息子の事件に隠された真相を暴く
ことでした......
感傷的すぎるほど感傷的な導入部なのに,お涙頂戴ものには堕さない強烈な意図を感じる幕開け。そして周りの人間からは散々やいのやいの
言われるのを横目に,自分の信念を曲げないコーデリアの姿は凛々しい。実際,陰鬱な描写で覆いつくされているのに不思議と前向きな気持ちが
湧いてくる。
P・D・ジェイムズといえばダルグリッシュものをメインに手がけていますが,本作にも彼は重要人物として登場するので,この一作はジェイムズ
入門に適してますね。それにしてもやっぱ英国は好いなぁ。。土壌にしろ精神風土にしろ推理作家が育つべくして育つと感じる。
2018年11月7日に日本でレビュー済み
P.D.ジェイムズは、こまやかな部屋の描写、微妙な気持ちのずれを巧みに描写しながら、最後の感動へと誘い込む。間違いなくうまい。
22歳の可憐な女探偵の活躍。キノコのオムレツを上手につくり、エロの写真を恥ずかしそうに現場からとりのけ、つつましくスカートをはいている。男の子みたいなヒロインが多い中、コーデリアの古風なヒロイン像には好感をもてる。共感する。わたしもスカートやドレスが好きなのだ。
巻末の瀬戸川の論はやや男よりながら的を得ているが、小憎らしいからあとで読むように。それから、こう言おう。探偵コーデリアは姫でなく騎士なのだ、たとえスカートをはいていようと。小さなかわいらしい女騎士。
22歳の可憐な女探偵の活躍。キノコのオムレツを上手につくり、エロの写真を恥ずかしそうに現場からとりのけ、つつましくスカートをはいている。男の子みたいなヒロインが多い中、コーデリアの古風なヒロイン像には好感をもてる。共感する。わたしもスカートやドレスが好きなのだ。
巻末の瀬戸川の論はやや男よりながら的を得ているが、小憎らしいからあとで読むように。それから、こう言おう。探偵コーデリアは姫でなく騎士なのだ、たとえスカートをはいていようと。小さなかわいらしい女騎士。
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
何十年かぶりに本作を読み返してみたのだが、殆ど内容を覚えていなかったのには我ながら苦笑してしまった。内容を覚えていなかった理由は簡単明瞭で、物語が詰まらなくて印象に残らなかったせいである。ミステリ的には取るに足りないレベルで、ひたすら、未経験の若い女性の立場で、共同経営パートナーに自殺され、止む無くその探偵事務所を引き継ぐ形になったヒロインのコーデリアの"健気さ"に焦点を当てているからである。
物語構成として、まずコーデリアに対する依頼そのものが不自然過ぎる上に、2つの自殺偽装殺人がお粗末過ぎる。偽装首吊が首痕等の関係で鑑識を欺ける事はないし、銃を使った偽装自殺に至っては被害者の手指に硝煙反応がないのだから、これまた、鑑識を欺ける筈はない。作者は意図的にこれらの点を無視している。ミステリ的骨格としては、「皮膚の下の頭蓋骨」の方が余程シッカリしている。その「皮膚の下の頭蓋骨」と本作両方において、水中で苦しむコーデリアの姿を描いているのは、一般に弱いと思われている若い女性のコーデリアが正義のために"健気"に闘っているとの印象を持たせたいためであろう。もっとも、本作でコーデリアが闘っている理由は亡くなった共同経営パートナーへの追慕の念という意味合いが強いのだが。
それに関連したラストのダルグリッシュ警視(作者のシリーズ探偵)との対決シーンに訳者(訳文の出来が拙い)も解説者も感激した由だが、それは少女趣味に過ぎるだろう。付言すると、解説者が「コーデリア=高貴の生まれ」説を流布した事は有名だが、ジョン(ヨハネ)にしてもポール(パウロ)にしても、欧米のポピュラー・ネームが多くを聖書(コーデリアはシェークスピアだが)から採っているという常識を知らない上での妄言であろう。著名ではあるが、内容的には乏しい作品である。
物語構成として、まずコーデリアに対する依頼そのものが不自然過ぎる上に、2つの自殺偽装殺人がお粗末過ぎる。偽装首吊が首痕等の関係で鑑識を欺ける事はないし、銃を使った偽装自殺に至っては被害者の手指に硝煙反応がないのだから、これまた、鑑識を欺ける筈はない。作者は意図的にこれらの点を無視している。ミステリ的骨格としては、「皮膚の下の頭蓋骨」の方が余程シッカリしている。その「皮膚の下の頭蓋骨」と本作両方において、水中で苦しむコーデリアの姿を描いているのは、一般に弱いと思われている若い女性のコーデリアが正義のために"健気"に闘っているとの印象を持たせたいためであろう。もっとも、本作でコーデリアが闘っている理由は亡くなった共同経営パートナーへの追慕の念という意味合いが強いのだが。
