本と個展のレビューです。
昨年夏、「奇蹟の画家」という後藤正治さんのノンフィクションを読んで感動した。
50歳近くまで作品を発表する考えもなく、独身で大正時代築の棟割長屋に住み独学無名清貧でただただ女神を描き続け世に埋もれていた画家(?)が神戸の画廊主(ギャラリー島田さん)に出会い人生初の個展をする。てらいも思惑もなく澄み切った彼の女神像は水が滲み出るがごとくじわじわと人々の心に染み透っていく。今70歳を超えた彼の名は石井一男。感動のノンフィクションであった。
本を読んだあと彼のことは忘れていたが、一週間余り前に石井誠展で伺ったアートスペースかおるさんでいただいた冊子にたまたま「石井一男展」の案内が載っていて彼の名を思い出しドキッとした。
というわけで、今日神戸ハンター坂のギャラリー島田「石井一男展」へ。
明日が会期の最終日だったので石井さんご本人にお目にかかることはないと思っていたが、画廊に入って何点か見たあとフロアの奥にご本人がおられてびっくり。
彼の絵は文庫本記載の写真で何度か見ており実際に作品をみても既知感があり、未知の書や絵を見たときのような衝撃とか興奮は感じなかったが、良いなあ欲しいなあとおもえる作品は数点あった(最終日前なのですべて売約済みでしたが)。「ひとり立つ」の2点、「女神像」3点、白と黒の隙間にある女神像(これは驚きました!)。鳥も良かった。
わりと空いた時間帯だったので石井さんと少しお話しもできた。本で読んだ通り小さな声でぼそぼそ話す穏やかな方だった。欲しい作品は売約済みだし(持ち合わせもなかったが)、彼の最初の画集「絵の家」とポストカード一枚をいただく。
帰宅後、彼の女神のポストカードをミニイーゼルに乗せて眺めるとジワーッときた!
そうなんだ!彼の絵は衝撃とか興奮ではなくじわっと心に沁みる絵なんだ。
石井一男さん、ギャラリー島田さん、後藤正治さん、ありがとう!
2016/12/06記
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