それに関連したラストのダルグリッシュ警視(作者のシリーズ探偵)との対決シーンに訳者(訳文の出来が拙い)も解説者も感激した由だが、それは少女趣味に過ぎるだろう。付言すると、解説者が「コーデリア=高貴の生まれ」説を流布した事は有名だが、ジョン(ヨハネ)にしてもポール(パウロ)にしても、欧米のポピュラー・ネームが多くを聖書(コーデリアはシェークスピアだが)から採っているという常識を知らない上での妄言であろう。著名ではあるが、内容的には乏しい作品である。
2021年1月16日に日本でレビュー済み
他の方も指摘しているように、訳が酷すぎて何も頭に入ってこない。
まるで、辞書と文法の本を鵜呑みにして、そのまま訳したような感じ。
洋物をそもそも読まないので、こんなものだと言われればそれまでだけど、もう少し何とかならなかったのか…。
「ああ、コーデリア、あなたはまるで、進歩的な両親から生まれ、国教徒ではない乳母に育てられ、修道院学校で教育された子供のようなことを言うんですね。ぼくはあなたが大好きですよ!」
全く意味が分からん。
注釈か何かをつけて欲しい。
まるで、辞書と文法の本を鵜呑みにして、そのまま訳したような感じ。
洋物をそもそも読まないので、こんなものだと言われればそれまでだけど、もう少し何とかならなかったのか…。
「ああ、コーデリア、あなたはまるで、進歩的な両親から生まれ、国教徒ではない乳母に育てられ、修道院学校で教育された子供のようなことを言うんですね。ぼくはあなたが大好きですよ!」
全く意味が分からん。
注釈か何かをつけて欲しい。
ベスト1000レビュアー
作者は本名をフィリス・ジェイムズといい、内務省に公務員として勤めるかたわら、早朝と週末に趣味としてミステリを執筆するという1970年代に活躍したイギリスの作家でした。詩人としても名が知れているという設定をもつスコットランド・ヤード(警視庁)のアダム・ダルグリッシュ警視を探偵役とするシリーズを創始しました。P・D・ジェイムズはこのダルグリッシュに超人的な洞察力を備えさせず、素人の素直な努力の延長であるプロの警察官として鍛えられた推理力だけをもたせています。
本書はダルグリッシュ・シリーズとしては番外編ともいえる"An unsuitable job for a woman"(1972年)の翻訳です。評論家の植草甚一氏が1974年の『ミステリ・マガジン』誌のコラムでさっそく紹介し、「こんなにも謙虚な推理作家はいなかった」とたたえています。主人公は探偵として経験も資格もない22歳の女性コーデリア・グレイ。病を苦にして自殺したパートナーのバーニイ・プライドから探偵事務所を引き継いで、最初の依頼を引き受けます。息子の自殺の原因を調べて欲しいという穏やかな調査内容のはずが、コーデリアの捜査が進むにつれて何ものかが身辺につきまとい、あからさまに警告まで発するようになります。作者は大学町のケンブリッジの美しさとともに醜悪な現実を描くこともできます。真相はスキャンダラスでショッキングでもあります。しかしこの作品の魅力はもっと別なところ、コーデリアが真実にたどりつくのに役立った間接的な師弟関係、パートナーだったバーニイが尊敬していたダルグリッシュ警視の捜査法を伝え聞いたままに用いた、その真率さによるのではないかと思いました。
本書はダルグリッシュ・シリーズとしては番外編ともいえる"An unsuitable job for a woman"(1972年)の翻訳です。評論家の植草甚一氏が1974年の『ミステリ・マガジン』誌のコラムでさっそく紹介し、「こんなにも謙虚な推理作家はいなかった」とたたえています。主人公は探偵として経験も資格もない22歳の女性コーデリア・グレイ。病を苦にして自殺したパートナーのバーニイ・プライドから探偵事務所を引き継いで、最初の依頼を引き受けます。息子の自殺の原因を調べて欲しいという穏やかな調査内容のはずが、コーデリアの捜査が進むにつれて何ものかが身辺につきまとい、あからさまに警告まで発するようになります。作者は大学町のケンブリッジの美しさとともに醜悪な現実を描くこともできます。真相はスキャンダラスでショッキングでもあります。しかしこの作品の魅力はもっと別なところ、コーデリアが真実にたどりつくのに役立った間接的な師弟関係、パートナーだったバーニイが尊敬していたダルグリッシュ警視の捜査法を伝え聞いたままに用いた、その真率さによるのではないかと思いました。